back

ツヅキック(都築龍太の試合分析)

top
アジアでは「負けないサッカー」が重要

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の菊地正典記者です。


RP:4月20日(水)に、シドニー・フットボールスタジアムで行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージMD5・シドニーFC戦は、0−0の引き分けに終わり、浦和レッズが決勝トーナメント進出を決めました。

都築:結果は引き分けだったけど、それ以上に良い結果が出た試合だった。1試合残して突破できたのは積み上げてきたものが正しかったということ。浦項スティーラーズには負けたけど、トータルで見て良い戦いができていた。シドニーFC戦は梅崎(司)選手が左に入ったけど、そこが起点になっていた。出た選手が結果を出すのはチームにとってすごく良い流れ。

RP:試合内容に関してはいかがでしたか?

都築:グラウンドが悪く、GKを含め、なかなかボールをつなげなかったけど、遠藤(航)選手のロングボールが非常に生きていたし、あそこが戦術になってきた。遠藤選手は最初は右で使われて、僕は真ん中の方がいいんじゃないかと言っていたけど、中に入っても質の高いキックがある。今までのレッズはつないでつないて右サイド、とかだったけど、一発で行けるようになったし、遠藤選手が持ったときは前線、特に李(忠成)選手が良い動きをしていた。そこも起点になる。攻撃のバリエーションが1つ増えた。

レッズは、前に人数を掛け、細かいパスをつないで得点につながることが多い。長いボールだと前に人数が少ないのは事実といえば事実。李選手にサポートが入って何人か絡めれば得点も増えると思う。シドニーFC戦も攻撃のバリエーションが豊富だった。

RP:得点チャンスもありました。

都築:特に最後、興梠(慎三)選手が止められたシーン。ああいうシーンをもっと作り出したかった。細かいつなぎからクイックを入れてチャンスになったシーンは、あれぐらいしかなかった。後半の頭は相手のペースになったけど、ディフェンスラインが集中して守れていた。最後の最後で体張って守れるのは強み。相手はセットプレー以外では怖さがなかったし、セットプレーも体を張って守っていた。そういう意味でも総合的に見て強くなってきている。

RP:ACLでグループステージ突破。これまでとの違いは何でしょうか?

都築:アウェイでもシドニーFCに勝てる感じの試合だったし、広州恒大にもアウェイで引き分けに持ち込んでホームで勝った。戦えるチームになってきた。何が一番かというと勝負強さ。一対一とか人に対してもそうだし、チーム全体で守り切れる。シチュエーションによって戦い方を使い分けられるようになった。例えば、1−0で勝っているときは、そこまで無理に人数を掛けて攻めている感じもしないし、守るところは守って、攻める時に人数を掛けて攻める。結構、めりはりが出てきた。

RP:前半は勝ちに行く姿勢を見せていたと思います。

都築:前半はめちゃめちゃ良かった。後半は相手がパスをつないできたため、相手のリズムになったけど、最後はディフェンスラインで止めていたのでそんなに怖さはなかった。

RP:浦和としては引き分けでもグループステージ突破が決まる状況でした。

都築:そこは考えていないと思う。勝ちにいったと思うし、僕も選手時代に「引き分けでOK」と考えたことがない。チームと選手は絶対勝つという気持ちでいったと思う。だからこそ、あそこまで攻撃的にいった。

RP:その中で、特に終盤はうまく時間を使いながら試合を進めていたように思います。
・・・・・・
会員登録はこちら

都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

(c)REDS PRESS