涙の今季初勝利 1−0完封勝ち
開幕戦の引き分け以降、浦和レッズレディースは浮上のキッカケをつかめぬまま、6連敗と最下位だった。吉田靖監督は「勝利への執念」という言葉を使い、選手も「死ぬ気でいくだけ」「失うものは何もない」と覚悟を決め、5月7日(土)、ホーム浦和駒場スタジアム(埼玉県)で迎えたゴールデンウィーク連戦のラストゲーム『2016プレナスなでしこリーグ 1部』第8節の伊賀フットボールクラブくノ一戦に臨んだ。
吉田監督は、前節のベガルタ仙台レディース戦からGK平尾知佳を起用。また、ボランチは猶本光の左足首負傷を受けて、筏井りさを投入した。
現状、負の連鎖から消極的なプレーが目立ち、流れの中から好機を作り出すことができずにいた。連戦で調整期間も短かったことも重なり、チームで試合前日となるきのう5月6日(金)、セットプレーの攻撃を徹底的に確認したという。
実際、前半から前線でボールをおさめきれず、単発な攻撃が続いた。右サイドバックの乗松瑠華が高い位置を取るも、パスがことごとく相手DFに引っかかり、乗松自身、波に乗れずにいた。ただ、チームはサイドチェンジを入れながら、逆サイドの北川ひかるが積極的に攻撃参加へ絡んでいたのが救いだった。
0−0で迎えた65分、ベンチが動き、塩越柚歩が投入された。加藤千佳との交代で、左の前めでプレーを続けた。66分、中央を経由し、左の北川が長い距離を走り、相手の深い位置へ。GKとDFの間に鋭いボールを入れたが、前線のFWに合わせなかった。
69分、前日に練習を重ねてきたセットプレーの機会に恵まれた。右CKのキッカーを筏井が務め、相手GKがボールをこぼしたところをつめたが、得点ならず。反対側からのCKへ。左CKは、北川がキッカーを務めた。一度は弾かれるもこぼれ球が北川に戻り、GKとの競り合いにセンターバックの高畑志帆が勝ち、頭で触れたボールはゴールマウスへと吸い込まれた。待望の先制点に、高畑は大きなガッツポーズを決めながら、ベンチの仲間のもとへ走り寄り、喜びを分かち合った。あとは、次の1点を狙いながらも確実に守ることが求められた。
相手は同点を狙いに一気に圧力を仕掛けてきた。浦和は、自陣でのプレーを余儀なくされる。ベンチが早めに動き、75分、乗松瑠華を下げて臼井理恵を投入。5バックとして守りを固める意識を強めた。途中、伊賀にFKの機会を与えるが、ボールはGK正面に入り、平尾は難なくキャッチ。ピンチを逃れた。
吉田監督の檄が飛ぶ。控えにまわっているキャプテン後藤三知はウォーミングアップしながらも、右に左にボールが動くたびに自身も動き、仲間たちに声をかけ続けた。そして後藤は3人目の交代として、終盤のピッチに立った。
北川の奮闘ぶりを中心に、1人1人が最後まで体を張って、練習の成果であるセットプレーからの1得点を守りきろうとする浦和。アディショナルタイム2分を経過したところで主審の笛が鳴り、歓喜の輪に包まれた。対伊賀FCに1−0の完封勝利をおさめ、浦和レッズレディースが今季待望の初勝利。一歩を踏み出した。(有賀久子)
2016プレナスなでしこリーグ1部 第8節 伊賀フットボールクラブくノ一戦
日時:5月7日(土)13:00キックオフ
会場:さいたま市浦和駒場スタジアム(埼玉県)
試合終了:1ー0(前半0ー0)勝利
主審:井脇真理子
副審:吉澤久恵・桐原純子
第4の審判員:堀川うらら
《浦和レッズレディース》
GK:平尾知佳
DF:乗松瑠華(75分→臼井理恵)・長船加奈・高畑志帆・北川ひかる
MF:柴田華絵・筏井りさ・栗島朱里・加藤千佳(65分→塩越柚歩)
FW:吉良知夏・白木星(89分→後藤三知)
《SUB》
GK:池田咲紀子
DF:長嶋洸
MF:長野風花・三谷沙也加
監督:吉田靖
□得点□
70分 高畑志帆(浦和)
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