来月、オーストラリア・ニュージーランドの共同開催となるFIFA女子ワールドカップ2023に向け、サッカー日本女子代表=なでしこジャパンのトレーニングキャンプが27日から高円宮記念JFA夢フィールドで始まった。
約1時間半のメニューではウォームアップ中心。1チーム6人、4チームに分かれ、ミニゲームを行い、汗を流した。
練習後、取材対応した猶本光。
ワールドカップの舞台でどのようなプレーを見せるか、見せられるかを目標にこれまでやってきた。そして初選出。
会見では2度、涙を見せたが「ゴールではない」とキッパリ。
ようやくスタート地点に立った、という心境だろう。
その猶本、選出発表直後、私淑する安藤梢からはこんなことを言われたそうだ。
「シロクマにならないように」
一体、どういう意味か。ケガをしないようにという意味だが、なぜシロクマなのか、もう少し説明が必要だ。
遡ること8年前の2015年。カナダで開催された女子ワールドカップ。安藤は大会初戦のスイス戦で負傷。グループステージ2戦目終了後に帰国した。
その際、チーム内ではスイス戦で安藤が着用したユニフォームを着せた、ぬいぐるみをベンチに入れたいというアイデアが出た。
そのぬいぐるみというのが開催地・カナダにちなんでシロクマとなった。
つまり、2015年の二の舞を踏まないようにと「シロクマにならないように」ということだ。
今季、自チームではトップ下を任されたが、猶本自身、代表ではボランチあるいはインサイドハーフでの起用でないかと語った。
ただ、役割はそれだけではない。
それはフリーキックのキッカー。
猶本は世界一になった2011年大会を振り返りながら、全員で身体を張った守備でしのぎながら、名手・宮間あやのフリーキックで勝ち上がった例を挙げ、「フリーキックは大事になる」と重要性を語るとともに、宮間あやの再現を誓った。
本大会にむけ、猶本は「チームの団結が大事と言われている。安藤さんだけじゃなく2011年のメンバーもそうだったがいかにみんなが同じ方向をむいてまとまれるか、この大会で上にあがっていくには一番大事。
そのためにはお互い認め合うことが重要。個性の強い選手が集まるのが代表チーム。その個性を認め合って、勝っていければ、まとまるよと梢さんが言っていました(笑)」と過去の成功体験を今回の大会でも生かす。
さて初日のトレーニングを終え、「良い表情で集まれた」と池田太監督。
ミーティングでは今回の合宿、来月、仙台で行われるMS&ADカップ2023、そして本戦までの簡単な流れを伝えるとともに「ここから出発。この選んだメンバー全員で戦っていく」と選手に決意を伝えた。
そのはじめとなる合宿ではどのようなことを行うのか。
選手たちのコンディション調整とともに、戦術的には新しいことはあまりやらず、これまでやってきたことの再確認に重きを置くとともに「細かい部分の共有ごとを増やしたい」と細部にこだわり、精度を高くする狙いがうかがえる。
目標については「大会に参加する以上、一戦、一戦を戦って頂点を目指すというのはある」と具体的な言及はなかった。
なおキャプテンについて、池田監督は浦和OGである熊谷紗希に決まったと明言。
その理由を「経験やリーダーシップもある。スタッフとさまざまなコミュニケーションがとれる選手。中心になってチームをまとめてくれたらなと思う」と大きな期待を寄せた。
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