「練習レポート」は、大原サッカー場の模様を、ほぼ毎日更新するコーナーです
(佐藤亮太)
きょう8月11日(水)、水戸ホーリーホックから完全移籍で加入したMF平野佑一の会見が行われた。
冒頭、西野努TDが獲得の経緯を話した。守備だけでなく攻撃の起点となれるセントラルMFを探す中で、以前から平野はリストアップしていたという。具体的に平野獲得に乗り出した時期について西野TDは8月2日に行われたエリートリーグ第7節・水戸戦と明かした。即断即決の獲得であったことがわかる。
西野TDは「ワンボランチもしくは2人並べてのセントラルMFとして、ディフェンスラインの前でしっかり守備をするだけでなく、攻撃の起点になってほしい。パスだけでなくみずから得点も取れるようになれば」と期待を込めた。
さて平野佑一とはどんな選手か?
広くJ2を取材する記者に聞くと「名前は知っている」「ことしになって出始めた選手」との答えに続いて、「水戸で売り出し中の選手」という声があった。
特長を聞くと「左右両足で蹴れる」「サッカーIQが高くインテリジェンス」「ボール奪取とともに攻撃の組み立てができる」。さらにプレースタイルはドイツ・デュッセルドルフに期限付き移籍の田中碧タイプといい、平野は174センチながら空中戦にも強いという触れ込みだ。
これほどの選手ならばすぐに注目されても良さそうだが、はじめからレギュラーというわけではなかった。
国士舘大学から加入した2018年。もともと攻撃が得意な平野だったが、当時、水戸の指揮官だった長谷部茂利監督が求める守備をうまく表現できず、出番はほとんどなかった。
その平野に転機が訪れたのは現在の秋葉忠宏監督が就任した2020年。
[4−3−3]における中盤の底=アンカーのポジションを任されるようになると出場機会を増やした。
攻守をつなぐポジションゆえにミスはチームには致命傷となる。そのため、ときに消極的プレーになってしまう。
そのたびに秋葉監督は「トライした結果、生まれたミスはみんなが取り戻す。だからチャレンジしろ」と励まされ、平野はのびのびとプレーできるようになった。そして今季、23試合中19試合に出場。うち18試合に先発。水戸の主力となった。
後半にむけ、さらなるブレイクが期待されるなかでの浦和への完全移籍となった。
「ビッグクラブでの挑戦する機会を得たことを逃したくなかった」と平野。
約30分の会見では「(サポーターには)戦う姿勢。魂をぶつけるプレーを見てほしい」「サッカー選手として、なりあがれるだけ、なりあがりたい」と野心が感じられた。背番号「40」について、誰も着けたことのない番号なゆえに「自分色に染めたい」となかなかな一言だ。
平野の語り口からはその熱さとともに怜悧さ、クレバーさも感じられた。
水戸にとっては育てた選手がチームを離れるのは嬉しくも寂しいもの。
「秋葉監督からはがんばってこいと後押しされた。自分がスタメンで定着できたのも秋葉監督になってから。サッカー選手だけでなく、人として物事の捉え方など多くを教わった」。
水戸での経験を浦和で生かしたい。
現在、ボランチのポジションは柴戸海、伊藤敦樹、金子大毅、阿部勇樹とライバルは多いものの、主に守備的タイプの選手だ。
「ボランチでありながら存在感があった長谷部誠選手のようになりたい」と平野。
長谷部のようなダイナミックな攻撃的ボランチになれるかどうか。
期待の選手がまたひとり仲間となった。
写真:浦和レッズ提供
・・・・・・