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試合レポート|J1第4節・柏戦=ポイント|レッズプレス!!
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J1第4節・柏戦=ポイント
(有賀久子)

ゲームコントロールの差が生んだ勝敗
昨シーズンの終盤の話になる。結果、完勝したサンフレッチェ広島戦を前に、宇賀神友弥さんに尋ねたことがある。「オフェンスにかかるパワーとディフェンスにかかるパワー、今のサッカーで、その割合をどのように感じているのか?」と。この時に返ってきた答えは「ディフェンスにパワーを使いすぎる」というもの。
「オフェンスにパワーが残っていないという言い方が正しいと思う。ディフェンスをする時間が長かったとしても、オフェンシブなディフェンスとディフェンシブなディフェンスでは、気持ち的にも違うし、体力的にも違う。相手に合わせ続けるって、絶対にいつか崩壊する。そこを、もちろん、監督が提示するモノを守りながらも、ポジティブな守備をしようという風に全員がならないといけない。そこがまだ、すり合わせが出来ていない」と宇賀神さんは話していた。
今節、3バックの柏レイソル相手に、はたしてオフェンシブなディフェンスは出来ていただろうか。相手3枚に、同数でハメに行ったが、それがうまく機能しなかった時、打つ手がなかったように思う。
ボランチ起用された松本泰志が、走り損しているという感覚を持っていたり、ボールを取った時にはみんなが疲弊していると感じたり、原口元気が「プレッシャーがハマらないと疲れが溜まって、ボールを取った時にはもう、乳酸が溜まっている状態。誰も輝けないという状況に陥っている」と話したり。ディフェンシブなディフェンスが続いている。
試合後、2アシストの小泉佳穂は、現状の柏のチーム状況をこう話した。「確実に自分が優位を保った状態のままでボールが出てくることが、たぶん、今のレイソルを支えている大きな要因だと思っている。そこは、3バックとGKとダブルボランチのところの、質と戦術理解度の高さに支えられていると思う」。リカルドサッカーと自身のプレースタイルの噛み合い、何よりも状態の良さは前提にあるが、守備の安定性を好調の理由に挙げたのだ。
佳穂の、ポジション間に身を置く巧さを、特に前半の45分間は、存分に発揮させてしまった。彼の立ち位置の特長を熟知する中で、浦和は対策を講じていたが、いざ、ボランチが、ウイングが、サイドバックが、と動いていくと、相手に寄せられない距離感であり、結果、佳穂であったり、柏の、佳穂とは別の選手が浮く状態になり、フリーでボールを保持されてしまった。
その時の守備の修正、変化が、ハーフタイムを待たずに出来ないと、今後も同じように苦しむだろう。プラン通りに行ったら良いのか、高くジャンプするために一旦低い姿勢を保った方が良いのか、ここ3試合、そこが中途半端だ。
昨シーズンの最終節、マチェイ スコルシ?ャ監督は「私が作りたいチームは、ゲームコントロールができるチーム。現在よりも効果的なビルドアップをしながらプレーできるチーム」と語っていた。そして、シーズン途中での就任からを振り返り、「ボールを失った時の切り替えのリアクションは改善している。攻撃時のリスクマネジメントも良くなっている。ゾーンディフェンスでの連係も改善できている。バランス良く90分間、ゲームをコントロールすることが重要だと思う」と語っていた。
ゲームコントロールとは、まさに状況判断。それが出来た柏と、出来なかった浦和。その差が今節の勝敗に表れた。
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