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試合レポート|2017プレナスなでしこリーグ1部第7節・ちふれASエルフェン埼玉戦=試合ダイジェスト&コメント|レッズプレス!!

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2017プレナスなでしこリーグ1部第7節・ちふれASエルフェン埼玉戦=試合ダイジェスト&コメント

菅澤4得点!7−0で埼玉ダービー制す

大型連休最終日の5月7日(日)、「埼玉ダービー」となる2017プレナスなでしこリーグ1部第7節・ちふれASエルフェン埼玉戦を迎えた。リーグ戦では4月2日(日)の第2節以降、ホーム浦和駒場スタジアムでの勝利がない浦和レッズレディース。前節で、FW吉良知夏に待望の今年初得点が生まれ、結果も3−0の完封勝利で弾みはついた。3連戦のラストを飾るホームゲームを、勝利で飾ることを信じ、会場には1752人のサポーターが集まった。

6分、早くも試合が動いた。浦和はサイドチェンジでピッチを広く使うと、左サイドバックDF木崎あおいのクロスボールは相手守備陣のクリアにあうが、セカンドボールをもう一度、浦和勢がキープ。攻撃を組み立て直した。きょうは、ボランチのMF猶本光がペナルティエリアに近いところでボールに関わる機会が多く、この場面でもしっかりと顔を出した。最後はボランチMF筏井りさから受けたボールに対し、ミドルレンジから積極的にシュートを放ってゴールネットを揺らした。

その後もセットプレーを含めて攻勢を仕掛けたが、いずれも枠を捉えず。11分には右CK(キッカー筏井)から中央でDF長船加奈が落とし、DF高畑志帆が合わせるも大きく外した。セットプレーを得意とする高畑、ピッチをたたき、悔しがった。我慢の時間となる中で、追加点が取れないことに焦りを見せるのか。耐えた末に決定打を出せるのか。1−0で前半を終えるかと思われた43分、MF筏井が魅せた。

筏井の特長は、ラストパスにつながる正確なパス。ジェフユナイテッド市原・千葉レディース時代でともにプレーした今季加入のFW菅澤優衣香のストロングポイントを、長めのパス1本で生かし、貴重な追加点につなげた。筏井からパスを受けたFW菅澤はゴール前で得意のヘディングで合わせ、きっちりとFWとしての仕事を果たした。

第7節を振り返れば、浦和が苦しんだのは2点目を奪うまで。2点のアドバンテージを得て臨んだ後半は、ゴールラッシュとなった。相手はハーフタイムで2人同時交代の策に出たが、浦和は守備をハッキリとさせ、良い守備から良い攻撃につなげた。59分、こぼれ球を中央から狙ったFW吉良が2試合連続得点を決め、3−0。62分にはFW菅澤がMF加藤千佳のグラウンダーのボールに合わせ、自身2点目を獲得。中央でMF筏井がボールをスルーし、FW菅澤にボールが渡った時点で1点ものの場面だった。2分後の64分には右CK(キッカー:筏井)からDF高畑が頭で合わせ、ネットを揺らした。

5−0と相手の戦意を喪失させた浦和は、FW菅澤が質の違いを見せた。71分、後方からの浮き球に合わせ、GKの前に入って勝負あり。ハットトリック達成。79分には右CK(キッカー:筏井)にニアで合わせ、DFを背負う角度のない状況も、右足で技ありの得点を奪った。1試合3得点はジェフ千葉レディース時代にも決めていたが、4得点は「覚えがない」と話す。

埼玉ダービーは、7−0と浦和が完封による大勝で締めくくった。大量得点にばかり目が向けられがちだが、今節の勝因は、6分の先制点から2点目が入るまでの時間帯をチーム全体として我慢したことだろう。前線からの守備も効き、GK池田咲紀子を含む守備陣も高い集中力を保ち続けた。

67分には、5−0になったこともあってベンチが動き、GK松本真未子が投入された。2015年にトップチームに登録され、昨季に正式に昇格が決まったGK松本は初出場を記録。スタンドからも大きな歓声があがった。今年の大型連休はどこか悶々とする日が続いたが、浦和レッズファミリーのレディースチームが最後に結果と内容で浦和レッズサポーターに笑顔をもたらしてくれた。


2017プレナスなでしこリーグ1部 第7節 ちふれASエルフェン埼玉戦
日時/5月7日(日) 14:00キックオフ
会場/浦和駒場スタジアム(埼玉県)
試合終了/7対0 (前半2対0)勝利
観客数/1752人
主審/千葉恵美
副審/原田一輝・三國真緒
第4の審判員/斉藤清美

