(有賀久子)
槙野智章引退試合 「信頼」が何かを示した浦和レッズオールスターズ
12月14日(土)にノエビアスタジアム神戸で開催された『槙野智章 大感謝祭 〜1日限りのワッショイ劇場〜』。
試合時間は、60分。そこにエンターテインメントがつまっていた。中でも、浦和レッズオールスターズでヴィッセル神戸に挑んだ後半は、ミハイロ ペトロヴィッチ監督が浦和レッズを率いていた時代を思い起こさせるプレーが数々見られた。FKの場面では、ファイター那須大亮がルーカス・ポドルスキの一撃を頭で弾いた。GK西川周作は槙野が献上したPKの場面で、小林祐希のシュートを止めてみせた。
何よりも、チーム2点目を決めた興梠慎三のゴールは、ミシャ時代を彷彿とさせる流れで、最終ラインの槙野から前線のDFの背後に出すロングフィードに、深い位置まで反応して走ったのは宇賀神友弥で、1対1で負けずにボールを残し、興梠にラストパスを送った。
数年の空白期間があるとは思えぬほどの、軽快なパス交換であり、今シーズン、引退を表明した興梠と宇賀神が、折に触れて「信頼」という言葉を口にしていたが、それが何かを示すような光景だった。
宇賀神は引退会見の席で「その選手のプレースタイルやプレーの範囲、寄せるスピードやそれぞれの特長をもっと理解し、仲間を信じて、“これ以上は俺はやらないからお前に任せたぞ”と出来る選手が少なすぎる」と話していたが、引退試合という短い時間で彼らが見せたプレーには、互いが、互いの特長を理解し、補っているプレーが何度も観られた。言葉がなくても、誰かが走れば、誰かがパスを出し、誰かが、その穴を埋めている。全てはゴールを奪うため、ゴールを守るため。日々の練習の長さではなく、相手を知り、信じること、信頼とは何かを身をもって示していた。
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