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無料練習レポート

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島崎英純の磐田戦分析

いい面も悪い面も見せた“若さ”
スターティングメンバーは前節・新潟戦と同様の布陣。ベンチ入りもGKが大谷幸輝から加藤順大に代わっただけだった。

序盤から浦和のペース。出足が早くセカンドボールを次々に拾い、相手がボールを持てばすぐさま複数人で囲い込んで奪い取る。ジュビロ磐田はその浦和の勢いに気圧されたのか、腰が引けたようなプレーが目立っていた。

しかしここで浦和にアクシデント。三都主アレサンドロが右足太もも裏の肉離れを発症して途中交代を余儀なくされたのだ。そこで白羽の矢が立ったのは今季新卒でプロ公式戦不出場の永田拓也だった。

永田は実に積極的に、そして効果的に左サイドを疾駆した。おそらく本人は緊急事態で相当ドキドキしただろうし気も張っていただろうが、そのプレーには躍動感があった。この新人左サイドバックに呼応するように、他のチームメイトも意欲的なプレーを見せる。

左の永田とともに、右サイドバックの西澤代志也も高い位置取りを取ったことで、浦和の中盤に厚みが増した。もちろん若手両サイドが多少バランスを崩して前がかりになっても、そこはセンターの坪井慶介、山田暢久、そして守備的MFの細貝萌、鈴木啓太がカバーしてくれた。この相関関係が機能した浦和は前節の新潟戦同様に連動性ある『コンビネーションサッカー』を披露する。

メンバーが代わってもサッカースタイルに変化がない。この当たり前のようでいて難しいタスクを、なぜ今の選手たちは実践できるのか。坪井に聞くと、「それは監督のおかげでしょう(笑)」と言った後、「今のチームは目指すものがはっきりしているから、選手に迷いがない。それがピッチ上のパフォーマンスに表れているのでは?」と分析した。またキャプテンの鈴木啓太に同様の質問を向けると、「練習してるから(笑)」とそっけなく答えた後、「指針がブレないのが本来のサッカーチームの姿。その意味では今の浦和は普通の状態になったということなんじゃないかな」と答えた。このキーマンふたりの言葉からは、今のチームへの揺るぎない信頼感がうかがえる。

さて、浦和は25分にエジミウソンの技巧的なアウトサイドパスを受けた高原直泰が今季初ゴールを決めて先制した。この後、後半の途中までは圧倒的な浦和ペースだったのだが、60分を過ぎたころから磐田の攻勢を許して相手に4度の決定機を与えてしまった。これは守備陣、特にGK山岸範宏の奮闘で防いだが、スコア的には逆転されていてもおかしくはなかった内容だった。

フォルカー・フィンケ監督は、その要因について、「ポジショニング、パスのミスが多くなった。これは集中力の問題だ。今季の我々はサッカーをしていたが、それには豊富な運動量が求められるため、終盤にミスを犯す可能性が高まる」と分析した。

確かに今季の浦和は激しい運動量で相手を凌駕しようとする。特に相手ボールになった際には執拗にボールを追い、すぐさまボールを奪い返そうと試みる。しかし、このペースを90分間貫徹するのは難しい。特に高温多湿になる日本の夏がこれから到来するとなれば懸念は高まる。

しかもこの日は血気盛んな若手が多く出場していたのだ。良い意味で愚直な彼らは監督の教えを実践しようと懸命にプレーする。これが経験豊富な選手との差になり、オーバーペースの要因を生む。

出入りに激しさはアグレッシブな姿勢を醸すが、同時に焦りの象徴にもなる。今後目指すべきは意欲的でありながら冷静であること。今日の若手主体のメンバーにそれを望むのは酷かもしれないが、これからの彼らには良い意味での余裕が必要なのかもしれない。


(c)REDS PRESS