浦和レッズレディース吉田靖監督「行く時には、ガツガツと行け」
3月に幕を開けた今年のプレナスなでしこリーグ。浦和レッズレディースは、開幕戦こそ勝利を収めたものの、そこから泥沼の6連敗。もがいても、もがいても明るい光を見つけることができないまま、現在8位。この危機的状況に、クラブは外部から新監督を招聘しました。
リーグ残留を目標に掲げての再スタート。その大役を任された監督というのが、吉田靖さんです。90年代からクラブを応援する方ならば、きっと懐かしい名前と感じられるでしょう。あの「やっこさん」が再び、浦和レッズに戻り、レディースチームの指揮を執ることになりました。
吉田監督の初陣は、就任から僅か4日。対戦相手はこの夏、カップ戦で準優勝に輝いた岡山湯郷。強豪チームを前に、吉田監督はまず、選手たちが失った自信を植え付けるように指導しました。
攻撃と守備、それぞれにベースとなる明確な約束事がありました。それは、球際で負けないことです。どの選手に話を聞いても、吉田監督は「ボールに行くところ、行かないところをハッキリさせること。行く時には、ガツガツと行け。それができないのなら、行く意味がない」と言い切ります。
9月15日(日)の岡山湯郷戦は、開始7分で警戒していたセットプレーによる先制点を奪われました。しかし、不思議とピッチに立つ選手に、これまで失点後に感じられたような悲壮感はありませんでした。むしろ、どこか吹っ切れたようなプレーに変わり、「逆転できる」と信じる選手も現れました。この変化はとても不思議なもので、実際の試合も、前半で逆転に成功。後半にも1点を追加して、結果は3−2で勝利を収めました。
開幕戦以来の勝利。後半、どの選手も、時のたつのが長いと感じたそうです。笛が鳴った瞬間、「この勝利は残留への始まりにすぎない」と分かっていても、溢(あふ)れ出す涙を止められませんでした。
吉田監督はクラブを離れてから、20歳以下の日本代表の監督を務めるなど、若い年代の指導を続けてきました。長年の経験から、この世代というのは、「ミスが続けば自信を失い、自信がないからミスが生まれる」といったように、一度自信を失うと、歯止めがきかないものだと感じていました。これは、浦和レッズレディースにも当てはまりました。
クラブは吉田監督の、「選手の持っている才能を引き出す力」に託しました。次節(9月29日)も強豪、日テレ・ベレーザとの対戦です。目に見えない自信を相手に、吉田監督はじっくりとチーム作りに努めています。
2013/09/18放送(有賀)
FM NACK5で毎週月曜日〜木曜日6:00〜9:00放送中の『WARMING−UP MUSIC』のコーナーで、浦和レッズのちょっといい話をお届けしている「ハートビートレッズ」(8:26頃放送、提供「埼玉県三菱自動車販売店連合会」)今週放送した中から、厳選した1本をREDS PRESSにて掲載します。