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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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大味な、縦に速いサッカーになっていた(J1第30節・湘南戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:9月17日(土)にレモンガススタジアム平塚で行われた明治安田生命J1リーグ第30節、湘南ベルマーレ戦は0−0の引き分けに終わりました。

都築:0−0のスコアでしたが、お互いのメンバーの中での持ち味は出たのかなと。レッズよりも湘南のほうがアグレッシブだったのかなとは思いましたが。前半は湘南が右サイドを徹底して崩してきて、人をかけて崩にくるところはレッズからすると脅威だったと思います。

最初の、フリーでヘディングされたシーンもそうですが、右サイドからの攻撃でバイタルエリアを突きながら、ミドルシュートや逆サイドまで展開したり、シンプルながら ワイドに攻めてきました。

それに対して、もちろん1人では守れませんが、馬渡和彰選手のところがかなり崩されました。中で防げていた部分はありましたが、クロスや折り返しなど、動かされて危険なシーンはけっこう多かったですね。

RP:レッズの前半はなかなか落ち着きませんでした。

都築:メンバー的にああなっちゃう、縦に速いサッカーになるのかなと思いましたが、そのとおりになりましたね。岩尾憲選手が出てないこともあって、組み立てというよりも縦に ルーズなボールを出して、五分五分くらいでもキャスパー・ユンカー選手の個人技でというシーンが目立ちました。一本くらい裏に抜けたのはありましたが、効果的ではなかったかなと。レッズのほうが大味な、縦に速いサッカーになっていましたね。

ユンカー選手が入ることでそうなってしまうかなとは思っていましたが、彼を生かすにしてもちょっと単純すぎるかなと。相手もわかっている中ですので難しいなと思いましたし、彼がもうちょっと生きるためには、ポストプレーも入れながらつかまえられにくくする動きをしたいですよね。自分だけでもいいし、周りを使ってもいいんですが。

湘南が広く使いながらやってくる中で、最大のピンチは左サイドからのクロスのヘディングでした。これも右から展開されての攻撃でしたね。相手の選手が飛ぶタイミングが早かったので助かりましたが、大裏でフリーになっていました。

ただそうは言っても、攻められながらも守備についてはある程度は安定していたと思います。何回もクロスを上げられてスライドしなければいけない状況はありましたが、そこに関してはよかったかなと。

しかしそれが攻撃につながらなくて、ゲームメークする選手がいなかったのかなと。伊藤敦樹なんかはできるんじゃないかなと思いますが、時間を作ったりというゲームコントロールはなかなかできないのかな。

RP:コントロールという意味でも、岩尾選手を入れた後半からはある程度盛り返したと思いますが。

都築:湘南のほうがチャンスはあったかなと思いますが、江坂任選手からユンカー選手に渡ってシュートなど崩しなど、縦パスが入ったときは湘南がけっこうルーズに守ってくれていたので、シュートチャンスはけっこうありました。そこをどうやって決めるかでした。

お互いが攻めあっての引き分けなので見ごたえはあったのかなと思いますが、ひやひやする試合でした。セレッソ戦のように、攻めあぐねてシュートまでいけない展開ではなかったので、お互いがある程度いいとこを出せたのかなという試合ではあったと思います。

ただやっぱり、少ないチャンスの中で決めきるところは見せてほしかったですね。関根貴大選手の最後の突破も、映像で見ると江坂選手に出せるタイミングはあったんじゃないかなと思ってしまいます。

だけど自分で行ってしまい、個人に走っちゃったのかなと。そういったことも含めて、チームとしてどういう勝ち方をしにいくのかも大事になってくると思います。お互いに勝てなくて悔しい試合だったと思いますが、湘南のほうが悔しかったかなと。

何回も言っていますが、モチベーションを維持しながらACLの決勝まで行って、まだ達成してない気持ちはもちろんあると思いますが、あそこで燃え尽き症候群にならないようにしなければいけません。

降格もあまり意識しなくていい順位で、上もそこまで見えない。モチベーションの維持は 難しいと思います。メンバーの選考も含めて、監督がチームマネジメントを考えていると思いますが、いろんな選手が一定のレベルにあるのは良いことですけど、出る選手によってやるサッカーが変わるのはどうかなとも思いますね。

とにかく、勝点3がいまは遠のいてるので、3を獲りたいですね。全体的に見ても守備の安定はある程度計算できるので、いかに崩して点を取るかが課題です。このメンバー、縦に速いサッカーでも点がとれて、組み立てても点が取れるチームになっていってほしいですね。

RP:守備で言えば、アレクサンダー・ショルツ選手のプレーにはすごく安心感があります。

都築:レッズが意外と、ライン高く設定しないことも大きいと思います。ビルドアップもGKからなので、あまりラインを高く設定しないことで短いスペースの中で守備ができます。そこで良さがが出てる面もあると思います。

ラインをすごく上げて裏を突かれたときにどこまで、というのはあると思います。西川選手が裏に飛び出してというシーンはほとんど無いですよね。昔で言うスイーパーみたいな感じもあると思いますね。

足はそんなに速くないと思いますので、ラインを高くするとどうかなというのはありますが、ゲームを読む力は素晴らしいですし、闘莉王みたいな感じとは違いますが攻撃参加もあります。しっかりタイミングを見て、数的有利になるよう関わっているセンスもあります。

間違いなく外せない選手ですし、岩波拓也選手も貢献度は高いと思います。守備は本当に安定していますし、体を張るところもできています。だからこそ、もうちょっと攻撃で得点を取れる形がどんどん出てくればと思いまうね。

RP:湘南戦は、選手起用など次のルヴァンカップを見据えてかなという感じもありました。セレッソには苦手意識もあるのかなと見えてしまいますが。

都築:タイトルが残ってるのはもうルヴァンしかないですからね。リーグは可能性がほぼ消滅していますから、タイトルを狙っていくことは大事です。またすぐにセレッソですが、 やれところを見せてほしいですね。

去年もそうですが、やられてるイメージがありますし苦手っぽさはありますね。そういう相性は選手たちはあまり意識してないかもしれませんが、結果そうなってくることはあります。人がどんどん動いてくるチームにあまり勝てている感じがないので。ただトーナメントなので、とにかく内容よりも結果です。

RP:ありがとうございました。

(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
 
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

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