浦和レッズ
監督/石原孝尚

≪先発メンバー≫
GK:池田咲紀子(67分→松本真未子)
DF:栗島朱里・長船加奈・高畑志帆・木崎あおい
MF:柴田華絵(66分→塩越柚歩)・筏井りさ・猶本光・加藤千佳(78分→清家貴子)
FW:菅澤優衣香・吉良知夏

《SUB》
DF:南萌華・三谷沙也加
MF:水谷有希

□得点□
6分/猶本光
43分・62分・71分・79分/菅澤優衣香
59分/吉良知夏
64分/高畑志帆

≪石原孝尚監督≫
(勝利は)良かった。ようやく選手たちが決めてくれた。(ホームゲームでの勝利は)前回から少し長かったが。CKのチャンスやクロスボールなど、ずっと合わなかったが、そこが形になったのはとても良かった。

(きょうの試合を迎えるにあたっては)仙台と対戦した中で、自分たちらしさがなかったので、ゴール前に少し早くというか、背後のところを狙うことにこだわっていた。それが伊賀戦で少し形になり、気を抜かず、継続していこうと思っていた。

INACやベレーザ戦では自分たちがどのくらいやれるのかにトライして手応えがあった。そこからしっかりと勝ち切るところに選手たちが意識し、3試合無失点でやれているのかな。

きょうは筏井りさがMVPでも良いくらいのゲーム。攻撃も守備もしっかりとコントロールしていた。2トップの調子も良い。(右サイドバックの)栗島朱里も積極的にやってくれていた。そういう攻撃があれば、相手も守りにくいと思う。

(GK松本真未子の投入は)浦和には池田咲紀子、平尾知佳、松本真未子と良いGKがいる中で、平尾が練習中に少し接触があったので、きょうは松本がサブに入っていた。スタッフ間でチャンスがあれば使いたいねと話をしていて、点差も広がってゲームもコントロールできていたので(投入した)。松本も十分にやってくれる選手であり、良い形で経験を積めて良かった。

(2トップは)吉良知夏の調子が本当に良い。しっかりとボールを収められるし、背後も狙える。その中で、今、菅澤優衣香がより自由にやれているかな。お互いの良さを引き出している。(攻撃陣は)塩越柚歩がトップ下でボールを持って前を向けるという武器もあるし、清家貴子のように迫力あるFWもいる。清家はケガ上がりではあるが、誰が(スタートから)行っても良い。今は吉良と菅澤だが、どんどんと変わっていけたらなと思う。

(菅澤の4得点は)決め切るところを決める力は日本の中でもトップクラス。それがしっかりと形になった。何試合か、彼女も悔しい思いをしていると思うが、フィニッシュのところの精度は高い。(中でも、4点目は)すごいと思った。先週もヘディングで合わせて決め切れていなかったこともあるので、これから得点を重ねてくれるのではないかと思う。

(先制点を奪った猶本光は)攻撃の作りのところをINACやベレーザに対してしっかりとやっていた。彼女らしい攻撃参加というところは、彼女も忘れていたではないけれど、(ここ数試合で)彼女らしさが出てきたなという感じがある。

まだ終わっていない。リーグ自体が混戦。1つ1つ積み重ねていくのが大事。一度、9位になったこともある。その時も、チームには9位の雰囲気はなく、自分たちがどういうサッカーをするかというところにこだわり、ただ、その中でも形にしていくことも大事だというのを話しながら、選手たちはやっている。今、これで順位がどこかはまだ気にしていない。

まずは自分たちがしっかりとしたサッカーをして、その上での結果というところは言い続けている。プレシーズンから良い準備が出来ていて、INACやベレーザに対しても自分たちの課題も多かったが、打ち込めるんだという自信もあった。その自信があって、きょうのようなゲームにつながっているかな。順位はあとからついてくるものだと選手たちは分かってくれている。

≪キャプテン柴田華絵≫
逆サイドにボールがある時には「中に入っていいよ」石原監督にもそう言われていて、(その場面では)結構中にしぼって、ボランチと近い関係でプレーすることを意識してやった。(守備面で)あまり危ない場面はなかったと思うが、ボールを奪われた時に味方が近くにいるというのが私たちの良いところ。意識できた。あとは失点しないことをみんなで言いながらやっていた。

3連戦の最後だったが、前回の伊賀戦で勝ったので、この勝ちを続けようという勢いと、あとは(前回の対戦結果や前節の勝利で)うまくいくとは限らないという話をしていたので、気持ちも入っていた。

