GKが飛び出すために必要なこと
浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の菊地正典記者です。
RP:4月16日(土)に埼玉スタジアム2002で行われた明治安田生命J1ファーストステージ第7節・ベガルタ仙台戦は、浦和レッズが3−1で勝利を収めました。
都築:すごく良い試合だった。得点シーンもそうだし、全体の流れもそうだし、守備も含めて非常に良かった。1失点が課題だけど、得点シーンに関しては3つとも素晴らしい崩し方のゴールだった。特に2点は左サイドから直接上げずに切り返して、中も相手が困るような動き出し。素晴らしかった。サイドもすごく使うし、中もすごく使うという意味では、仙台は守りづらかったと思う。得点シーンに関しては、今季一番良かった。
右サイドも得点にはつながらなかったけど関根選手がいい突破をしていた。サイドも中央も1つひとつが脅威だったし、試合展開も、しっかりうまくできていた。そういう意味ではトータルで良い試合だった。ディフェンスもラインを高くして、非常に相手が嫌がるところでボールを取れてショートカウンターもあったし、ディフェンスラインからのカウンターもあった。全体的に攻撃のバランスは非常に良かった。
RP:前半はボールを支配しながらもなかなか崩し切れず、という展開が続きました。
都築:でも、完全にペースをつかんでいた。仙台も普段からフォーメーションを変えてきていて、最初はなかなか崩し切れなかったけど、いつ得点が入ってもおかしくない状況が続いていた。やっぱり阿部選手が中盤でしっかり抑えるし、かなり効いている。遠藤選手も人に強い。あの2人がいることで槙野選手、森脇選手が上がりやすくなって攻撃の厚みが増える。
RP:守備も非常に良かった、というお話もありましたが、具体的にはどのように良かったですか?
都築:守備はGKも含めて全体としてしっかり守れていた。しっかり裏もケアしていたし、そういうところも含めて、ラインが浅い中でしっかり対応できていた。仙台の攻撃が物足りなかったと思うけど、それにしてもなかなか攻められない試合は守りにくい。でもレッズは人に対しても強いし、組織としてもしっかりしている。失点シーンを除いては。
RP:先制後にすぐに追い付かれてしまいました。
都築:相手が中に切り込んだ時に遠藤選手がそのまま行くのか槙野選手が行くのか。遠藤選手が付いていたけど、あそこまで切り込まれた時は槙野選手が行っても良かった。槙野選手の後ろにも人がいたから。行かないとGKとしては守りにくい。相手が中に来れば来るほどDFの間とか股(また)とかと狙われるので、そこは槙野選手が出ていっても良かったと思う。
RP:すぐ追い付かれてしまうのは浦和の悪い癖でもあり、その後はやや心配にもなりましたが、焦ることなく攻撃を続けて2点を追加しました。
都築:うまい。試合巧者。失点をしても焦ったような感じはなかった。今季はその点が非常に素晴らしい。しっかり対応できていると思う。ポゼッションが取れているのは強みだと思うから、レッズとの試合だけフォーメーション変更してくるチームが多い中で崩し方を身につけてきている。
今のところ、特に課題とかは見当たらないというか、局面だけ見ると失点シーンは課題だけど、全体的にうまく回っている。これを継続させることは大事。継続すれば優勝という言葉が出てくる。次の川崎フロンターレ戦はオーストラリアに行って疲れて帰ってくる中でキーになってくるとは思う。変わらず続けることが大事。
RP:仙台戦ではそれほどのピンチがない中、西川周作選手がハーフウェイライン付近まで出るなど、守備範囲の広さを見せていました。GK出身の都築さんから見て、その点はいかがでしたか?
都築:やっぱりディフェンスラインの裏に出るタイミングってGKは難しい。そのためには2つ必要で、・・・・・・
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。