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REDSPRESS EYES|ゴールという結果、ゴールまでの過程〜浦和レッズサポーターと共に戦う選手たちの声|レッズプレス!!

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ゴールという結果、ゴールまでの過程〜浦和レッズサポーターと共に戦う選手たちの声

(有賀久子)



ゴールという結果、ゴールまでの過程〜浦和レッズサポーターと共に戦う選手たちの声

過程と結果がかみ合って評価に繋がることのほうが多いが、浦和レッズサポーターは、どちらも評価する観察眼があると感じている。

WEリーグ連覇を果たした三菱重工浦和レッズレディースの中で、この2人の言葉が強く印象に残っている。1人は、年間20ゴールで得点王に輝いた清家貴子。もう1人は、今シーズン、INAC神戸レオネッサから完全移籍で加わった伊藤美紀。最終節のあとに、2人が口にした言葉を、まず、紹介したい。

清家は右サイドハーフの起用ながら、味方選手が繋いだボール、つまり過程を、結果に変換する大きな役目を担ってきた。特に猶本光と安藤梢を怪我で欠いたあとの後半戦は、その決定力が勝利に直結した。どのエリアからでも、どんなボールであっても、ゴールネットを揺らし続けた清家が話す、ゴールの瞬間の感情とは。

「点をとって、チームメートが喜んで、サポーターが喜んで、という、その瞬間が一番好きなので、そういう幸せな時間を得るために頑張れた」と嬉しそうに話した。責任がのしかかっていたと思うが、それが報われるだけの喜びがそこにあるのだろう。

伊藤美紀は、サポーターによる拍手やわき上がる声、あるいはSNSに綴られる言葉といった反応を例に挙げて、1年間、浦和レッズらしさを感じていたという。中盤における自身の役割を「あまり目立たないような感じ」と表現した伊藤は「あそこで頑張って戻って守備をしていた、とか。嫌なところを埋めてくれている、とか。(サッカーの内容の)あ、そこまで見て下さっているんだ、と。分かりにくいようなところも見て下さっているんだな、と思った」と、その鋭い見方に何度も驚いたそうだ。当然ながら結果に注目は集まるが、過程で、何が効いていたかを“見てくれている”喜びを、伊藤は味わっていた。

この2人の言葉を聞いた時、1人の選手の顔がふと浮かんだ。

伊藤敦樹だ。攻撃的サッカーの中で、インサイドハーフという重要なポジションを任された敦樹。ダイナミックな推進力が求められる中で、開幕後は、苦しい表情ばかりを見せた。結果でも過程でも、うまく試合に入れずにいた敦樹には、厳しい声が集まった。

サッカーの面白さを知る者は、厳しい眼も持っている。引退した長谷部誠も「応援があると、それなりにプレッシャーもあるが、そのプレッシャーが自分を成長させてくれた」とそう言っていたが、敦樹も、それが浦和レッズサポーターであると分かっている。

たくさんの声を受けとめながら、5月の敦樹は違った。

横浜F・マリノス戦では2ゴールを奪い、続くアルビレックス新潟戦、京都サンガF.C.戦では、相手のビッグチャンスの芽を摘むプレスバックを見せた。前節のFC町田ゼルビア戦では、失点後すぐに同点弾を決めた。サポーターを煽り、プレーにすぐに戻った。

“ボールがわたれば、何かが起こる気がする”、結果においても過程においても、敦樹はピッチに欠かせない選手であり、期待の歓声も増え、敦樹の顔は、確実に上がった。

29日(水)の公開練習後、そんな敦樹に、ホーム埼スタでゴールを決めた時の気持ちを尋ねると「やっぱり最高です」と表情を緩めた。

「それが勝利に導く得点だったら良いけれど、(どんなゴールでも)気持ち良い。ホームで、あの歓声を受けられるのは嬉しい」と話す。

それだけに1点で終わり、首位・町田との一戦で敗戦したことは耐えがたい結果であり、同時に「自分たちが上に行くために負けが許されない中で、結果が全てだが、やってきたことや、試合でやれたことはチームとして間違っていなかった」と、過程で得られた自信を、次なるヴィッセル神戸戦のモチベーションにしていた。

敦樹は「(町田戦は)サポーターの方たちもモチベーション高く、1個のファールであったり、守備のシュートブロックであったり、僕らの1個1個のプレーに反応して盛り上がってくれた。ここぞ、というところで、拍手も受けた。そうした反応、歓声を受けながらプレーできるのって、選手として、やり甲斐がある。攻撃も守備も、気持ち良くプレーできている。厳しい面も紙一重であるけれど、それは幸せなこと。得点だったり、勝利して喜びを分かち合えるのは、幸せな瞬間」と心の動きを言葉にした。

「町田戦を基準にして、最後の細かいところ、勝負の分かれ目のところを突き詰めていければ、もっともっとチームとして上に行けると思う。町田に負けたからと言って崩れないように、良いモチベーションを保ちつつ、神戸戦に挑みたい」。

この言葉を信じて、あすは埼スタに向かうとする。

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