ラッキーではない、練習通り。
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)ラウンド16はホーム&アウェイで行われ、2戦の結果で準々決勝(ベスト8)に進むクラブを決める。グループステージを2位で通過した浦和レッズは、第1戦をホーム・埼玉スタジアム2002で迎えた。「勝利」と「アウェイゴールを与えない」。この2点を選手は意識し、さらに韓国勢との対戦でよく言われる「(日本の)球際の弱さ」が認識違いであることを示そうと、強い気持ちで試合に挑んだ。
Kリーグの首位を走るFCソウルは、浦和と同じ3バックの布陣で、守備時は5バックになる。浦和は相手FWデヤン ダムヤノビッチ、アドリアーノにボールが集まるソウルの攻撃をケアしながらも、マイボール時には、関根貴大(右)と宇賀神友弥(左)の両ワイドが、相手5枚のさらに外側に位置し、好機をうかがっていた。
迎えた14分、浦和は右サイドで関根と同サイドのストッパー、森脇良太がパス交換。高い位置でキープした森脇は関根にボールを戻すことなく、大きく開いた左のスペースに長いボールを送り、試合を動かした。ミシャサッカーの基本とも言える幅広く、深さのある攻撃。練習で何度繰り返したことか。
そして、この場面でスペースにボールが出ることを信じて走っていた選手がいた。左ワイドの宇賀神だ。宇賀神は走力を生かして落下点に入ると、左足をめいっぱい伸ばし、攻撃陣が待つゴール中央へ折り返した。すると、ボールはGKの頭上を越え、ゴールマウスへと吸い込まれた。浦和は立ち上がりの早い時間帯、思わぬ形で先制することに成功した。
宇賀神は「正直に言えば、中央へ折り返したボール」と言って、まず照れ笑いを浮かべたが、「ミシャ監督になって5年間、ずっと練習してきた形。反復練習が生きた。自分の動き出しにパスを出してくれたからこその形だ。自分は(得点よりも)動き出したことに意味があると思う」と手応えありの表情で、この場面を振り返った。理想形は宇賀神が話す通り、彼の折り返しを、ゴール前につめていた攻撃陣が受けて得点を奪うこと。両ワイドには、常に折り返しのボールの質が求められている。後半にも同じような場面があったが、そこは失敗。チャンスを棒に振った。
そのため、第1戦の得点はラッキーゴールとも表現できてしまうが、いずれにしろ、パスの出し手と受け手が連動しなければ、ゴールに迫ることはできない。日頃から練習を見ている者ならば、練習通りの展開から生まれた得点だと言える。ホームゲームでの勝利を誓っていたチームにとって、第1戦のような厳しく激しい戦いの中で練習の形を披露できたことは、次の一歩を踏み出す大きな自信になるだろう。
もちろん、来週に控えるアウェイでの第2戦は、そう簡単なゲームにはならない。ミハイロ ペトロヴィッチ監督は「内容を見れば、1-0ではなく、2点目、3点目を取り、試合を決定付けなければいけなかった」と語り、「追加点を奪う」というリーグ戦にも通ずる課題を挙げた。第1戦で相手の息の根を止められなかっただけに、アウェイの地・韓国ではより高い集中力とハードワークが求められる。
(有賀久子)
試合レポート
◆
2016年5月18日(水)ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦
ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=読者によるMIP投票結果、採点&寸評
ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=ポイント
ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=番記者による採点&寸評
ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=選手コメント3
ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=選手コメント2
ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=選手コメント
ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=監督コメント
ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=試合詳細(スコア経過、出場選手など)
ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=予想スタメン
ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=見どころ
練習レポート
◆
2016年5月18日(水)ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦
崔龍洙監督「プライドを持って」、FCソウル公式会見
選手コメント【遠藤航・西川周作・武藤雄樹】
ACL前日練習、普段通りの大原で
ミシャ監督と阿部勇樹が登壇、ACL公式会見
柏木陽介「高萩洋次郎との対戦は楽しみ」
遠藤航「1点に重みがある」
23年前のきょうは何をしていましたか?
◆
お知らせ
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ACLラウンド16第1戦・FCソウル戦=ポイント
「ポイント」では、番記者が勝敗の分かれ目などを振り返ります。
ラッキーではない、練習通り。
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)ラウンド16はホーム&アウェイで行われ、2戦の結果で準々決勝(ベスト8)に進むクラブを決める。グループステージを2位で通過した浦和レッズは、第1戦をホーム・埼玉スタジアム2002で迎えた。「勝利」と「アウェイゴールを与えない」。この2点を選手は意識し、さらに韓国勢との対戦でよく言われる「(日本の)球際の弱さ」が認識違いであることを示そうと、強い気持ちで試合に挑んだ。
Kリーグの首位を走るFCソウルは、浦和と同じ3バックの布陣で、守備時は5バックになる。浦和は相手FWデヤン ダムヤノビッチ、アドリアーノにボールが集まるソウルの攻撃をケアしながらも、マイボール時には、関根貴大(右)と宇賀神友弥(左)の両ワイドが、相手5枚のさらに外側に位置し、好機をうかがっていた。
迎えた14分、浦和は右サイドで関根と同サイドのストッパー、森脇良太がパス交換。高い位置でキープした森脇は関根にボールを戻すことなく、大きく開いた左のスペースに長いボールを送り、試合を動かした。ミシャサッカーの基本とも言える幅広く、深さのある攻撃。練習で何度繰り返したことか。
そして、この場面でスペースにボールが出ることを信じて走っていた選手がいた。左ワイドの宇賀神だ。宇賀神は走力を生かして落下点に入ると、左足をめいっぱい伸ばし、攻撃陣が待つゴール中央へ折り返した。すると、ボールはGKの頭上を越え、ゴールマウスへと吸い込まれた。浦和は立ち上がりの早い時間帯、思わぬ形で先制することに成功した。
宇賀神は「正直に言えば、中央へ折り返したボール」と言って、まず照れ笑いを浮かべたが、「ミシャ監督になって5年間、ずっと練習してきた形。反復練習が生きた。自分の動き出しにパスを出してくれたからこその形だ。自分は(得点よりも)動き出したことに意味があると思う」と手応えありの表情で、この場面を振り返った。理想形は宇賀神が話す通り、彼の折り返しを、ゴール前につめていた攻撃陣が受けて得点を奪うこと。両ワイドには、常に折り返しのボールの質が求められている。後半にも同じような場面があったが、そこは失敗。チャンスを棒に振った。
そのため、第1戦の得点はラッキーゴールとも表現できてしまうが、いずれにしろ、パスの出し手と受け手が連動しなければ、ゴールに迫ることはできない。日頃から練習を見ている者ならば、練習通りの展開から生まれた得点だと言える。ホームゲームでの勝利を誓っていたチームにとって、第1戦のような厳しく激しい戦いの中で練習の形を披露できたことは、次の一歩を踏み出す大きな自信になるだろう。
もちろん、来週に控えるアウェイでの第2戦は、そう簡単なゲームにはならない。ミハイロ ペトロヴィッチ監督は「内容を見れば、1-0ではなく、2点目、3点目を取り、試合を決定付けなければいけなかった」と語り、「追加点を奪う」というリーグ戦にも通ずる課題を挙げた。第1戦で相手の息の根を止められなかっただけに、アウェイの地・韓国ではより高い集中力とハードワークが求められる。
(有賀久子)
試合レポート
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