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REDSインタビュー

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インタビュー番外編・青山隼(俳優、浦和レッズ、徳島ヴォルティス両OB、徳島ヴォルティスレジェンドアンバサダー)/時間はかかるかもしれないが、魅力的なサッカーは表現できる

「REDSインタビュー」は、トップチームやレディースの選手、監督、スタッフ、関係者などのインタビューを掲載するコーナー。
2011年に浦和レッズに在籍し、現在、俳優として活躍する青山隼さん。青山さんはレッズ在籍前後に徳島ヴォルティスでプレーし、引退後はレジェンドアンバサダーを務めている。
来季のレッズの指揮官は、今季、徳島をJ1昇格へ導いたリカルド・ロドリゲス監督に決まった。ロドリゲス監督とは一体、どのような監督なのか。そのことを知るために、監督の人となりや戦術、求められる選手について話を聞いた。


(佐藤亮太)

チーム全員がチームの力になるのだ、というところを示す監督
時間はかかるかもしれないが、魅力的なサッカーは表現できる



RP:来季、浦和レッズの指揮官となるリカルド・ロドリゲス監督について、お話をお聞きします。監督には、教師型・父性型・兄貴分型とさまざまなタイプがいると思いますが、ロドリゲス監督はどのタイプの指揮官ですか?
青山:僕のイメージでは、選手との良い距離感を保ちつつも近い存在で、兄貴分的な監督だと思います。選手のことをよく観察していますね。ちゃんと見て、評価している。チーム全員がチームの力になるのだ、というところを示す監督です。徳島の、ここ3、4年のスタイルを見ると、今、ものすごく若い選手が多く、活躍しています。若い選手を伸ばすという点では、いろいろな選手を起用しています。なかには、チャンスをつかんだ選手がそのまま試合に出ています。一方で、チャンスをつかみきれなかった選手には、シビアに線引きがされますが、それでも頑張っていれば、ちゃんと次のチャンスを与える監督です。出ていない選手でも、モチベーションを高くもっています。

RP:戦術的な話では、コレクティブで攻守においてアグレッシブ、という触れ込みです。たとえば、レッズ時代のミハイロ・ペトロヴィッチ監督、大分の片野坂知宏監督、3年ほど前の湘南・?貴裁監督のサッカーと重なる印象です。
青山:今、挙げられたように、まずはアグレッシブなサッカーを志向しています。守備では、ある程度、相手がきたら、前からプレスをかけます。基本的には攻撃的で、相手が前から来る枚数によって、2枚にしたり、3枚にしたりと状況に応じて、選手が判断してプレーするスタイルで、GKも参加しなければなりません。アグレッシブさでは?監督、ミシャ監督のサッカーに似ていると思います。ただ、僕の考えですが、1年や2年で出来上がるものではなく、このサッカーを続けていって、チームに浸透していくと見ています。選手ひとりひとりが戦術を理解し、ピッチで表現できるようになると、形のあるサッカーができると思います。

RP:布陣ですが、3バックか4バックか、そうした議論になりがちですが、今季のはじめでいうと、徳島は3−4−2−1だったのが、4−2−3−1になったそうですね。その点を見ても、相手の出方、あるいは選手の状況を見ながら、3バック、4バックを併用させるという感じでしょうか?
青山:基本的には4バックだと思います。4枚なのですが、サイドバックの選手がものすごく上がります。センターバックが両側に開いて、その真ん中にGKが入ります。そこに対して、相手が1トップなのか、2トップなのかによって、ボランチが1枚下がるとか、両サイドバックが上がることによって、前のサイドハーフが良いタイミングでインサイドに入って、1トップ1シャドーのような形になったり、シャドーが下がって、ビルドアップに参加し、1トップの裏に抜けたりするなど、こうしたオートマチックな動きを要求されます。

RP:ロドリゲス監督は、どういった選手を求めていますか?
青山:ミシャさんもそうだと思いますが、決まりごとと言いますか、このタイミングでここに入って、とか、たとえば、サイドバックに入った瞬間、森脇選手がひとつ前に飛ばすボールを供給したり、スルーしたり、というプレーでの形があります。フォーメーションでの決まりごとというか、両サイドバックが上がったら、サイドハーフが中に入ってとか……、どのタイミングで入るとか、ボランチも相手が何枚来ているから、このタイミングで下がろうとか、状況に応じて、どのタイミングで裏に抜けるか、など、的確なポジショニングなどを選手が理解しないとハマりにくいですね。

