開始2分、電光石火のゴールはお見事。その後もぐっと押し切ればいいものの、安心したのか、監督、選手が言うように緩みが出て6連敗中の大分にスキを与えてしまった。

24分、41分と要注意のMF町田也真人にこぼれ球を拾われ、2ゴールを献上。後半になっても大分の守備ブロックの前でボールをまわすだけの展開に連敗ストップの悪癖の再発を予感した。「だから言わんこっちゃない」と頭を抱えるばかりだった。

だが後半の飲水タイムから急に戦況は浦和に傾く。要因は何か？

このタイミングでの興梠と田中の投入。監督からの指示といくつか考えられるが、小泉佳穂が司令塔として突然の覚醒が挙げられる。

「嗅覚のある人なら決まるだろうと出したら、槙野さんがいた」と2点目を振り返れば、3点目のシーンもちょっと別次元。

左サイドから明本のパスに中央・小泉は相手DF数人、ひきつけながら、右サイドから走りこんだ田中にひょいとパスを出す芸当を見せ、見事な2アシスト。起点となった1点目を含め、3点すべてに絡んだ。

「チームのやりたいサッカーと自分の特長がマッチしているので、そうしたように（チームの攻撃の中心と）思われるのだと思う。ただ個人としてはまだまだすぎる。チームを直接勝たせていないのでプレーはまだまだ」と謙虚だが少なくとも小泉は2点目・75分から3点目・82分までの7分間はゾーンに入っていたかもしれない。

ゾーンに入ったのは小泉だけではない。後半、アディショナルタイム5分間、大分の怒涛の攻撃に3度、ナイスセーブを見せた西川周作もそうだろう。

今回の逆転勝利はこのゾーン状態になった2人に助けられたと言えよう。

試合前、スペクタルなサッカーを見せたいとロドリゲス監督。

3－2のスコアはサッカーでは最も面白い展開だ。

シュート数は大分11本に対して浦和は6本とチャンスをしっかりモノにできた。

ただ1点目から後半の飲水タイムまでの試合運びは課題。手数の少なさ。解決能力の低さが露呈した。

開幕序盤に比べれば、内容も結果もついてきた。しかし、それはひとつ山を越えただけの話し。一朝一夕ではない。

それでも次はどんな試合を見せてくれるか、そんな期待感が感じられる。

不安定ながらもチームが成長期に入った何よりの証拠だ。