災い転じて福となす
前半、ナビスコカップ優勝で勢いが増すFC東京相手に浦和レッズは、なす術がなかった。取材ノートにはFC東京のプレーだけが記されていた。データでもわかる。前半のシュートは9分・闘莉王の1本のみ。
この2週間、できるだけミスをしないようにと練習をしてきた。そのためか、大きなミスはなかったが、大きなチャンスもない45分間だった。思わず、寝てしまいそうな試合展開に、後半への期待はほとんどなかった。
だが、後半4分、高橋峻希からのクロスにエジミウソンが見事に決め、ゴール。前半からエジミウソンへボールを集めていたが、相手の素早いチェックにあって、何もできなかった。そのうっ憤を晴らすような見事な得点だった。
「さぁ、ここから追加点」と行きたかったが、出鼻をくじかれた。その4分後、原口元気が2枚目の警告で退場となった。だが「災い転じて福となす」という言葉があるように、この退場がチームをひとつの方向に向かせた。
FC東京が4バックから3バックへ変更。攻撃力のある今野を前線においてのスクランブル体勢にも、浦和は4バック、5バック、ときに6バックと陣形を変えゴール前で張り付き、しつこく守りぬいた。そして、30分、33分、39分のピンチを防いだのはGK山岸範宏だった。ファインセーブについて聞かれると「いや、止めるのは自分の仕事だから」とキッパリ。嬉しがる素振りは一切、見せず「(劣勢にたちながらも)相手に余裕あるプレーをさせなかったこと。やっぱり1人の力じゃ、どうにもできない」と山岸はチームの勝利を強調した。
さらに相手のミスにだいぶ助けられたことも考えると、(フィンケ監督は会見で否定したが)きょうに限っては大きな幸運が浦和レッズにもたらされたと考えてもいい。
だが、内容は決して良いものではない。きょうは勝ち点3を得ただけの試合といっても良い。「個人の力が出た試合となったが、きょうの試合が目指すサッカーなのかどうかは分からない」とキャプテン・鈴木啓太は疑問を投げかけた。
たまたま勝ったとは言わないまでも、守備重視は仕方のない試合展開だった。チームが目指すサッカーとはほど遠い内容であったことを肝に命じなければならない。