浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。
都築:結果は最高でしたね。京都が勝ててない中での試合だっただけに、勢いもあってモチベーションは高かったです。球際も激しくて、最初に岩尾憲選手が奪われたシーンなど、相手のプレッシャーがきつくレッズはペースがつかめませんでした。
岩尾選手が開始直後に目測を誤ってファウルで止めたシーンもありましたし、浮足立っているわけではないと思いますが会場の雰囲気に飲まれたかのような試合の入り方でした。あのファウルでイエローカードが出なかったのがラッキーでした。
京都が『何が何でも先制点を』というプレッシャーをかけてきた中で、レッズも細かいミスはありましたが失点はしませんでした。京都の気合はよく分かりましたけど、攻撃も守備も、最終的な質のところはちょっと落ちるんでしょうね。
中盤の川崎颯太選手が代表に選ばれて注目されていましたが、ほとんど仕事をさせませんでした。サイドでは荻原拓也選手が守備には追われていましたが、そこの攻防はけっこう見ごたえがありましたね。
そうした膠着した展開で、相手のプレッシャーがきつく、レッズもいつもよりはボール回しがうまくいきませんでした。かいくぐってチャンスになる場面もありましたが、決定的なチャンスにはならなかったですね。
シュート数はある程度ありましたが、得点シーン以外は、相手GKが嫌な感じになるようなものは多くなかったです。レッズのほうがピンチは多かったかもしれません。0−0の時間帯が続く中で、後半頭のFKからの先制点は大きかったですね。
なんとなくお互いが、うまくいってないわけではないけど、なかなか攻撃の形が作れない展開でしたが、レッズは選手交代をうまく使いながら試合を優位に進めることができたと思います。
京都も点を取りに行こうという布陣で、アグレッシブな交代をしていましたが、最後の質は不足していました。もちろんDF陣や西川周作選手がよく守ったシーンも守ったシーンもありましたが。
レッズのピンチで言うと、(54分の)アレクサンダー・ショルツ選手がペナルティボックスの中で奪われたシーンがもっとも危なかったですね。あれはファウルだとは思いますが、そこの切り替えが遅れましたし、セカンドボールもヘディングされました。
ただ、ここを除けば、リードしてからはうまく時間を使いながらポゼッションして試合をコントロールできたていたと思います。最後に追加点も取れましたが、伊藤敦樹選手のシュートも良かったですけど、相手のキーパーがいいところに弾いてくれましたね。追加点も取れて、最高の形の勝利でした。
RP:この試合では酒井宏樹選手がスタメン復帰しました
都築:やっぱり、彼が右サイドに入ると非常にアグレッシブになりますね。荻原選手のサイドも攻防は面白かったのですが、チャンスにつながる形では攻撃できませんでした。相手も厳しくきていましたが、あそこをかいくぐれるかはもう一つカギになってきますね。
仕掛ける選手の状態は気になるところで、ダヴィド・モーベルグ選手はいまいちでしたし、大久保智明選手もけっこう引っかかってました。関根貴大選手も、アグレッシブに貪欲にゴールへ向かっていこうとしていますが…。京都と同じく、レッズとしてもそんなに最後の質は高くなかった。そこは反省というか課題ですね。安居海渡選手も積極的でしたが、もう少しなにか欲しいなという感じはあります。
ちょっと受ける時間帯も多かったので、逆にカウンターを使えると割り切って戦えたのかなと思います。セットプレーも、またしても直接ヘディングなどで決めるシーンは訪れませんでした。チャンスはあるのでそろそろ見たいですね。
RP:なんやかんやで、鳥栖戦以降は再び負けなしです。
都築:なにか勝負強さが出てきているのかなと思います。相手の質もあるかもしれませんが、内容が良くなくても勝ち切るとこが大事ですから。そこに内容が伴ってくれば最高ですけど、そう簡単にはいかないので積み重ねですね。
なんにせよ、勝ち切ったことはよかったですし、DFの安定がチームを支えています。京都はバランスを崩して攻めてきていましたが、レッズは崩さずに、誰かが上がったときにはバランスをキープして連携できていました。ただ、もう少し相手を引っ張り出す、崩すような動きは欲しいですね。
RP:またまた連戦で、水曜日はホームでサンフレッチェ広島戦です。
都築:広島もアグレッシブに来るので、受けないように戦ってほしいですね。ある程度、順位も見ていかないといけない時期になってきているので、そこも考えながらしっかり戦って、勝点を取ってほしいですね。
RP:ありがとうございました。