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REDSPRESS EYES|新加入選手紹介:田中達也|レッズプレス!!

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新加入選手紹介:田中達也

2021年から浦和レッズに新加入する選手を特集。第5回は、サッカー新聞エル・ゴラッソの大分担当・ひぐらしひなつ記者に、田中達也選手を紹介してもらった。

とにかくサッカーが好きなドリブラーの流転旅
突き動かすのは戦術的探究心

“ワンダーボーイ”が浦和を去って9年。その伝説の続きを、ワンダーボーイの10歳下、新しい「田中達也」が再び紡いでいくことになった。

福岡市東区に生まれ、アビスパ福岡U-15を経て東福岡高、九州産業大へ。非常に狭いエリアで育った彼の名は、スピード感満点の爆発的なスプリントと鋭い切り返しをともなう仕掛けにより、徐々に広まっていった。右利きのアタッカーで左サイドからのカットインを得意としていたが、大学時代は最前線でも起用され、一瞬の裏抜けで好機を演出した。

大学1年次から3シーズンにわたり特別指定選手となっていた熊本で、2015年にプロデビュー。北嶋秀朗コーチ(現・大宮アルディージャコーチ)との出会いが、田中のサッカー観を一変させる。そのアカデミックなアプローチにより、“スプリント小僧”だった田中はチーム戦術の概念をより深く認識しはじめた。

戦術的探究心に突き動かされて、田中のサッカー人生は流転していく。2019年7月、その年に加入したばかりのG大阪から大分へと電撃移籍。「僕のユニフォームを買ってくれた人たちに申し訳ない」と恐縮しつつ、それでも異例の決断に踏み切った理由を「僕、サッカーが好きなんですよ」と説明した。片野坂知宏監督の独特なスタイルへの興味を抑えきれなかったのだという。加入直後から持ち前の突破力を駆使して左WBのレギュラーに定着し、15試合に出場して1得点を挙げた。2020年は33試合に出場し、チーム最多の8ゴールを記録。ゴール前のスペースにタイミングよく顔を出しては確実に仕留めた。37本放ったシュートの決定率は21.6%だった。

ただ、2020年の大分にとって、田中が諸刃の剣であったことも否めない。前年後半に特徴あるスタイルをピンポイントで対策されたことを受けて戦術のマイナーチェンジを図ったチームは、田中をシャドーで起用するようになった。だが、いい意味でも悪い意味でも田中は得意の形が明確だ。WBでは単騎突破の形を読まれても相手を引きつける役割は十分に果たせたが、シャドーでは相手に封じられると単調に終始。チーム戦術を全うしようとする生真面目さが裏目に出て、融通がきかなくなっていた。

そういう意味で、田中の課題は柔軟性だと言える。戦術好きな割に、いや、あるいはだからこそなのか、形にこだわりすぎる嫌いがある。この壁を越えてプレーの幅を広げられれば、彼のストロングポイントはさらに生きてくるはずだ。

大分にやってきたときのように、リカルド・ロドリゲス監督のサッカーへの興味を抑えきれずの、今回の移籍だろう。「僕、サッカーが好きなんですよ」と口にした、あまりにピュアでまっすぐな田中の、ここからの旅に期待している。

(エル・ゴラッソ大分担当 ひぐらしひなつ)

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