(仙台戦でのスコアレスドローは)相手がしっかりと組織立って守備をしてきた中で、自分たちはボールを全く動かすことができなかった。その試合を終え、自分たちでしっかりと考えながらサッカーができるようにと言ってきたし、そういう風にされた時にどう対応するかという対策も話し合ってきた。少しはあの試合で成長できたのかなと思う。

≪池田咲紀子≫
今後の得失点差を考えても、大量得点で、かつゼロで終えて勝てたことはとても良かった。(松本)真未子は普段の練習から一生懸命にやっているし、平尾もそうだが、誰が出ても出来る。素直に頑張って欲しいと思って、交代の時は笑顔で交代することができた。

(ダッシュでの交代は)キョウイチのダッシュ(笑)。試合を楽に運ぶためにも追加点は欲しいところだったが、後ろはしっかりと集中してゼロで前半を折り返せたことは良かったところだ。得点を重ねていくにつれて、どこか甘くなっていく、ポロっと気が緩む時があるかなと思っていたので、後ろだけでも(集中を)切らさないように、少し厳しめに声をかけ続けた。そこもGKとしてやるべきところだったのかなと思うので。ちふれも得点力があるチームだし、そこでやられてしまうのが今までの私たち。3点取るまでは危ない、まだ何があるか分からないよと声かけしながら、(高畑)志帆さん、フネさん(長船加奈)を中心にしっかりとゼロで行こうと、得点が入るたびに声をかけていた。

《松本真未子》
4−0になった時に「行くぞ」と言われた。緊張が大きかったが、楽しみもあった。ピンチというピンチがなかったので良かった。上の2人がとても良い選手であるので、負けないように常に良い準備をし、いつでもきょうのように出られるように頑張っていきたい。(交代時の池田咲紀子が)笑顔で送り出してくれたので、私は自信を持ってプレーできた。あの笑顔で緊張が少しほぐれたし、(きょう一番走ったという言葉には)感謝する(笑)。

(駒場のピッチで声援を受けたことは)気持ちが良かった。私がベンチ入りした時、とても大きな声で応援してもらっていて、それが結果に見えていないのが悔しかった。きょうピッチに立った時、グラウンド上であの声を聞くことができて、本当に感謝でいっぱいだった。今度はスタートから出てフル出場が目標なので、そこを達成できるように、そしてレベルアップできるように頑張りたい。

(ファーストタッチまでの間)緊張していたので、自分の中でおどおどしていたのかなと思うが、何もなくて良かった。(世界大会の経験があっても、おどおどしたのか?)浦和レッズレディース(の一員として出場する)ということが、ジュニア時代からの目標だったので。そこは嬉しかった。

《長船加奈》
良い時間に先制点を取ることができたのは良かったが、いつもそこから崩れてしまうことが多いので、声をかけあって、絶対に「もう1点、取りに行こう」と言っていた。後ろは後ろで、「無失点で行こう」とみんなで声をかけあっていた。

(ハーフタイムでも守備を再確認したのは)ジェフ千葉レディース戦の時、そこから巻き返されたこともあったので、(危ないスコアということは)みんなが身にしみて分かっていた。(仙台戦のドローから)相手の状況を見ながらのボランチの位置や、無理に中にボールを入れなくても外回りで前に運んでいくことなど、練習の中でやっていた。その部分をみんなが出来ている感じがあった。仙台戦の反省が生きたのではないかと思う。

きょうは前線から本当によく守備に行ってくれた。その中で良い攻撃も出来ていた。守備は助けられている。(前線が疲れた時にもしっかりと耐えていたが)耐えることは守備陣として大事だから(笑)。

《高畑志帆》
前半、後半とトップの選手が疲れてきている時間帯があって、その時には、中盤とディフェンスラインの距離感は意識した。相手にスペースを与えないという点はできたかな。

良い時間に先制点が取れて、その後、相手も修正してきて、自分たちの良い時間は長く続かなかったが、その中でもいかにして失点しないか。相手よりも良い準備をすることを意識してプレーした。

(11分の好機は)あそこは決めきらなければいけない。決めていれば、もう少し楽になったかなと思うので、今後、自分も(決定力には)こだわっていきたい。あそこで外していた分、(後半のセットプレーでは)自分が決めて、チャラにしたいという気持ちがあった。それがゴールにつながって良かった。

仙台戦は相手が浦和のボランチを消してきた。自分たちにはボールを動かしたい気持ちはあるが、(攻撃の選択肢として)背後も持っておかないと、そこに怖さは出てこない。背後を持ちつつのボールの動かしについては、仙台戦後から取り組んでいること。FWは良いアクションを見せてくれている。そこを使うか使わないかはボールを持っている選手の判断と周りとの関係。その使い分けは、後ろの選手でもできたらなと思う。