RP:相当、サッカー頭、サッカーIQが求められそうですね。
青山:そうですね。見ていて、そう思います。クレバーさというか、瞬間、瞬間の対応力、チームのサッカーを体現しながら、相手を見て、変えられる柔軟性が求められます。

RP:それをチーム全員が共有しないとダメでしょうね。テレパシーのレベルで。
青山:そこが、さきほど言った“時間がかかる”という点です。結局、ヴォルティスもJ1に戻るまでに4年かかりました。毎年ベースが積み上げられて、ようやく、という感じでした。レッズは去年、体制が変わり、「3年計画」を打ち出しましたね。報道を見る限り、若手に切り替え、新しいスタートを切ろうとしています。時間はかかるかもしれませんが、魅力的なサッカーは表現できると思います。

RP:さきほどのサッカーIQに加えて、濃いコミュニケーションが必要だと思います。意思疎通、共有のための環境作りも含めて求められますね。
青山:レッズには、西川選手や槙野選手などのベテランといわれる選手がいます。代表クラス、代表を経験した選手もいます。そのところでは、すりあわせができると思います。徳島の場合は、岩尾憲選手が中心にいました。ピッチ内で、自分たちが変えられるところと、相手を見て変えなければならないところ、そして、監督のベースとをすり合わせなければいけないです。

RP:青山さんが触れた『戦術の浸透に、より時間がかかる』という点、そこにサポーターやクラブが我慢できるか。ここにかかっている感じはあります。
青山:それは、ミシャさんが就任したときもそうだったと記憶しています。時間がかかると言われながら、タイトルはなかなか獲れませんでしたが、見ていて面白いサッカー、サポーターが喜んでくれる内容を見せていました。体制が変わることは、選手時代に経験しました。選手だけでなく、クラブもすべて変わると思います。積み上げたもの、歴史ももちろんあります。どのチームも毎年、毎年、新しいものに変化している。その変化に対して、ファンやサポーターは純粋にどう変化するのだろうと興味をもって見て頂いた方が見やすいと思います。バルセロナやレアルマドリードにも、必ず転換期はあります。僕がいた2011年、ゼリコ・ペトロヴィッチ監督でした。そのシーズンは残留争いとなり、途中、堀孝史監督になり、翌年、ミシャさんがやってきました。そして、タイトルや優勝に近い成績をおさめました。それが歴史であるし、今ひとつの転換期にきていると思います。だからこそ、ネガティブにとらえず、時間はかかるかもしれないけれども、ロドリゲス監督は情熱を持った監督なので、見守って、応援してもらいたいです。選手はそれに十分に応えられるポテンシャルはもっていますし、期待したいです。また、体制が変わるということは、選手にとってはチャンスです。これまで試合に出られなかった選手も、ひとつのキッカケになりますし、ロドリゲス監督は、自分の目で見て、良いなという選手は起用します。レッズのクラブとしても、チャンス。2020シーズンは、成績がよくないなかで、さあ来年!という時、ガラッと変わった時がチャンスになります。変わることには、みんな、不安はあります。特にサポーターの皆さんはそうでしょう。その気持ちは分かりますが、変化を楽しみつつ、選手は必死にやっているので、そこで背中を押してもらいたいですね。

RP:ロドリゲス監督は、徳島の阿波踊りに参加していましたが、浦和の街にも是非、足を運んで、酒蔵力あたりで飲んでくれたら、親しみをもって、街からの応援の声は上がると思います。
青山:徳島のサポーターからの印象はものすごく良くて、徳島という地域への興味を持つ監督でした。積極的にファンやサポーターとコミュニケーションをとっていました。僕もアンバサダーとして時折、徳島を訪れた際、お会いした回数は決して多くありませんが、覚えてくれていて、「元気?」と声をかけてくれる人間味のある監督ですよ。


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