(有賀久子)



信頼関係が繋いだゴールと勝利

過去3試合とはまた異なるチームの表情を見せながら、1対0、連敗中のサンフレッチェ広島から、きっちりとクリーンシートで勝利した。これで4連勝だ。

前半から難しそうにしていたが、今の広島がチームとして噛み合っていないのか、昨シーズンまでに感じたような嫌な圧を受けている印象はなかった。浦和レッズは、裏を効果的に使えない場合は、焦れずに繋ぐ選択に切り替えるなど、賢さを持ってボールを動かしていたと感じる。そうやって我慢できている分、3連勝の勝因の1つである先制点を早く決め、試合を優位に進めたかった。

ただ、前半アディショナルタイムの決定機を含め、ゴールネットを揺らすことが出来なかった。“この内容だったら、いつかは点が入るだろう”という雰囲気がありつつも、決めきれないとそのうちに勝利の女神がそっぽを向いてしまうのではないか。そんな心配も、時間の経過と共に募った。
迎えた56分、広島の右CKになった。左サイドバックの長沼洋一が「俺のミスからのCKだったので、アレでやられていたらどうしようと思っていた」と振り返ったように、ミスから与えた嫌なセットプレー。勝敗を大きく左右する、警戒すべき場面だ。

だが、この時も、今の広島がそうなってしまうメンタリティーなのか、ファーサイドに上がったボールをコントロールしきれずにルーズになったところを、マテウス サヴィオが見逃さず、マイボールにし、自陣の深い位置から70メートル近くを一気にドリブルで運んだ。形勢逆転だ。

さらに、サヴィオが仕掛けたと同時に、GK西川周作の横でニアサイドをケアしていた金子拓郎が、全速力で並走する。渡邊凌磨も、松尾も、少々段差をつけながら、後方から追いかける。サヴィオからの絶妙なラストパスを受けた金子拓郎は、自身待望の、移籍後初ゴールを決めた。「自分の前に佐々木選手がいて、“追い越せば、もう行けるな”という感覚があったので、あとはサヴィオ選手を信じて、走りました」と頼もしい言葉。結果、この得点が決勝点となった。

金子がサヴィオを信じて走って結果に結びつけたように、今、チームに大きな信頼関係が生まれている。たとえば、我慢していれば、必ず、前の選手が点をとってくれるだろうという信頼だ。

右サイドバックの石原広教は「守備からリズムを作ってという感じなので、(ボールを)持たれることは想定して焦らずにやれていたし、いつか自分たちのチャンスが来る、自分たちの流れが来る時間帯があると分かって、我慢してやれたかなと思う」と話し、左の長沼は「ワンチャンス、ツーチャンスをモノに出来る選手たちが前に多くいるので、後ろはそこをモチベーションに、というか、耐えていたら、絶対に前がやってくれると感じている」と表現した。

4連勝は、完勝とは言いきれない試合ばかりだ。後半の、交代以降や相手の時間帯になった時のリアクションなど、まだまだ改善点はあるが、試合後の選手たちの言葉からは、間違いなくチームに信頼関係が生まれていることが感じられ、その関係性がベースとなって、勝ち点3に繋がっていることが分かる。充実の4連勝と言って良いだろう。

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試合レポート|J1第12節・広島戦=ポイント|レッズプレス!!

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J1第12節・広島戦=ポイント

(有賀久子)



信頼関係が繋いだゴールと勝利

過去3試合とはまた異なるチームの表情を見せながら、1対0、連敗中のサンフレッチェ広島から、きっちりとクリーンシートで勝利した。これで4連勝だ。

前半から難しそうにしていたが、今の広島がチームとして噛み合っていないのか、昨シーズンまでに感じたような嫌な圧を受けている印象はなかった。浦和レッズは、裏を効果的に使えない場合は、焦れずに繋ぐ選択に切り替えるなど、賢さを持ってボールを動かしていたと感じる。そうやって我慢できている分、3連勝の勝因の1つである先制点を早く決め、試合を優位に進めたかった。

ただ、前半アディショナルタイムの決定機を含め、ゴールネットを揺らすことが出来なかった。“この内容だったら、いつかは点が入るだろう”という雰囲気がありつつも、決めきれないとそのうちに勝利の女神がそっぽを向いてしまうのではないか。そんな心配も、時間の経過と共に募った。
迎えた56分、広島の右CKになった。左サイドバックの長沼洋一が「俺のミスからのCKだったので、アレでやられていたらどうしようと思っていた」と振り返ったように、ミスから与えた嫌なセットプレー。勝敗を大きく左右する、警戒すべき場面だ。

だが、この時も、今の広島がそうなってしまうメンタリティーなのか、ファーサイドに上がったボールをコントロールしきれずにルーズになったところを、マテウス サヴィオが見逃さず、マイボールにし、自陣の深い位置から70メートル近くを一気にドリブルで運んだ。形勢逆転だ。

さらに、サヴィオが仕掛けたと同時に、GK西川周作の横でニアサイドをケアしていた金子拓郎が、全速力で並走する。渡邊凌磨も、松尾も、少々段差をつけながら、後方から追いかける。サヴィオからの絶妙なラストパスを受けた金子拓郎は、自身待望の、移籍後初ゴールを決めた。「自分の前に佐々木選手がいて、“追い越せば、もう行けるな”という感覚があったので、あとはサヴィオ選手を信じて、走りました」と頼もしい言葉。結果、この得点が決勝点となった。

金子がサヴィオを信じて走って結果に結びつけたように、今、チームに大きな信頼関係が生まれている。たとえば、我慢していれば、必ず、前の選手が点をとってくれるだろうという信頼だ。

右サイドバックの石原広教は「守備からリズムを作ってという感じなので、(ボールを)持たれることは想定して焦らずにやれていたし、いつか自分たちのチャンスが来る、自分たちの流れが来る時間帯があると分かって、我慢してやれたかなと思う」と話し、左の長沼は「ワンチャンス、ツーチャンスをモノに出来る選手たちが前に多くいるので、後ろはそこをモチベーションに、というか、耐えていたら、絶対に前がやってくれると感じている」と表現した。

4連勝は、完勝とは言いきれない試合ばかりだ。後半の、交代以降や相手の時間帯になった時のリアクションなど、まだまだ改善点はあるが、試合後の選手たちの言葉からは、間違いなくチームに信頼関係が生まれていることが感じられ、その関係性がベースとなって、勝ち点3に繋がっていることが分かる。充実の4連勝と言って良いだろう。

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