《筏井りさ》
(菅澤優衣香の良さは)パスを出しやすいスペースを見せてくれる。あとは自分のボールの精度だと毎日のように思って(菅澤を)見るようにしていた。きょうは、ジェフ千葉レディースの時から見ていた形で、相手の頭を越せば決めてくれるかなという動き出しをしてくれたので出した。とても久しぶりで、うれしかった。

パスもだが、その前にボールを受けられた動きも今まで取り組んできたこと。慌てずにそこに入ることができて、精度の高いボールを入れられた。周りとの連携としては良くなっている。あとは点を取ってもらうだけ。

良い時間帯に点が入ると楽になるし、前節も3得点決めて勝っている。少しずつ自信がついてきたかな。仙台戦は相手に狙われ、ハメられて負けたという感じ。学んだところは、逆の手を持っておけば、こんなに楽にプレーできるのだということ。それが少しずつ分かってきたので、どんな相手にもできるように、時間帯とか流れとか、みんなで話し合ってコントロールできれば、勝ち点を積み重ねられるのかなと思う。


《猶本光》
きょうは全体的にアグレッシブにプレーできた。7−0という結果にそれが出ていると思うし、無失点で終われたことは今後につながる大きな収穫だった。(得点は)あの位置でボールを受けることは今までにもあったが、全部足もとに止めてしまってシュートを打てずにいた。

きょうはファーストタッチでしっかりと相手を外していこうと決めていたので、入って良かった。相手を外したところまでは覚えているが、あとは思いきり打っただけ。高い位置でボールを受けることができていたので、自分らしいプレーがたくさん見せられたと思う。

みんなが少しずつポジションを修正しながら、顔を出していた。FWも常にアクションを起こしていたと思うし、とても良かった。きょうは7−0で勝ったが、次は次。しっかりと良い準備し、また勝ちたい。

連戦の3試合目。どうかな?と思ったが、自分自身も良いコンディションで臨めたし、みんなもしっかりと動くことができていた。攻守両面で相手を上回ることができた。

《菅澤優衣香》
ハットトリックは覚えているが、4点は覚えがないから……もしかしたら初めてかも。前回も(筏井りさからの)CKがあって、結構良いミートだったが、枠には入らなかった。今回はヘディングではなく、足だが、(前節の感覚が)生かせたのかな。(筏井)本人は頭を狙ったと言っていたが、足もとに来たが、しっかりと決めることができて良かった。

(猶本光の得点後は)ボールはまわるけれど、なかなかゴール前までの崩しはうまくいかなかった。もどかしい時間帯は少し続いてしまったが、その中でも2点目を決められたのは、うまく自分たちでゲームをコントロールすることができたのかな。焦らずにゲームができたかなと思う。1−0で終わるよりはもう1点、2点取っておいた方が気持ちに余裕が出ると思うので、1点を取れたことは良かった。

《吉良知夏》
コンディションは悪くなかった。そういう面でも、きょうも絶対にチャンスはあると思っていた。ただ、前半はゴール前に入ることができていたが、あと一歩でボールに触れられないシーンがあった。だから、きょうは触れないのかなと思ったが、後半、こぼれ球に対してしっかりとおさえて決めることができた。ホームで決めたいものだし、これまで決定的なチャンスを外してきたので、ようやく決めることで良かった。

チーム全体で仙台戦を振り返り、ピッチの中で気が付いたらそれをどんどんと言っていこうと、それを2人、3人が気づくのではなく、11人みんなで共有して戦っていこうと話していた。最終ラインがボールを持った時の背後の動きは、仙台戦後から増えてきたのではないかと思う。

INACとベレーザと試合し、中でもベレーザ戦は主導権を握れた試合だった。負けはしたが、自信を持ってポジティブにずっと続けてこられた。仙台戦で、それを見せられなかったのは残念だが、勝ち点を取れたことをまたポジティブに考えて、毎試合毎試合、自分たちも積極的にやろうとミーティングで言ってきた。そこは自信を持ってやれている。

(3試合無失点だが)守備陣が体を張って守ってくれている。前線もそれに刺激を受けて点を取らなければという気持ちが強い。そういう意味でも、(菅澤)優衣香が取って、光が取って、自分も決めなくてはいけないなと少し自分にプレッシャーをかけながらプレーする中で、後半に決めることができた。

(有賀久子)
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