宣言通り。選手のひたむきさを結果に変えた森栄次監督
5点目を安藤梢が決めた意味
長船が、塩越が、水谷が、猶本が、そして安藤が……まさにゴールラッシュ。圧巻の5得点。強すぎて、口があんぐり。
6年ぶりの優勝へのプレッシャーもなんのその。紅天女たちは実にのびやかに、いつも通り、精緻なプレーと相互補完のサッカーを90分通して披露した。ボールを奪われても3人ががりでからめとり、嵩にかかって攻撃に出る。ロングボールで前に行きたい愛媛だったが、防戦一方。シュート数は浦和の21本に対して愛媛はわずか1本のみ。強い、強すぎる。この一言に尽きる。
印象的だったの5点目、FW安藤梢が決めたあと、ピッチもベンチも大喜びだったこと。
勝利を決定づけた5点目がではなく、安藤が決めたということに意味がある。
安藤はさいたまレイナス時代の04年、浦和レッズレディースになり09年、そして20年と3回、優勝経験をしている。少女から大人の女性へ。そして浦和→ドイツ→浦和へと移るなか、今回はまた違った優勝の味わいがある。
「今回の優勝はいままでと違って、チーム最年長の立場にあって若い選手たちの成長が刺激になった。若い選手、そしてレッズレディースの成長するところにかかわれてうれしく思っている」
17年シーズン、浦和に戻ったときは、良い選手が揃ったそれなりに良いチームだったが、いつもベレーザ、INAC神戸に後塵を拝すなど、勝負弱い未熟なチームだった。
しかし森栄次監督が就任したこの2年、良いチームから強いチームになったその過程を安藤はひとりの選手として見守り、一緒に戦い続けた。
だからこそ、チームは安藤のゴールを心から喜んだのだろう。
得点を、しかもホーム浦和駒場で決めるなんて森監督の言葉を借りれば「やっぱりモッている選手!!」そう叫ばずにはいられない。
でも、モッているのは森監督も同じ。
就任当初、選手たちの頑張りに応えられるような結果、そしてサッカーをと決意を語った。
いまひとつ勝てなかったチームに寄り添い、選手に自信を植え付け、優勝に導いた。
宣言通り、選手のひたむきさを結果で報わせることができた。
孝行娘たちを持った森監督もまたモッている監督だ。
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