取るべき時に取り、耐える時に耐えて2−0の完封勝利。
ノジマステラ神奈川相模原の組織的な守備とカウンターに苦慮しながらも、時にいなし、時にかわしながら、凌ぎ切った。
内容、結果とともに満足のいく勝利を開幕戦でつかみ、目標とするリーグ優勝が絵空事でないことが伝わる。
きょうの試合を見て、昨年との違いに気づいた。それはボールロストの回数。
昨年はパスを出しても受け手がいなかったり、あるいは選手同士でお見合いして、息の合わないシーンが見られた。しかし、きょうの試合を見る限り、そうしたもったいない場面がずいぶん少なくなった印象だ。
そのことを選手にぶつけた。
「ボールにしっかり人が関わっている。また(佐々木)繭が加入して、ボールの角度というか、受けてくれる角度が良い。ここに来てというところでしっかり来てくれる」(池田咲紀子)
「開幕前の練習からそうだが、連係ではどこにボールが出るという共通意識はできてきた。決まった形というより、こうボールが来るからこう来るというところが出るようになった」(長船加奈)
ボール奪取力に長けた佐々木の加入。互いの特長を分かり切った上での連係の熟成などが挙げられた。
ただ、こうしたミスの減少はやはり日ごろの練習の賜物が生きていた。
「紅白戦のほうが公式戦よりも難しい。控えの選手、きょう帯同しなかった選手も含め、質の良い紅白戦ができている。そのため、ミスが少なくなっているのかもしれない」と石原孝尚監督が言えば、「みんな試合に出たい気持ちでプレーしている。だから(練習中から)球際を強く行っているし、意識している」と栗島朱里。
レギュラー争いの激しさや、選手に漂う緊張感がいまのチームには良い形で出ていることが分かる。
栗島の球際の点で付け加えるなら、2点とも流れるような展開からではなく、泥臭くこぼれ球を拾っての得点。ここにも球際の厳しさ、ボールへの執着心が表れている。
優勝を狙うチームにとって、最良のスタートとなった開幕戦だが、選手は一安心しただけで、決して満足はしていない。その証拠に選手から「まだまだ」という言葉が何度も聞かれた。
ただ、「まだまだ」の言葉の裏には現状に対する不満より「まだまだ伸びしろがある」「まだまだ成長できる」という確信が感じられた。チームが手応えを掴んでいる何よりの証拠だ。
次節は中2日、3月24日(土)。昇格組の日体大FIELDS横浜とのアウェイゲーム。
「ほかのチームに比べて、いまのチームは誰が入っても遜色がない」とキッパリと語った猶本光。
昨年と比べ、着実にチーム力は上がっている。その自信が猶本の言葉に凝縮されている。
(佐藤亮太)
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