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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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この展開で勝ち切ったというのが最大の成果 (J1第24節・名古屋戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:8月18日(金)に埼玉スタジアム2002で行われた明治安田生命J1リーグ第24節、名古屋グランパス戦は1−0で浦和が勝利しました。

都築:この試合展開で勝ち切ったというのが最大の成果だと思います。後半の5分、10分くらいまではレッズがいい形で攻撃できていましたし、勝ち切れない試合が続いていましたから、勝利という結果が出たのはよかったですね。内容に関しては、ちょっとおいておかないといけないところはありますが。

やっぱり、いい時間帯の時にやりきるということが大事ですね。ちょっと無理めなシーンもありましたけど、最後はシュートで終わることが多かった。外れたとしても一回プレーが切れたり、コーナーキックになることもあります。そういうところを徹底してやれていたのかなと思います。前節のこともあったので、意識してやっていたのかなと感じました。

後半の途中からは、ばててしまったのかなというところがあってほとんど一方的にやられてしまいましたけど、粘り強く守れました。前半の最初のほうから1対1の局面が続いていて、これがファールなのかファールじゃないのかといったこともいろいろありましたが、よく戦っていたと思います。明本考浩選手をはじめとして、中盤でも戦う姿勢が見えました。

ただ、仕掛けにいったときに何もできなかった場合はピンチになっていました。気になるのはやっぱり、大久保智明選手のところです。勝負を仕掛けて行っても抜けなかったりシュートで終われなかったり、彼だけはやり切れなかったのかなという感じがありましたし、ここ最近ずっと続いています。

クロスを上げきったりシュートを打ち切ったりと、最後のところで抜き切れないところがいまは目立ちます。それができないので、中盤におりて受けてさばいて動きなおして、ということもやろうとしていますが、彼の持ち味はそうではないですよね。

切り返してカットインからのクロスを上げても、あまりいい質のボールが上がっていません。ちょっと逃げのプレーになってしまっているように映ります。酒井宏樹選手と連携して崩していったりが出来ていたときは非常に良かったので、今の状態は課題ですね。

RP:この試合は小泉佳穂選手がひさびさのスタメンでした。

都築:ちょっとやっぱり、ACLのときからずっと気になっているところがあります。前を向けない、受けて落としてのことろでミスになってピンチを招いてしまうシーンが多いかなと思いますね。起点を作る良い場面もありましたけど、彼もまだまだですかね。もう一個高い位置でプレーできればいいかなと思いますが。

RP:先制点は、2試合連続でホセ・カンテ選手のシュートからでした。

都築:あれは相当難しいシュートですよね。あのタイミングで打たれると、GKとしても対応が難しくなります。守備のプレスが甘かったのもありましたけど、あそこでダイレクトで打ったことでGKは反応できませんでした。コンディションも良いんでしょうね。いまはかなりアグレッシブにやれています。

しかし名古屋は非常に良いチームだなと感じました。崩しのところで森島司選手が起点になっていましたし、途中から出てきた久保藤次郎選手も危険でした。最後のシーンは、岩波選手がよくスライディングに行きました。いろいろと局面が変わったゲームでしたが、種のところでは対応できていたと思います。

やっぱり、やりきるというのは大事ですね。それの質を上げていくことです。シュートもそうだし、抜き切ってクロスを上げ切るところなど、最後の質は上げていかないといけません。そこが粘って勝つことにもつながります。

RP:欲を言えば、もう少し後半も攻撃したかったところです。

都築:中盤と前線の選手が空きすぎていましたね。全体のラインも下がってしまっていましたが、あと一歩二歩上げられれば変わったかもしれません。途中から、バイタルエリアだけをしっかり抑えて守ることに切り替えたというか、流れでそうなっていましたね。

ただ、あれも一つも守り方ですし、それはそれで良いのかなと思います。そう言えるのは結果として勝ったからでもあるので、ああいう展開にならないように、ラインを押し上げることは大事です。一歩でも二歩でも良いんですよ。でもそうなっても守れているのは今季の強みですね。

RP:次はACLのプレーオフになりますが、火曜日が試合で金曜日にはリーグ戦もあり、メンバー選考が難しそうです。

都築:まず、ちょっと暑すぎますね。名古屋戦も相当暑かったでしょうし、選手がかわいそうです。それもあってメンバーを入れ替えながらやっていくことが大事ですが、変えてもいける選手はいると思います。試合展開次第では早めに交代も出来ると思いますが、まずは勝ちあがらないといけません。

最初から変えていくのか、リードしてから早めに入れ替えていくのかは当時になってみないとわからないところですね。あとは、湘南戦はマリウス・ホイブラーテン選手が出場停止になりますが、ここまで相当効いてましたので、そこを狙われる可能性があります。CBについてはいままで変えてこなかったですが、たぶん岩波拓也選手になるでしょうし、彼の出来が大事になってきますね。


RP:ありがとうございました。


(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
 
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

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