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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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カウンターで仕留めたかった。攻撃の厚みはなかった(ルヴァンカップGS第3節・川崎F戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:4月5日(水)に等々力陸上競技場で行われたYBCルヴァンカップ・グループステージ第3節、川崎フロンターレ戦は0−0の引き分けとなりました。

都築:うーん…ルヴァンカップでは勝点3が取れていない中で、フロンターレもいい状態ではなかったですから、勝ちたい試合だったとは思います。ただ、内容的には引き分けが妥当だったかなと思いますね。

今季のフロンターレは結果が出てないですが、崩しのところはやはり形を持っていますね。崩されかけるシーンは多かったと思います。両サイドも中央の選手もよかったですが、いまはフィニッシャーのところが課題なんですかね。

ディフェンスのほうにも問題があるのかなという感じはありましたが、フロンターレらしいサッカーをやっていたと思います。それに対してレッズはカウンターがメインになっていて、ブライアン・リンセン選手のチャンスなどもありました。

RP:思い切って狙った惜しいシュートがありましたね。

都築:ただちょっと、全体的にリンセン選手は裏へ抜けるのが早かったですかね。安居海渡選手も裏に抜ける動きを意識していたと思いますが、そればかりだと個の抜け出しになってしまいます。得点のにおいがなかなかしてこなかったですね。

お互い大きな決定機がなかった試合で、フロンターレは形を持っていて、3人目の動きやサイドからの攻撃は脅威でしたが、中の質がもう少しでしたかね。最後のところで決めきれないので、レッズにもチャンスがありました。

レッズとしてはカウンターで仕留めたかったと思いますが、例えば大畑歩夢選手なども、守備は頑張ってましたが攻撃になかなか加われませんでした。難しかったとは思いますが、攻撃の厚みがなかったですね。

ただそうは言っても、最終的な局面ではほぼやらせませんでした。その部分の守備は良かったと思います。押し込まれたぶん相手のセットプレーは多くなってしまいましたが。結果としてはお互い消化不良で、このグループでは湘南が抜けているのでくらいついていく必要があります。レッズも負けてないのは強みですが、勝点3を取っていかないと。

RP:連戦のため、テスト的な起用も多い試合でした。

都築:普段出ていない選手のコンディションやモチベーションは大事ですから。長丁場のシーズンなので、ある程度試していく必要があります。グループステージもまだ半分ですから、残りの試合で勝ち上がりを決めるというのもよくあるパターンです。

その意味では、選手が変わった中でもディフェンスが良かったのは収穫です。これまではアレクサンダー・ショルツ選手やマリウス・ホイブラーテン選手が目立っていましたが、岩波拓也選手も堅実でしたし、両SBも守備意識は高かったと思います。

残りの試合では勝点3を取っていかないと苦しくなりますから、これをどうやって攻撃につなげるかですね。今回は相手がフロンターレなので、引き分けでもある程度OKだったとは思います。監督としては新しい選手をチェックできましたし、いいトライだったんじゃないでしょうか。

RP:ホセ・カンテ選手もデビューして、センターFWの競争も激しくなりそうです。

都築:カンテ選手はコンディションがまだまだといった感じで、リンセン選手も波があるというか、ポストプレーの部分では機能していないですね。チームのサッカーとして、代わりに出る選手がある程度は同じようなプレーが出来てほしいところです。

いまは興梠慎三選手が下りてきて、受けて動きなおしてというのがいい形になっています。短時間でしたが、カンテ選手も下りて受け手という動きが見えました。リンセン選手はちょっと前に早すぎるというか、なかなかペナルティエリア内で勝負強さを発揮するところまで持っていけないですね。

極端に言えば、ほかになにも出来なくても、点だけ取ってくれるというのでもいいのですが(笑)。ただそこはやっぱり、結果を出した選手が生き残っていく世界ですし、それがいちばん表れやすいのがFWですから。

RP:グループステージも半分を終えて、レッズは3位になっています。

都築:上がれなくてもいいやというスタンスではやってないと思いますし、最終的に勝ち上がれるなら、3連敗のあと3連勝しようが、全部引き分けだろうが良いわけです。普段出ていない選手のモチベーションが大事になってきますね。

それと、鈴木彩艶選手はよかったと思います。彼のポテンシャルならキャッチできるボールがもっとあったと思いますが、去年はもっと、クロスが課題だという印象でした。向かってくるボールには強いですが、逃げていくボールにはまだちょっと難しさがあるのかもしれません。ただ、あの年齢でいい落ち着きといい仕事をしていると思います。相乗効果で、西川周作選手もさらにいいプレーをしてくれると思います。

RP:次戦はリーグ戦に戻り、アウェーの名古屋戦になります。

都築:キャスパー・ユンカー選手がポイントになるんじゃないでしょうか。彼の裏への強さはわかっているだけに、警戒もしていると思います。ほかにも攻撃の選手はインパクトがあります。またメンバーが戻ると思いますが、連勝中の継続性を出して欲しいですね。

RP:ありがとうございました。

(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
 
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

(c)REDS PRESS