10月17日、一部報道で「Jリーグ、来季ホームタウン制撤廃へ。創設時の理念「地域密着」から新様式に。今月中にも正式決定」の見出しが出た。
『ホームタウン制撤廃』の文字がよりクローズアップされたためか、ネットは炎上。
様々な立場の人が様々な意見を発信するなか、鹿島アントラーズの小泉文明代表取締役社長など、各クラブ幹部がSNSを通じて「地域密着」を強調。重要性、必要性を再確認できたことは大きかった。
これに反応するように浦和レッズは今月18日、公式ホームページで通じて次のように声明した。
『いつも浦和レッズへのサポートありがとうございます。
私たちが存在できている理由は、浦和のまちのみなさまが私たちを支え続けて下さったからに他なりません。
今までも感謝の気持ちを胸に、みなさまと共に活動を行ってまいりました。
今後もホームタウンを中心とした考え方に変わりはなく、サッカーのまち浦和を誇りにおもい、この街のために闘ってまいります。
そして、サッカー百年の歴史を持つこの街の伝統を大切にしながら、みなさまと共に歩んでまいります。
浦和レッドダイヤモンズ 代表 立花洋一』
こうした声明文をクラブが出すことに驚きを感じるとともに「この街のために闘ってまいります」の一文に目が留まった。
具体的にはどういう意味なのか。
「この街」とは「浦和のまち」。
また通常、使われる「戦う」ではなく、「闘う」の字を使っている。
調べると、闘うは「AとBが闘う」という意味。
まとめると「浦和のまちのために浦和駒場、埼スタに乗り込む、あるいはアウェイで対戦相手と闘う」ということだろう。
もう少し考えてみる。
「浦和のまちのなかに長く根付く、空気のような存在である浦和レッズ。その浦和レッズのサッカーで住んでいる人たちに、かかわっている人たちにむけ、恩返しする、あるいは、日々の生活に活力を与えたい」という意味なのでは考える。
思い出すエピソードがある。
在籍時、ポンテの姿をJR浦和駅周辺でよく目にした。
たまたま見かけたときは、周囲に囲まれやしないか、こちらが心配した。後日、話すと、こんな答えが返ってきた。
「この街の人たちは浦和レッズの選手としてではなく、ひとりの住民として見てくれている」と。
だから執拗にサインを求められることも、写真撮影を求められることもなかったという。
「だからこの街が好きなんだ」と笑った。
浦和のために、浦和のまちのために戦った理由のひとつがある。
「この街のために闘ってまいります」
この声明文の一言はクラブ・チーム・選手、そして「浦和のまち」をつなぐ共闘宣言なのである。
・・・・・・