(佐藤亮太)
来季に向けた2つの課題と1つの収穫
堅い試合になると思いきや、4−3とまさかの点の取り合いに。試合展開だけをみても単純に見ごたえのあるゲームだった。
それだけに優勝したかったが、今季の成長がじゅうぶんに感じられた。
2分にDF清家貴子、34分FW高橋はなと決定的な場面で外し、さらに清家が負傷交代のアクシデントに見舞われ、さらに2点ビハインドで折り返した前半。
いままでなら、せいぜい1点返すのがやっとだったが、浦和はめげることなく攻め続けて、後半だけで3点を挙げた。
しかも53分のMF栗島朱里→FW高橋、68分塩越柚歩→菅澤優衣香、86分猶本光→安藤梢のゴールはいずれも見事。あの苦しい場面であんな素晴らしいゴールを見られ、このまま押し切れるのでは?と取材する側も、いや、もしかすると選手たちも感じたかもしれない。
しかし、それが良くなかった。
せっかく追いついても69分→73分、86分→88分といずれも5分以内に引き離されてしまった。
この要因を考えると決定力とともに森監督が来季の課題に挙げたゲームコントロールにある。
特に2点目、決まったときのチーム全体の喜ぶ姿。気持ちはわかるが、危うさしか感じられなかった。
指揮官は「締めろよ」「下がりすぎるな」と指示を出したが案の定の結果。終了のホイッスルが鳴ってから喜んでもいいのに……そう思わざるを得なかった。
また心理的なスキを突き、見事に突き放したベレーザ。ゲームコントロールのうまさ、試合巧者ぶりがうかがえる。
それだけに浦和としてはもったいない後半の2失点、もったいない準優勝となった。
負けて得るものなしというが、ちゃんと収穫はあった。
ポゼッションだけでない、空中戦に強く、ボールが収まり、対人に強い2枚のFWを使う いわば、力づくのサッカー。これがタイトルのかかった実戦で、しかもベレーザ相手に機能したことが来季に向けた収穫となった。
強いチームからタイトルを総なめにできる強いチームへ。その青写真のひとつがきょうの試合でしっかり示された。
来季は憎たらしいほど強い浦和レッズレディースになることを期待したい。
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