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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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ホイブラーテンとショルツの組み合わせを継続すれば自ずと結果は出る(J1第4節・神戸戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:3月11日(土)にノエビアスタジアム神戸で行われた明治安田生命J1リーグ第4節、ヴィッセル神戸戦は、1−0で浦和レッズが勝利しました。

都築:お互いに良い試合だったと思います。前半はレッズが、後半は神戸が良かったですね。後半は得点しなければいけない神戸が出てくるのをわかっていた中で、レッズがうまくしのぎました。

レッズの攻撃については、特に前半はシンプルでした。長いボールをいれていくのと、大久保智明選手とダヴィド・モーベルグ選手のドリブルで局面を変えていくのが前半はうまくできていたと思います。

前半の最初は酒井宏樹選手がどんどん裏を狙って、その動きに合わせて長いボールを入れたり、前に当てて興梠慎三選手のポストプレーから展開するなど、バリエーションは非常に良かったと思います。

興梠選手が引いてポストプレーをして相手を動かしたときに、そこに合わせて裏を突く動きが多かったのが効いていました。興梠選手が裏に抜けるというよりも、彼が引いてきたスペースにどんどん人が入っていくのが狙いだったと思いますが、けっこううまくいっていたと思います。

RP:得点シーンもそのような形だったでしょうか?

都築:これまでは、裏に抜けたとしても一人しかいないことが多かったんですよね。モーベルグ選手が抜けてもドリブルでかわしても、結局は一人になっていて人数がかかってない状態での攻撃が多かったのですが、この試合では人が絡んで崩しにかかれていたのが良かったと思います。

得点シーンのような非常にいい形で、大久保選手が抜ける形もよかったし、伊藤敦樹選手がセカンドボール狙って入り込んでいたのもよかったです。大久保選手の落としも最後のシュートも合いましたね。

RP:マリウス・ホイブラーテン選手のフィードも見事でした。

都築:左利きのCBは少ないので、相手もああいったボールに対応するのは難しいんですよね。右から入れてくるのには慣れてる選手が多いですが、あまり慣れてない角度から入れてくるのは嫌なのかなと思います。

それをうまく突いた長いボールでしたし、手間暇かけずにシンプルに得点できた形でした。このシーンも含めて、裏を狙うチャレンジを何回もしていたと思いますがタイミングよくいい形ではまりました。

前半の神戸は、レッズが上手く守ったこともあってなかなか攻撃の形がつくれませんでした。サイドを細かく突いてきたところにも体張って対応していたので、そのぶんセットプレーは多くなりましたが、前半はレッズがボールを支配しつつ、神戸の攻撃も防げていました。

RP:後半は自陣でのプレーが増えた印象です。

都築:後半は神戸が前に前に来る展開でしたが、下がるよりも奪う位置をもうちょっと高くしても面白いなと思いました。内容よりも結果が欲しい状況で、守備的になった面はあったかもしれません。

ただトータルでみると、失点もせずにうまく守れました。その要因として、個人の戦いで負けていなかったことが大きかったですね。大迫勇也選手をフリーでプレーさせることはほとんどなかったと思います。

常に寄せて体を当てて、最終的な局面でみんな戦えていた。後半は守る時間が長かったですが、GKの西川周作選手がすごく活躍したわけではなかった。みんなが体を張って守った中での無失点勝利は大きかったと思います。交代選手もかなりフレッシュで、スタメンを獲りたいという気持ちが見えました。相乗効果で、いいところが出始めているなと感じた試合でもありましたね。

神戸も攻撃の形はもっているのですが、SBで言うと初瀬亮選手はちょっと雑だなとも思いました。けっこう早めにクロスを上げてくれるし、構えているところに上げてくれている感じがありました。酒井高徳選手のほうが怖さはあって、スピードに乗って切り崩しに来ていましたが、明本考浩選手が体張ってよく抑えていました。

全体的に見ても、うまく攻めてうまく守れていた試合だったと思います。これを継続するのが大事ですし、この試合のように、まずは対人守備で負けないところが重要です。それがベースにあって組織で守れれば、失点はなくなってきます。

ホイブラーテン選手とアレクサンダー・ショルツ選手の組み合わせがいいのかなという感じがありますし、これを継続すれば自ずと結果は出ると思います。ただ、これがなかなか続かないのが浦和レッズなので。どういう意識をもってやるかですね。

RP:ホイブラーテン選手は活躍してくれそうですね。

都築:攻撃のセットプレーでもかなり強いですよね。闘莉王みたいな感じもあって、勢いをもって入ってくるのが上手いです。まだ得点にはなってないですが、この試合でもチャンスがありましたし、入るようになってくれば楽になりますね。守備のほうも集中して守れていました。

先制点もいい形で、相手が無理して攻めてくれるので守りやすかった部分もあると思いますが、それにしてもいい勝ち方でした。3連勝して首位だった相手に勝ちましたし、次につながるような戦いでしたが、これが続くかどうかは分かりません(笑)。

RP:次節はまた勢いのある相手で、2勝2分で無敗のアルビレックス新潟をホームに迎えます。

都築:今年のフロンターレがよくないのもありますが、そこに勝っているのは大きいですしやりづらい相手かなと思いますが、冷静に戦えばいいんじゃないかな。いまの時点では、相手がいいからとかを意識する必要はないと思います。自分たちのやることを100%出すのが大事ですし、それがなんとなく出てくれば、自ずといい結果が出ると思います。やるべきことを出せるか出せないかだけですね。

RP:ありがとうございました。

(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
 
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

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