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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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受け身のサッカーの浦和レッズで終わってしまった(J1第34節・札幌戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説します。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:12月19日(土)に埼玉スタスタジアム2002で行われた明治安田生命J1リーグ第34節、北海道コンサドーレ札幌戦は0−2の敗戦となりました。

都築:まあ、これが現実ということなのかな…。札幌が良かったかなとは思いますね。攻撃の崩しにしても、前回対戦の時よりもペトロビッチのサッカーが浸透してきているのかなと思います。攻撃ではトライして、奪われたとしても何回もボールを奪いに来る。プレッシャーは相当速かったかなと思いますし、それが試合を通して続きました。

札幌は奪われたあとの守備のやり方とか、中盤でのプレスが良かったですよね。レッズはやっぱり受けたあとに、流れの中での攻撃が…。後半は左サイドで何回かできましたけど、ボールを受けても出すところがなくて、探してから出すという。それだとやっぱり読まれやすいですよね。

タメられる選手、さばける選手がいないとなると、攻撃の形が出来ないのかな。奪ったあとのカウンターでも距離があるボールを出さないといけなくなるので、そこから個人で勝負するとか、そういう戦い方になってしう。札幌のように奪われたあとに奪い返すというのもあまり機能していないし、最終的に最終ラインで守ればいいやというスタンスになっているのかな。

それではちょっと、やっぱり攻め込まれますよね。札幌は何度もトライを仕掛けてきて、シュートで終わるシーンも多かったし、プレーをやり切って終わることが出来ていましたからね。レッズのほうは攻撃をやり切って終わることが少なくて、やり切れずにカウンターを受けてとなると相当疲れますよね。

RP:失点シーンについてもそういった形でしょうか。

都築:1失点目は左サイドで奪われてから、パスを2、3本くらいつながれて決められましたけど。最終的にクロスを上げられるまでは時間があったんですよね。そこでレッズの右サイドは戻ってこないと。2本目のパスで中盤が2人置き去りにされてますから、ディフェンスラインは2対3の不利になってしまって。

大ウラのあそこはちょっと…橋岡大樹選手はあれはしょうがないと思うんですけど、大ウラに出来れば、ある程度時間はあったので戻ってきていればという。札幌の左サイドに戻るのか、真ん中に戻って橋岡選手をずらすのか。そこの連携が取れてなかったというか戻らなかったという場面でしたね。

あそこまで簡単に置き去りにされて、簡単にパスを入れられて、簡単に入れられると。このシーンもそうなんですけど、やっぱり攻撃をやり切らないと。だからカウンターを食らってしまったという形でした。

2失目に関しては、守備のやり方が間違っているのかなと思いますけどね。展開のされ方もありますけど、最終的な局面で守るのであれば、人数が足りているというのは最低条件ですから。最後にシュートを打った田中駿太選手を誰が見てるのかということですね。

ひとつ前でアンデルソン・ロペス選手がスルーしました。あそこに橋岡選手がトライしてもいいのかなとも思いますけど、行かないのも正解だし、行くのも正解というシーンだったかなとも思います。ロペス選手についていればカットできる可能性もあったし、前に出出ることでシュートに対してプレッシャーにもなる可能性もありました。

失点も前にもミドルシュートを打たれているシーンがあって、セカンドラインのところを全然見れていないのかなと。今のレッズの戦い方であれば、中盤の選手がケアするべきだと思いますけどね。ディフェンスラインがあれだけ下がっているのであれば、中盤も連携してセカンドラインまで下がっておかないと。そこを徹底して攻められましたよね。

フォーメーションを最後の最後で変えた、というのもどういう意図があったのかなと。相手の形に合わせてというのもあったんでしょうけど、ちょっと厳しい最終戦だったかなと思いますね。

RP:「受け身」というフレーズはよく聞かれました。

都築:やっぱり受け身なんですよね。こちらから仕掛けるというサッカーじゃないのであれば、ボールを奪うということがすごく重要になってくるんですけど。相手のフォーメーションや戦術、スカウティングがあるにしても、受け身でサッカーをするのであれば取りどころをしっかり決めるとか、奪ってからどうやって攻めるか。

奪ったあとからじゃないと攻めの形にならないですから、これは今年ずっと言い続けてますけど、奪う位置が高いほど得点につながるし、札幌戦のように下がっちゃうと攻撃までの距離が長くなるので、得点するのが難しいですよね。それが一年間通して、受け身のサッカーの浦和レッズで終わってしまいましたよね。

これを来年に生かせるようやらいないといけないと思いますけど監督も替わって、選手も替わるだろうし。目指しているところは変わってはいけないですけど。それに向かって全員でやっていくしかないですよね。

新監督は報道のとおりなら徳島のリカルド・ロドリゲス監督になるんでしょうけど、徳島のサッカーは自分たちでビルドアップをして、良いサッカー、面白いサッカーをやっていますよね。バリエーションも多いし、常に主導権を握ろうというサッカーをしている。実際のところ来年どうなるかは分からないですけど、ちょっと今年のサッカーでは勝てないなという感覚はありましたね。

RP:試合後のセレモニーでは、フロント批判の横断幕も掲げられました。

都築:これまでも言っていますけど、結局1年目2年目が最下位でも…最下位ではだめですけど、順位が下でも3年目に優勝すればいいんですよ。積み重ねですから。

RP:ありがとうございました。

※年末年始にも「シーズン総括」として都築さんの解説を掲載予定です。ご期待ください。

(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)

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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

(c)REDS PRESS