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REDSインタビュー

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サンフレッチェ広島女子プロチームコーチ・高畑志帆「2014年、優勝した時の真っ赤なスタンドは忘れられません。それを超えるチームを、これから作っていきます」

「REDSインタビュー」は、トップチームやレディースの選手、監督、スタッフ、関係者などのインタビューを掲載するコーナー。今回は、浦和レッズレディースでプレーした高畑志帆さんが登場。昨季限りで選手生活から退き、今秋に開幕するWEリーグに新設参入するサンフレッチェ広島女子プロチームでコーチを務めている。Zoomをつないで、始動2日目の高畑コーチに話を聞いた。




(有賀久子)

RP:指導者生活が始まり、選手生活から退いた実感は出てきましたか?
高畑:まだ実感はありませんが、チームの始動日から数日、選手と一緒に身体を動かしてみて、もうプレーすることはできないと感じていました(笑)。練習で人数が足りない時、コーチが入ってプレーすることがあるのですが、選手時代のコンディションと違うし、準備段階で全く追いついてない状態で、自分に幻滅している現状でもあります(笑)。とにかく練習で選手に迷惑をかけないように身体を作らなきゃと思っています。

RP:これまでに上京や浦和レッズレディース加入、そして移籍、引退と何度も環境が変わる場面はありましたが、レッズ加入当時の思い出からうかがいたいと思います。
高畑:できる限りの準備をしたのを覚えています。あと自分自身、第一印象が悪く、その点に気をつけるようにしていました(笑)。とはいえ、ものすごいメンバーが揃っていたので、どうしても恐縮してしまった2012年の加入当初でした。

RP:新人賞を獲り、キャプテンにも就きました。どんなレッズ時代でしたか?
高畑:いろいろな経験をさせてもらったことが一番です。加入の決め手であったのですが、チームには素晴らしい先輩方と、後輩も経験豊富な選手が多くて、学ぶことばかりでした。そのおかげもあって新人賞も獲らせていただきました。中身の濃い1年目でした。

また、2014年にはリーグ優勝を果たしました。ただそれだけではなく、天と地を経験したと言いますか、苦しい時代もありました。残留争いとなる順位にいたこともありましたし、シーズン途中、最下位の10位になったこともありました。個人的にも試合に絡めない時期があり、ベンチから試合を見ることも増えて、そのなかで自分が「どのように試合に絡んでいくか」を考えられたのも、今では良い経験だと思っています。さまざまな経験をさせてもらったのが、浦和レッズレディース時代です。

RP:戦う場所を変えました。ASハリマアルビオン時代は何か違う意識を持ってチャレンジしたのでしょうか?
高畑:まず移籍にあたり、レッズで試合に絡めなくなって退団を決断した部分がありました。もう一度自分が試合に出て、そのなかで「どれだけ自分は出来るのか」という部分と、若い選手が多いチームで「これまで得た経験を伝えることを含めて、チームにどれだけ貢献できるか」を考えてプレーした2年間でした。



RP:サッカー選手として、自分がブレずにやってきたことがあれば、教えてください。
高畑:変わらずにやれたのは、どんな立場であってもチームのために声を出し続けること。それは自分の良さでもありますし、試合に出ていても、出ていなくても、自分に出来ることだと思っていたので、チームのためにプラスなる声を出し続けることは、常に意識してやってきたつもりです。
 
RP:チームのためにプラスなる声。
高畑:はい。状況によってその声かけをしていたつもりです。チーム全体に声をかける時は、自分のなかで感じている状況を伝えることもありましたし、良かったことに関しては、それを続けていこう!という声かけをするようにしていました。個人的に声をかける時は、その選手の捉え方が一番大事だと思っていたので、自分なりに気を使って声をかけてきたつもりです。

RP:今秋からWEリーグがスタートし、新設されたサンフレッチェ広島での自身の役割について。始動したばかりの現時点ではどのように捉えていますか?
高畑:指導者の経験はまったくと言っていいほどありません。自分が選手時代に経験してきたことや、監督の意図する指示にかけ合わせてと言いますか、監督の話すことにプラスして何かを伝えられたらと思っています。選手との距離間をうまく取りながら、監督の話すことをかみ砕いて、分かりやすく説明していけたらと思います。自分の勉強を含めてやっていきたいです。

