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REDSPRESS EYES|平川忠亮さんに捧ぐ 〜22日引退試合目前〜4|レッズプレス!!

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平川忠亮さんに捧ぐ 〜22日引退試合目前〜4

7月22日の「三菱重工カップ 平川忠亮引退試合」を控えて、元番記者が現役当時の平川忠亮さんについて原稿を寄せるシリーズ。






(石田達也)

2002年から浦和一筋17年。J1通算336試合で9得点をマークした。ACL優勝にも貢献。アジアを2度制覇したのは阿部勇樹と平川のみだ。

正確なクロスとピッチを何度も往復する献身性を武器に、トップカテゴリーで長きにわたり自分の立ち位置を守ってきたことは並大抵ではない。

平川コーチとの思い出を紐解くと、一番印象に残るのは丁寧な取材対応だ。

決して奢ることも威張ることもなく、いつでもフラットにメディアに応じる姿勢はありがたいものだった。

試合に絡まなければ、虫の居どころが悪いこともあるだろう、敗戦となった試合では答えたくないこともあるだろう。トレーニングで疲れていれば早くクラブハウスに上がりたいこともあっただろう。しかし、いつでも彼は「いいですよ」と足を止め、こちらの目を見て真剣に話してくれた。

2018年の沖縄キャンプでは、17年目のシーズンインに臨む平川に、初日から話を聞きにいった。

「年齢を重ねてキツくなってくるけど、キャンプができるのは幸せ。また1年できるという充実感。やりがい、感謝をしながらやっていきたい」

愛するクラブで17回目のキャンプを迎える喜び、そして意気込みが印象的で、その時は選手としてのラストイヤーになるとは思ってもいなかった。

その年のリーグ最終戦となったFC東京戦(3−2)では89分に出場すると、主戦場の右サイドで勝利につながるプレーを徹底。チームメイトも闘志を燃やして『今日だけは絶対に負けられない』ときっちりと勝ち切り、花道を飾ったことが思い出深い。

取材ノートをめくり返せば、加入1年目のDF岩波拓也は「ヒラさんは、今まで出会ってきた中で1、2位を争うほど尊敬できる人。試合への姿勢、準備、人のせいにしないことなど、なかなかできない。ヒラさんを超える人はいないし、ヒラさんのためにFC東京戦は恥ずかしい試合はできない」と語っていたが、花道を作るため、あとを継ぐものたちが奮い立ち、気持ちをぶつけた試合でもあった。

努力は嘘をつかない体現者だった平川。彼の背中を見て学んだ者が、それをまた次の世代へとバトンを渡す。

平川が残した浦和の誇りは脈々と受け繋がれていくはずだ。

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