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REDSニュース|[代表]リオからの便り(8月4日)|レッズプレス!!
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[代表]リオからの便り(8月4日)
サッカージャーナリスト・六川亨によるブラジルからの現地レポートを掲載。
興梠慎三興梠は、J1の鹿島アントラーズと浦和レッズで、5年連続して二桁得点をマークしているストライカーだ。しかし、代表となると、A代表では2008年の初招集以来、昨季まで16試合に出場しながら、なぜか無得点にとどまっている。シュートミスを連発したわけではない。なぜかペナルティエリア内でパスを受けることが少なく、シュートチャンスやイージーシュートの機会に恵まれなかった。
そんな興梠が23歳以下の代表とはいえ、五輪という大舞台で記念すべき初ゴールを決めた。8月4日、グループステージ初戦のナイジェリア代表戦。0−1とリードを許した前半9分、南野拓実が獲得したPKを冷静にゴール右スミに突き刺し同点弾を決めた。リードを許していただけに、プレッシャーもかなりのモノだっただろう。肩で息をして緊張をほぐすと、短い助走からワンフェイク入れて今大会で日本の初ゴールを決め、オーバーエイジ枠での重責を果たした。
試合は終盤の追い上げも実らず、4−5で敗れ、興梠も後半25分に鈴木武蔵と交代した。手倉森真監督も残り2試合、ターンオーバー制を考慮して、「休養」と控え選手の「経験」を考えての交代と推測できる。そして交代出場の鈴木と浅野拓磨もゴールを決め、FW登録の3人は初戦で結果を出した。グループステージ突破のためには2連勝が必要だが、攻撃陣は五輪という大舞台でゴールを決めて自信をつかんだはず。コロンビア代表戦でも興梠のゴールを期待せずにはいられない。
遠藤航リオ五輪初戦のナイジェリア代表戦は、遠藤にとって難しい試合だったのかもしれない。これまで手倉森ジャパンは「4−4−2」か「4−2−3−1」をベースにしてきた。いわゆるダブルボランチで、主将の遠藤は大島僚太や原川力とコンビを組むことが多かった。しかし、攻撃力のあるナイジェリア相手に手倉森監督が採用したのは「4−3−3」だった。それも普通の「4−3−3」ではない。中盤のアンカーに遠藤を置き、その前に逆三角形の形で大島と原川のボランチを置くシステムだ。
手倉森監督の狙いは、堅守速攻が日本の持ち味ながら、守勢一辺倒では体力の消耗も激しい。そこでボランチから降りてきた遠藤にパスを出し、遠藤のリターンをセンターバックは高い位置にいる両サイドバックやボランチの大島、原川経由でサイドハーフの中島翔哉と南野につなぎ、ボールを保持して体力を温存しつつ、相手を動かして消耗を狙うことだった。
残念ながらナイジェリア戦は常にリードを許す展開のため、日本が余裕を持ってパスを回す時間は極めて限られた。試合後に遠藤本人も語ったように、ビハインドを取り戻すため「タテに行きすぎて幅を使えなかった」からだ。「前半は失点したことで、バタバタして(攻撃に)行けるところで行けなくなった」と反省する。ただ、「ここは修正できるポイント。次は、プレッシャーはあるけど、失うモノはないので、せっかくチャレンジする舞台に来たのにもったいない。追い込まれたぶん、2つ勝って、トーナメントに行きたい」と気持ちを切り替えていた。
(サッカージャーナリスト・六川亨)