RP:WEリーグでプレーする選手に対して、コーチとなった高畑さんは率直にどのような気持ちで見ているのですか?
高畑:そうですね。チームが始動して、自分が選手ではないと思った時に、この舞台に立てないんだ、という悔しさを少し感じています(笑)。選手たちからは、やっと始動した!というワクワクした気持ちを感じています。

RP:ここからプレシーズンマッチを行い、リーグ開幕を迎えます。現時点で広島のチームコンセプトを教えて下さい。
高畑:まず、ここに集まって、ようやくチームとして歩き出せました。本当にゼロからのチームですし、監督からも「みんなで歴史を築いていこう」という話がありました。選手、スタッフも含めて、クラブの歴史を刻んでいけるようにやっていきたいと思っています。

RP:歴史の1ページから携われる。素晴らしい経験を今後、どんどんと発信してもらいたいと思います。
高畑:本当にありがたいです。

RP:何よりも地元・広島ですからね。帰郷、どのような気持ちですか?
高畑:16年ぶりに帰ってきました。最終的に地元へ帰りたいという気持ちがあって、今回こういったお話を頂けて感謝しかありません。ただ、感謝の気持ちを持っているだけでは意味がないので、しっかりとクラブの歴史に名を刻むというか、結果として歴史を築いていけるように、選手のサポートができたらと思っています。

RP:16年ぶりでしたか。
高畑:はい。実家は広島市内でも西部の方で、どちらかというと宮島に近いですね。同級生は私が帰ってきていることを知らない人がいると思いますよ(笑)。これから徐々に報告していけたらと思っています。



RP:再びなでしこリーグ時代の選手生活のお話に戻りますが、印象に残る思い出は何でしょうか?
高畑:レッズレディースでは、3月にガールズサッカー教室というイベントがありました。子供たちから大人までサッカーで触れ合うことは楽しかったです。ハリマへ移籍してからも、幼稚園や保育園へ巡回指導に行くという取り組みがありました。1つのボールで触れ合う、ボール1つでサッカーになる、それがサッカーの魅力で、そこからいろいろなことを経験したり、学んだりすることが良さだと感じています。老若男女問わず、そのサッカーの魅力は今後も伝えていきたいですし、自分はサッカーしかやってこなかったので、サッカーに育ててもらったと思っています。サッカーで恩返しをしたいという考えがあります。

あとは、レッズレディース時代、浦和駒場スタジアムによく試合を見に来てくれたご家族がいて、ハリマへ移籍してからも会場に見に来てくれていました。その女の子が大きくなっていったり、人見知りだった子が話してくれるようになったり、そういう成長を感じるぐらい、家族ぐるみで応援してくれました。そのような存在の方々が、選手に対してだけではなく、チームにも増えるとよいなと思っています。サッカーの魅力、いろいろな形で伝えていきたいと思います。

移籍を経験して、ハリマは小さなクラブかもしれませんが、レッズレディースにはない良さもあったと思いますし、移籍して、改めてレッズレディースが素晴らしいクラブだと感じることもできました。

RP:最後にサポーターにメッセージをお願いします。
高畑:当時、サポーターの方にご挨拶ができず、それが心残りでした。何かしら最後にご挨拶がしたいという想いがありました。私が移籍したのはなでしこ2部だったので、レッズレディースとの対戦もありませんでした。対戦があれば、そのタイミングでご挨拶ができたのかもしれないですが。私は浦和という街が大好きでしたし、大好きになりました。勤務先(埼玉りそな銀行)の方にも本当によくして頂き、応援してもらいました。

2014年、優勝した時の真っ赤なスタンドは忘れられません。それを超えるチームを、これから作っていきます。次は紫に染めてやろうと思います(笑)。コイツ、まだサッカーに関わっているんだと思ってもらえるように、これからも勉強しながら頑張っていきます。WEリーグではレッズレディースと対戦すると思いますが、その時、声をかけてもらえたら嬉しいです。2年ぶりに、ご挨拶をするタイミングができたので、その時また、しっかりとご挨拶をさせていただきます。

(聞き手:レッズプレス!!ライター有賀久子)

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