(佐藤亮太)
厳しい結果となった。
なでしこジャパン候補合宿、初の練習試合となった八千代高校1・2年チームとの30分×3本のゲームは0−5の敗戦となった。
試合は一方的な八千代高校のペース。
開始55秒、混戦からクリアボールを拾われると、ミドルシュートを決められて失点。28分にはパスミスからショートカウンターで追加点を奪われる。
2本目の9分には左サイドから進入を許し、中央でピンチに。2度バーに助けられたものの、押し込まれた。
続く10分にはパスミスからカウンターを食らい、相手のドリブルを抑えられず。2本目18分あたりでメンバーを大幅に入れ替えるも巻き返しならず。3本目の12分、カウンターから一度シュートブロックしたものの、押し込まれて計5失点となった。
なでしこジャパンはサイドから、あるいは最終ラインから前線へのロングボール、サイドチェンジから攻撃を組み立てようとしたが、連係不足は否めず、パスミスが散見。カウンターを受けるシーンが目立った。
(1本目)
GK山下杏也加
DF清水梨紗・高橋はな・南萌華・宮川麻都
MF宮澤ひなた・猶本光・中島依美・杉田妃和
FW菅澤優衣香・植木理子
(2本目開始)
GK山下→GK池田咲紀子
FW菅澤→FW田中美南
(2本目・18分)
GK池田咲紀子
DF清水梨紗・乗松瑠華・三宅史織・北川ひかる
MF成宮唯・長野風花・隅田凛・杉田妃和
FW田中美南・小林里歌子
(3本目)
GK田中桃子
DF三宅史織・乗松瑠華・大賀理紗子・北川ひかる
MF成宮唯・長野風花・隅田凛・小林里歌子
FW上野真美・田中美南
池田監督の目指すサッカーとは何か?
きょう開かれたオンライン会見での選手の言葉からキーワードが少しずつ明らかになった。
「前から行く、前から奪う」「前向きにボールを奪いに行くサッカー」(GK池田咲紀子)
「前から奪って前に向かうという共通認識。守備では強度を高く、一歩、寄せにいく」
「前線からのプレスが大事。守備の要素が求められる」
「(池田監督のサッカーに求められるのは)運動量・スプリント・球際」「縦に速いサッカー」(FW田中美南)
「(左サイドバックとして)上下動の運動量とクロスの向上」「奪ったあとに前に行く」(DF北川ひかる)
「失点後、消極的にならず、攻撃では前に仕掛けられた。守備ではより前から守備をかけられた。センターバックとして背後だけでなく、前に潰しにかけられた。それは全体の連動があってこそ」(DF南萌華)
池田太監督が目指すのは前線からプレスをかけ、できるだけ敵陣内深いところでボールを奪い、ショートカウンターから手早くゴールを決めるサッカーということか。
きのうの試合では3本目9分、カウンターからFW田中のスルーパスにMF成宮がシュート。惜しくも枠外となったが、ひとつの形はあった。
雨のなか、ライン際に立った池田監督からは「連動!連動!」「もっと早く。もっと切り替えを意識して」「テンポ!テンポ!」「そこ関わろう」と指示の声が飛んだことからでもわかる。
ただ前へ前に行きたくても特に1本目は相手のスピードに対応できず、完全に押し込まれてしまい、受けに回ってしまったこと。
また押し込まれてから跳ね返そうにもパスミスなど連係不足からカウンターを食らう。さらに縦へのロングボールと起点のバリエーションが少なかったことが大量失点・無得点の要因だ。
ただ選手はトライできたこと、チャレンジできたことに関して、等しくポジティブにとらえている。
「自分たちのトライするところ、ピッチでやっていこうというところは見せてくれた。その姿勢には満足している」と試合後の池田監督。
今回の候補合宿はコンセプトを示すこととともに、どれだけ選手が取り組んでくれるか。結果ではなく姿勢と手応えを見る目的と捉えられる。
今後はその精度と質をどれだけあげるかにかかっている。
精度と質の向上。勝つためには何が必要か?
FW田中が今夏のオリンピック東京大会を振り返りながら、そのヒントを示した。
「組織頼みになってしまう分、相手と1対1になったとき、やられてしまった。1対1で負けない。球際で負けないなど個人能力の向上が大事」
日本が得意とする組織力にいかに高い個人能力を乗せていくか。
これが強豪国に追いつく処方箋。
この難しい課題に池田監督率いるなでしこジャパンは挑む。