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REDSPRESS EYES|「このチームに来たからこそできることがある。天才と呼ばれた中村祐也のいま|レッズプレス!!

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「このチームに来たからこそできることがある。天才と呼ばれた中村祐也のいま

今回は、浦和レッズユース出身で、トップチームでもプレーした中村祐也に話を聞いた。中村は現在、アヴェントゥーラ川口で選手兼コーチとしての役割を担っている。



(佐藤亮太)



今月下旬、かつて浦和レッズに所属した選手を訪ねた。その名はFW中村祐也。

現在所属するチーム、アヴェントゥーラ川口(関東サッカーリーグ2部)は今月8日、埼玉代表として天皇杯出場を決めた。

初戦の福井ユナイテッド戦を前に、話を聞くべくむかったが、そこには変わらぬ中村祐也がいた。

中村は2005年、浦和レッズユースからトップチームに昇格。

この年、クラブは藤枝東の赤星貴文をはじめ、前橋育英高から細貝萌、東福岡高から近藤徹志、そして同じユースから大山俊輔という将来有望なルーキーを獲得した。

高校サッカー界で活躍した粒ぞろいのなかでも、中村は天才と呼ばれた逸材。未来の浦和を背負う選手として嘱望された。

しかし、その後は長くケガに悩まされ、思うようにプレーできない日々が続いた。

2008年に完全移籍で湘南ベルマーレへ。7年間、プレーしたのち、18年まで町田ゼルビアに所属。その後、栃木ウーヴァFC(現:栃木FC)に加入。昨年からアヴェントゥーラ川口に在籍している。

「ケガもあって、自分の思うようなプレーは必ずしもできなかったけど、トレーナーさんやいろんな人の手を借りながら、なんとか自分の道、自分にできることを探してきた。そのなか、結果を残すことにフォーカスしながらやれてきたのがここまでできた一番の理由」
プロ入りしてから17年目となるサッカー人生を中村はこう振り返った。

その中村が「このアヴェントゥーラ川口に来たからこそできることがある」としたのが、選手兼ヘッドコーチという新しい役割だ。

中村は分析を担当。試合などを編集した映像を選手に送っている。

選手たちは仕事を持っており、限られた時間のなか、チームが集まって映像を見せる時間や場所も作りづらい。

そのため映像を選手個々に送信することで戦術浸透と共有の効率化を図っている。

ちょうど取材日の練習後、中村はタブレットを使って、選手にマンツーマンで説明していた。

「ことしチームには良い選手が入ってきた。トレーニングのなかで成長し、経験を伝えながらチームが良くなっていければ」と中村は話した。

昨年はケガのため、もっぱらコーチを担ったという。

その分、「いままでと違ったサッカーとの向かい方をしている」と個々の成長、チームの勝利に対して、これまで味わったものとは違う喜びがあると語った。

それとともに「いまになって監督・コーチの気持ちがわかる」「当時の自分の理解度が低かった」と自戒を込めて振り返った。

ことし35歳。もうすっかりコーチ業が板についたと思いきや、『シャドーストライカー中村祐也』としての姿はまだまだ衰えていない。

それがわかるのは今月8日に行われた第26回埼玉県サッカー選手権大会 天皇杯埼玉予選決勝・尚美学園大学戦(4−1)で、中村は1ゴール1アシストをあげた。

得点シーンはペナルティエリア中央のパスから抜け出した中村がダイビングヘッド。アシストはペナルティエリア内で相手選手2人を引き付けての横パスだった。

「ボールを持って何かしよう、あるいはボールが来てから考える選手が多いので、自分は3人目の動き、ボールがないときの動きを意識した。そうしたプレーが体現できた」

まさに中村の特長が詰まったプレーだった。

さらに背番号「22」にも矜持を感じる。

「22」は湘南在籍時の2009年からの3シーズンつけていた番号。

つけ始めた09年、当時、J2だった湘南がJ1昇格を決めた。中村は主力として44試合出場・14ゴールをたたき出した忘れがたいシーズンとなった。

「(ゲン担ぎの意味は)めちゃめちゃある。チームは昇格もしたし、点も取れたので、22番がいいかなと」。

選手・中村祐也の気持ちはまだまだ捨てていない。

「アヴェントゥーラ川口の知名度をあげたい」と中村。

そのチャンスとなる天皇杯1回戦の福井ユナイテッドFC戦にむけ、中村は「戦術がしっかり出せれば悪い戦い方にはならない。ただこちらに甘さが出れば崩れるのも早い。ひとつやられてしまうとプレー自体が小さくなってしまう。そうなった場合、改善しながら、試合を進めれば」と分析したが、その通りの展開に。

試合は川口が41分、オウンゴールで運よく先制したものの、61分、78分に失点し2―1で逆転負け。2回戦進出とはならなかった。

試合後、「次に向けて頑張ります」と中村から連絡が届いた。中村が示した次とは、5月30日開催予定の関東リーグ2部・さいたまSC戦だ。その試合の準備に、いまも余念がないはずだ。

最近、中村は試合会場や思わぬところで懐かしい人に出会うという。

「埼玉に帰ってきた感じがする」とそのたびに思うそうだ。

選手として、そしてヘッドコーチとして 中村祐也はアヴェントゥーラ川口をけん引する。

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