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REDSニュース|[代表]リオからの便り(8月5日)|レッズプレス!!

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[代表]リオからの便り(8月5日)

サッカージャーナリスト・六川亨によるブラジルからの現地レポートを掲載。


ナイジェリア代表戦の激闘から一夜明けた現地時間8月5日は、午後7時から、収容人員4万人を誇るアレナ・アマゾーニアをホームスタジアムにする地元クラブ、アマゾナスの練習グラウンドで1時間ほど汗を流した。練習前の興梠慎三は、リラックスした様子で手倉森監督と談笑していた。その後、ナイジェリア戦に出場した主力選手はウオーキングからジョギングに移り、グラウンドを右回りと左回りで8周ほど走り込んでクールダウン。試合に出場していない井手口陽介や亀川諒史、出場時間の少ない矢島慎也と鈴木武蔵ら8人は、秋葉忠宏コーチの指導でボールを使ったウオームアップから、狭いスペースでのパス回しで負荷を掛けていた。

ランニングでは、興梠が早川直樹コンディショニングコーチと並んで先頭を走り、すぐ後ろに遠藤航が追走する。その後はマットを敷いてのストレッチを20分ほど掛けて入念に行った。これまで手倉森ジャパンは全選手がミックスゾーンの取材に応じていたが、今大会からは選手を2グループに分け、交互に対応するスタイルに変更。このためこの日は興梠と遠藤の話を聞くことはできなかった。興梠はTV解説で訪れたと思われる鹿島の先輩、中田浩二氏と言葉を交わしてバスに乗り込んだ。気になるのは遠藤で、左肘をアイシングして透明テープで固定していた。もしかしたらナイジェリア戦で痛めたのかもしれない。大事に至らないといいのだが……。

この日の練習会場は、先にも紹介した地元クラブのアマゾナスを借りて行われたが、驚かされたのが規模の大きさだ。練習用のグラウンドにもかかわらず、メインとバックには1人掛けの観客席が設置されている。そのほかにもフットサル専用の観客席付き室内競技場が2つ、屋外に2面のソサイチ(7〜8人制のサッカー)コート、2面のビーチサッカー専用ピッチ、室内トレーニングジムとエクササイズスペース、2面のテニスコートに体育館もある。空手着か柔道着を着た子供たちがいたので、体育館で練習していたのだろう。そのほかにも低学年の子供たちが芝生の公園でボールを蹴っていた。

一見すると日本人に見えるテニスラケット持った男性に話し掛けると、ブラジル人だと言いながら、片言の日本語で「ここはクラブ会員なら誰でもスポーツを楽しめる施設です」と教えてくれた。アマゾナスは現在州の3部リーグと言うものの、充実した施設と広大な敷地はJリーグのクラブをはるかに凌駕していて驚かされるばかりだ。正確な会員数は分からないが、地元住民は会員費を支払うことでクラブを支え、クラブはさまざまなスポーツ施設を造ることでコミュニティーの場を提供する。互いにウインウインの場を創っていることが、もしかしたらサッカー王国の原動力かもしれない。

こんな環境が日本にも、Jリーグにも生まれる日が来るのか。うらやましくなった練習取材だった。(サッカージャーナリスト・六川亨)



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