ことし7月、ニュージーランドとオーストラリアで共同開催されるFIFA 女子ワールドカップにむけ、なでしこジャパン候補の選手の横顔・人物像を知ってもらおうという趣旨でJFA主催のメディア向けオンライン会見が行われた。
数チームの選手が参加するなか、11日、三菱重工浦和レッズレディースDF清家貴子、MF猶本光の2選手が登場した。
ひとり1時間のオンライン会見で語られた、その一部を紹介したい。
今シーズン、トップ下で起用。前後左右に顔を出しながらチーム全体を動かす。
その動かしぶりは、上空から見下ろす鳥のように、フィールドにいながらにして、すべてがわかっているような全能感さえある。
ある試合後、こちらの「全部、見えているのでは?」との不可思議な問いに猶本は「全部、見えてなくはないです」と遠回しな返答。
ただ「調子が良いのは間違いないです。いま怖いのはケガですね」と言うほど心身ともに充実の様子だ。
その猶本が尊敬してやまないのが安藤梢。
公開練習取材のときは一緒にピッチに入り、練習が終われば、一緒に出るほど。
はた目には猶本が安藤にくっついているように見え、仲の良い姉・妹のようだ。
改めて猶本にとって安藤梢はどんな存在なのか。
この問いに猶本は2つの面で語り始めた。
ひとつめは女子サッカー界としての安藤梢。
「新たな道を切り開いたパイオニアの存在。安藤さんがドイツに移籍したことで、ほかの選手が海外に行くようになりました。
そしていま、40歳になってもトップリーグでプレーしていること。この前の試合(WEリーグ第8節・千葉戦)でもゴールを決めましたし、首位争いをするチームでレギュラーとしてプレーしていることはすごいことだと思います。筑波大学助教との二刀流。いままで誰もやったことのないことをやっている、新しい道を開拓している人と思います」
そしてもうひとつが猶本にとっての安藤梢。
「サッカー選手、プロ選手として食事、体調管理などどう生活をすればいいのか」とまさにお手本。サッカーの教科書のような存在であることがわかる。
長い付き合いのなか、猶本は一度だけ安藤に叱られたことがあった。
それは食事について。
猶本によれば大学4年のころ。
当時、食べる量は少なく、アスリートとしての食事を摂れていなかったという。
それを聞きつけた安藤。
猶本の食事を見て「え?!こんな食事じゃトレーニングする意味がないでしょ」と叱り、
「一緒に来なさい」と猶本を食事に連れ「これを食べなさい」と鍋を出したそうだ。
「普段は怒らないので・・・結構、ヤバいくらいでした」と猶本が振り返るほど、衝撃的な出来事だったことがわかる。
※ちなみに猶本はいわゆるスナック菓子は子どものころから苦手でほぼ口にしないそうだ。
うまい選手から強い選手へ。そしてパサーからゴールも取れる選手へ。
2023年は猶本光の年になることは間違いない。
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