11月9日(土)にホーム浦和駒場スタジアムで行われたWEリーグ第8節・サンフレッチェ広島レジーナ戦(以下、S広島R)は、互いに目の前の1勝を追い求めるのと同時に、約1ヶ月後の12月8日(日)の一戦が頭にあっただろう。
6日(水)に時を戻すと、S広島Rは、クラシエカップのグループステージ最終戦に臨んでいた。アウェイゲームの日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦で先制し、すぐに追いつかれるも逆転を許さず、グループAの首位で準決勝の切符をつかんだ。
組み合わせ抽選の結果、準決勝のカードは、S広島Rとレッズレディースに。今節と同じ顔合わせだ。今年1月の皇后杯準決勝でもぶつかった。「よく当たるチームとはよく当たるんですよ」と楠瀬直木監督。楠瀬監督は「お互いに切磋琢磨して、良いゲームを展開していけたら」と語り、S広島Rの吉田恵監督も「1ヶ月後に対戦があるので、そこでしっかり借りを返したいと思いました」と触れた。
今シーズンのWEリーグカップは、クラシエ株式会社がタイトルパートナーとなり、?田春奈2代目チェア(理事長)は「女子プロリーグ最高峰の試合をたくさんの方に見て頂きたい」「選手たちが輝ける舞台にしていく準備をしている」と語っていたが、逆行するように、準決勝の開催日は、2試合とも12月8日(日)に設定された。
12月8日(日)、この日はJ1リーグの最終節が行われる。
シーズンの最終順位を決める重要な一戦は、各地一斉スタートの14時キックオフだ。第1試合のS広島Rと浦和は12時から始まるが、INAC神戸レオネッサとアルビレックス新潟レディースのカードは15時45分キックオフ予定であり、J1と重なる。タイトルパートナーのクラシエにとっても、テレビ中継を担当することになったBSテレビ東京にとっても、決して良い環境ではない。
何よりも、広島・新潟・浦和のサポーターは“何を、どこで観るか”の選択を迫られる。クラブ内での分断だ。
9日(土)の浦和駒場スタジアムのスタンドに、レッズレディースのサポーターは3枚の横断幕を掲げた。
「WEリーグさん話聞こうか?」
「12/8 カップ戦準決勝 Jリーグとの共存は夢のまた夢なのか」
「培った絆を壊してまでWEリーグが叶えたい未来とは?」
サポーターは誰もが、毎回、“我がクラブを、どこで観るか”の自己決断しているわけだが、皆が参戦に思うことは、“選手たちが思いきり戦える環境を作りたい”という空気感だ。声、手拍子、スタンディングオベーションなど、さまざまな方法で、ピッチへ思いを届ける。
WEリーグの全クラブが、Jリーグクラブと同一の経営母体で活動しているわけではないが、安定した経営、そして集客を、リーグが各クラブに求めるのであれば、サポーター獲得の機会を奪わないで頂きたい。どうか、野々村芳和3代目チェアには、サポーターの思いを真正面から受けとめて、まず、応援機会を増やして頂きたい。