(佐藤亮太)
表彰式後に行われた引退セレモニー。両チームの選手が作った花道を通る平川忠亮。万感をこめた7分39秒のスピーチは、温かくも力強い平川の人間性がにじみ出ていた。
「皆さんこんばんは。本日はスタジアムに足を運んでいただきありがとうございます。またオンライン配信で放送されていると思います。映像でご覧の方、ありがとうございます。
いま世界は新型コロナウイルスの影響により非常に辛く苦しい状況にあります。そんな中、この引退試合を開催すべきかどうか非常に悩みました。そしてスタッフと議論を重ねた結果、チャレンジしようと決断しました。
辛さや苦しさの中に、その先にある栄光や輝きをこのチームに僕は教えてもらいました。浦和レッズがJ2に降格した試合、僕はファン・サポーターの1人としてこのスタジアムで試合を見ていました。浦和レッズが悲しみに包まれ、非常に苦しい状況でした。しかし、先輩方、OBの皆さん、そしてファン・サポーターの皆さんが1つになり、1年でJ1に戻ることに成功しました。
このチームは苦しいときこそ1つになり、前に進む大きなパワーを持ったチームだと思っています。だからこそ、このいまの苦しい状況で逃げるのではなく戦うこと、開催することを選びました。みんな楽しく笑顔で過ごせる機会を作りたい。そんな気持ちで開催することを決めました。
ただ、今日開催するにあたって、非常に簡単ではなく、一度2年前白紙になりました。ただあきらめず、なにかできるのではないかとスタッフの方々と常日頃から話し合い、無観客を想定し、オンライン配信などのコンテンツも考え、なにか楽しいことを届けることができるのではないか、またみんなで辛いことを乗り越えられるんじゃないか。そんな思いで今日を迎えました。
今日の引退試合にあたって、たくさんの方々の支援、サポートがありました。協賛いただいた方々、今日スタジアムに足を運んだ方々、オンライン配信で見ていただいた方々、グッズやクラウドファンディングなどさまざまな支援がありました。そして忘れていけないのはファン・サポーターの皆さん。このスタジアムの雰囲気は特別なもので、ここでプロとしてデビューしました。そしてここで引退試合を終われることを幸せに思います。
クラブスタッフの皆さん、本当に2年もの間、自分の仕事プラスα引退試合の仕事ということで本当に苦労をかけたと思います。イヤな顔1つせず、今日までありがとうございました。
今日参加していただいたトップチーム選手の皆さん、監督、コーチングスタッフ、マネジャー、そしてアカデミーからも参加してくれました。ありがとうございます。そして浦和レッズを支えたレジェンズ、OBの方が日本中から駆けつけてくれました。本当に自分は幸せ者だと思いますし、みんながこの浦和レッズというクラブを愛しているんだなと感じました。
浦和レッズはいま3年計画の途中にあります。リカルド監督のもと、1試合でも多くの勝利をつかみ取るために、選手は日々厳しい練習をしています。
しかし、レッズは3年で終わるわけではありません。この先10年、20年、永遠と続くクラブだと思っています。それはファン・サポーターの皆さんの力にあると思います。その中で必要になるのはアカデミーの選手たちが一緒にプレーしてくれましたが、やはり未来を担う子どもたちの力だと思っています。今日、現役、OB、アカデミー、この3世代でタイトルを争えたことは楽しかったですし幸せでした。幸せな時間でした。
最後に浦和レッズを愛するみなさまの明るい未来を願って終わりにしたいと思います。今日は本当にありがとうございました」
家族からの花束贈呈ののち、場内1周が行われた。
この7分39秒のスピーチ。一切、用意することなく、その場で思ったことを言葉にしたとのこと。
「思っていることの2割も言えなかった。途中でちゃんと伝わっているかな?と思った」と平川。
過去、現在そして未来に向けた平川のメッセージは、駆けつけた4991人のファン・サポーターに十分に伝わった。
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