横浜FM戦直前、幼き頃から同じユニフォームを着て戦った同志が対戦する。大久保智明と渡辺皓太、3度目の対戦へ
神奈川県横須賀市久里浜にあるF・MarinosSportsPark -Tricolore Base Kurihama-。
完成したばかりの横浜F・マリノスのクラブハウス。
訪れた2月7日はFUJIFILM SUPER CUP2023直前。
最後の公開練習日とあって各媒体がこぞって取材に集まった。
1時間半ほどの全体練習が終わり、三々五々、選手が囲み取材を受けていた。
そのなか、大久保智明の名前を出した途端、緊張気味の表情が一瞬、ニヤリとした選手がいる。
MF6渡辺皓太。
渡辺は各世代代表に選出され、19年、21年には日本代表にも招集された。
19年、東京ヴェルディから加入した横浜FMではボランチとしてプレー。ここまでJ1・J2通算170試合に出場している。
大久保と渡辺。
チームが違うこの2人だが、ともに東京ヴェルディ下部組織出身。
小学校4年から高校3年まで同じユニフォームに袖を通した同輩である。
その2人の道がわかれたのは2016年。
当時を知る人によれば、大久保、渡辺ともにトップチームに昇格すると思われたが、昇格したのは渡辺。
逃した大久保は中央大学に進学。在学中19年に浦和の強化指定選手になり、21年に正式加入を果たした。
リカルド・ロドリゲス監督のもと、出場機会を増やし2シーズンでリーグ41試合に出場。
昨季、後半からレギュラー格となり、今季開幕戦では先発フル出場を遂げた。
主力級として同じ立場になった2人。お互いをどう見ているのか。
決して口数が多くない渡辺が饒舌に大久保を語り始めた。
「やっぱり活躍は気になりますし、負けたくない、負けられない思いはあります。レッズでの活躍は知っていますし、刺激になります。性格ですか?マジメです。影でコツコツ、やるタイプですね」。
10数年の付き合いのある2人。だからこそ渡辺にあえて聞いてみた。
高卒・大卒選手が簡単に試合に出られない浦和にあって、大久保はなぜ出場できるようになったのか?と。なんとも言いようのない困った質問に、渡辺はやや視線を落とし、少し間を置きながら、こう語った。
「(大久保は)昔から考えながらプレーしているんで頭は良いと思うんですよ。監督が何を求めているのか、そして自分になにが足りないのか・・・最近、会っていないんでわかりませんが・・・頭がいいと思うんすよね。自分で考えたうえで他人と違うことをやってきたと思うんです。どんどん成長しているなと感じているので、負けていらないなと感じさせてくれる選手です」
渡辺にとって大久保は『考える選手』『頭の良い選手』に映っている。
では大久保は渡辺をどう見ているのか。
「皓太は小4のときに小6のチームに、中1のときには中3のチームでプレーしていました。そして東京ヴェルディから20歳でマリノスに移籍して、中心選手にまでなっています。僕にとって常に上を見せてくれる存在、上をいっている存在です。」
大久保にとって渡辺は「常に上を見せてくれる存在」。
「考える選手」×「上を見せてくる存在」
そんな2人が25日、第2節 日産スタジアムで相まみえることになる。
この2年リーグ4試合対戦したが、21シーズンの36節(11月20日・62分間)、
22シーズンの33節(10月29日・89分間)2度、同じピッチに立っている。
今回、実現すれば3度目の対戦となる。
ポジションは違うものの、主力クラスとなった同い年の2人がどのようなプレーを見せてくれるか。そして試合後、どんな言葉を交わすのか。それとも交わさないのか。
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