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REDSPRESS EYES|浦和から新宿のダテちゃんへ 関東リーグ1部・クリアソン新宿GK岩舘直のいま|レッズプレス!!

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浦和から新宿のダテちゃんへ 関東リーグ1部・クリアソン新宿GK岩舘直のいま

今回は昨季まで浦和レッズに所属し、現在は関東1部リーグのクリアソン新宿でプレーする岩舘直選手の現在を追いました。


昨季限りで浦和レッズを退団し、現在、関東リーグ1部のクリアソン新宿に所属するGK岩舘直が、今季最後の試合に臨んだ。

「カテゴリーはどこだろうとみんなが求める、目指す姿は同じ。このリーグではリアルに昇格、降格をかけて戦っている。1試合、1試合が重い。短期決戦で熱いものがある」。そう静かに語った。

クリアソン新宿が戦う関東リーグ1部はJ1から数えて、J2、J3、JFLの下のカテゴリーにあり、全国に9つある地域リーグのひとつ。

関東リーグ1部にはクリアソン新宿のほかに、「VONDS市原」「TOKYO UNITED Football Club」など10チームが所属している。リーグは前期・後期合わせて18試合で行われ、上位チームがJFL昇格をかけ、全国地域リーグ決勝大会に出場する。

しかし、ことしは新型コロナウィルスの影響で前期の試合がすべて中止。そのため、後期9試合だけで決勝大会の出場権を争わなければならなくなった。

今季、クリアソン新宿は開幕3連敗のあと4連勝し持ち直し、前節、首位の栃木シティ フットボールクラブに1−2で敗れ、今季の昇格の道を断たれた。

今回は昇格にも降格にも関係のない、いわば消化試合になったが、そうはしたくない強い思いが岩舘に、そしてクリアソン新宿にあった。

そして迎えたきのう4日(日)、今季最終戦となるリーグ後期第9節でクリアソン新宿は流経大ドラゴンズ龍ケ崎と対戦した。

試合は前半16分、クリアソン新宿が波状攻撃で3度、シュートを放つも相手の守備に阻まれる。その後も相手を押し込んだものの、あと一歩、及ばなかった。そして0−0で迎えた54分にミスが絡み、失点。その後も相手の猛攻が続いた。

そのなか、クリアソン新宿は71分、右サイドからのクロスにMF高橋亜聡が頭で合わせて、同点。

終了間際、シュートのこぼれ球をMF黄誠秀が頭で押し込み、逆転。2−1で勝利を収めた。

「相手に散々、攻められたが、よく守れた」と安堵の岩舘。

ロングボールを多用し、裏のスペースを狙う相手に対して、岩舘は至近距離からの強烈なシュートを2度、防ぎ、クロスでも安定したキャッチングを見せ、攻撃の起点にもなった。

さらに「前に押し上げろ」「運動量が足らない」「判断が遅い」「厳しく」そして失点後には「まだまだ終わらない」と味方を鼓舞し続け、最終ラインを引き締めた。

試合後、岩舘は「自分が守り抜ければ、チャンスはくると思った。すごかったですよ。奇跡ですよ、奇跡」と笑った。

ずいぶん大げさに聞こえるが「奇跡」という言葉にうなずける部分はある。

「自分たちの昇格がなくなったが、きょうの試合にむけ、最後までどういう有り方で、どういった姿勢でサッカーをやりぬくか、先週、負けた時点でみんなと話し合った。きょうの試合、どんな展開になっても最後まで戦おうと話し合った。だから粘り強く戦うことができた」

その言葉通り、チームは再三、相手の攻撃にさらされながらも、試合の流れを引き寄せ、終盤、一気に巻き返すことができた。

環境面を考えれば、余計にそう感じてしまう。

トレーニングは週2日。試合がある週は前日調整が行われる。決まった練習場はなく、昨季までプロだった岩舘にとって、圧倒的な練習不足は否めない。さらに岩舘はほかの選手同様、仕事を持っている。

「頭はパンパン。体はくたくた。ようやく仕事が終わって、サッカーだ!って感じ。パソコンの画面を見すぎて、肩はパンパン(笑)」と話す。

忙しい仕事の合間を縫っての活動。このカテゴリーに属するどの選手も味わう苦労と厳しさ。それでも消化試合となったこのゲームにかける気持ちをチーム全体がもち、さらに結果に結びつけるのは簡単ではないはず。

それでも有言実行できたのは、そこには彼らなりの意地があったからこそだ。

この日、試合前に配られた小冊子には岩舘の紹介文がこう書かれてあった。

「浦和レッズから選手が来る。最初はなんの冗談かと思いました。春先に入社し、仕事や練習で垣間見えるジェントルな振る舞い、その名の通りのひた向きさですっかり我らの『ダテちゃん』になりました」

『浦和のダテちゃん』から『新宿のダテちゃん』へ。

浦和ではなしえなかった守護神の座を岩舘直はしっかりつかんだシーズンとなった。

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