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REDSPRESS EYES|大原の賢人たちは今、何想う|レッズプレス!!

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大原の賢人たちは今、何想う

今回は長年大原サッカー場に足を運ぶベテラン浦和サポーターに、中断期間の過ごし方、リーグ戦再開への思いを聞きました。


J1リーグは約4ヵ月の中断を経て、7月4日に再開する。その間、ファン・サポーターはどのように過ごしたのか? 気になる人たちがいた。

練習があるほぼ毎日、大原サッカー場を訪れ、見学スタンドでトレーニングを食い入るように見るお歴々。ひそかに『大原の賢人たち』と呼んでいた。

「この前の試合、ありゃ、だめだったな」と突き放せば、腕を前に組みながら「もっとこうすればいいのに」とチームのこれからを案じることもある。遠からず。近すぎず。賢人たちは浦和レッズの楽しみ方をわきまえている。

このコロナ禍で、公式戦はおろか練習場にさえ入れない中、賢人たちは今、何を想うのか?



「仙台、湘南で良いスタートを切ったのに……。誰が悪いってわけじゃないから、なんとも言えないけれど……」

杉浦紀彦さん。アラウンド80の杉浦さんは日本リーグ時代から、浦和レッズの前身である三菱重工サッカー部を応援する筋金入りのレッズサポーターだ。当時から足しげく練習を見学。ここ5年はシーズン前のキャンプを見に行く熱の入れよう。もちろん、今年のキャンプも顔を出し、来訪に気がついた西川周作が笑顔で迎え、言葉をかわしていた。

長年、ホーム、アウェイと観戦する杉浦さんだが、「試合よりも練習のほうが楽しい」というのがポリシー。

全体練習でのランニング、ミニゲームや紅白戦で選手がいかに動けているか、コンディションをチェックしている。今季、期待しているのが杉本健勇。「健勇は思ったより走れる。今年は2トップだから、去年よりもチャンスはあると思う。あとはしっかりとした生活を毎日過ごせば、活躍すると思う」と期待を寄せる。

新型コロナウイルス感染拡大防止による自粛生活の中、杉浦さんは過去のDVDを見返し、気を紛らわせた。

「ここ最近の試合も観るけれど、ポンテ、ワシントン、(小野)伸二がいたときの試合をよく観る。負け試合より勝ち試合を見た方が気分良いから」と笑う。

その杉浦さん、今は週2日、ボランティア活動のため、大原サッカー場周辺に出かけている。5月末の練習再開からは大原の方向から選手たちの声が聞こえてくる。

「こっそりフェンスにしがみついて見るわけにもいかないし、観たい気持ちを我慢するのが大変」と杉浦さん。後ろ髪ひかれる思いで、大原周辺を行き来している。

「リーグ再開は本当に嬉しい。無観客試合でも画面を通じて、選手の動きはどうなのか、どんな変化があるのかが見たい。大原にも早く行きたいけど、見たいのはタイトル。死ぬ前にリーグ優勝が見たい。モノ忘れは多くなったけど、ぼけている暇はない」と楽しみにしている。



本人の希望でSさん。アラウンド70の男性サポーターだ。

「食事は出ないけれど、(大原は)デイサービスのようなもの。同じ年配者もいて、話ができるし」。そう話していた。

世の中の状況と天候を見ながら、習慣であるウォーキングは行っていたという。だが、大原サッカー場付近まで行くも、練習を見ないようにと引き返していたそうだ。

Sさんが自宅の周辺を歩き始めたのは2011年。定年退職を迎え、家にいる毎日になった。ちょっと散歩にと外に出た。

浦和駒場スタジアムの近くに住んでいたSさんは、1日1万歩を目標に歩くようになった。歩いて、歩いて、歩くうちに、気がつけば大原サッカー場にいたそうだ。

レッズには興味があった。だがJリーグ開幕当初はチケットがなかなか取れず、また仕事の都合もあって、観戦は年に2、3回程度。その後、関西方面への転勤も重なり、しばし離れていた。

散歩の途中とはいえ久しぶりのレッズとの接近遭遇に「せっかく来たから」と練習を見始めるようになった。

「たまたま散歩コースに大原があっただけの話。だからレッズが目的じゃなく、散歩がてら大原に来ている」とSさん。

試合はホームを中心に関東近郊を観戦しているが、「血圧上がると困るから」と、“勝てそうな試合には行く”、“憎たらしい相手の時には行かない”と観戦基準がある。

サッカーはあまり詳しくない。特に応援している選手もいない。だが、今季初めてSさんはシーズンチケットを購入した。少なからず、今季の浦和に期待がある証拠だ。

しかし、ご存知の通り、新型コロナによる大幅なカレンダーの変更で、シーズンチケットは払い戻しの措置がとられた。寄付という選択肢もあるが、まだ手続きをしていない。

「7月4日の再開試合の結果を見てから、シーズンチケットを寄付する形にするかどうかを決めたい。季節だし、ウナギに変わっているかもしれない」と笑った。

「そりゃ早く練習を見たいよ。生活の一部だし、ルーティンだから。その反面、選手を感染から守るため、チームが非公開なことにも理解できる。でもね、そろそろフェンス越しでも良いから見たいな。平日だけでもいいからさ」

どこかツンデレのSさんだが、見学解禁を待ち遠しく思っている。

現時点でファン・サポーターは大原サッカー場に入ることができず、解禁のメドは立っていない。前述の杉浦さん、Sさんをはじめとする賢人たちと、1日も早く大原サッカー場で再会できることを待ち望んでいる。

(佐藤亮太)


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