今回は、MCタツさんが埼玉スタジアム2◯◯2で行われた5/3の磐田戦を取材。当日行われていたイベントについて、リポートしていただきました。
■子供で溢れた南広場
第一印象は「なんだこれは!」だった。
筆者もかつてレッズプレスの編集に従事していたこともあり試合日は埼玉スタジアムに足しげく通っていた。だからこそいつもと違う光景に驚いた。南広場はかつてみたことのない数の子どもたちであふれていた。
「GOGOレッズデー」と銘打ち小中学生向けのチケットを550円で販売し、前売りで1万枚以上も売れていた。最終的には観客は53,361人と発表されイニエスタ効果があったヴィッセル神戸戦に次ぐ今季2番目の集客数となった。
南広場からもみの木広場までは、キッズワンダーランドと題し様々な子供向けのイベントが実施された。その規模が今回は半端じゃなかった。SRミニトレイン乗車、ふわふわサッカーボール、移動水族館、はたらくクルマ展示、かき氷販売、バブルサッカー、と書き出したらキリがない。クラブは合計13個の子供向けイベントを用意した。かつてJリーグのクラブで子供向けのイベントをこれだけ大規模で用意したクラブがあっただろうか。
キックターゲット的が大きいので子供でも狙いやすかった。
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クラブの本気を感じた。この10年で考えると埼玉スタジアムの観客数は減った。様々な要因があるだろうが、10年前に比べて観客が減っていることは厳然たる事実である。その状況に“巨人”浦和は、ようやく重い腰をあげて、今回の磐田戦のような施策に打って出た。取ってつけたような企画ではなく、ちゃんと練られた企画であろうことはこの規模を見れば容易に想像がつく。
1組目に取材した親子三人組はお父さんと娘さん2人と3人での観戦。いつもお父さんは友人と観戦しているが、この日は初めて娘2人を連れての埼玉スタジアムでの観戦となった。
「さっきそこで娘2人分のユニホームを買いました」というお父さん。この日はかき氷販売もあり、6歳と4歳の二人はラムネ味にご満悦で素敵な笑顔を見せてくれた。
二組目に取材したご家族は、家族一緒に年に2〜3回程度埼玉スタジアムで観戦するという。お父さんは「ゴールデンウイークで子供も休みで、キッズデーで、チケットも安くて、イベントもたくさんあって、開催時間も昼で連れて来やすい時間なので」と観戦理由を明かしてくれた。
前述したように実施時期、チケット金額、イベントの質と量これらすべてをちゃんと考え企画に落とし込んだからこそ1万枚に届いたのだ。浦和レッズのフロントがちゃんと考え実施すれば数字が出る。この成功体験はクラブにとっても大きいものだろう。もちろんそれは今まで南広場のスタグルの充実などを積み重ねてきたことも大きい。埼玉スタジアムの浦和戦のスタグルはちょっとしたファミリーレストランよりも充実している。食事もつまみも、和も洋も兎に角揃っている。
Tシャツとマフラーとバッグがまとまった浦和サポーター スターターキット
— UG (@soccerugfilez) May 3, 2019
これを3000円という、始めて埼スタに来た一見さんにも買いやすい価格にしたフロント、素晴らしい pic.twitter.com/n8vYEM9H3T
https://twitter.com/soccerugfilez/status/1124173951578468352
またこの日は、Twitterでは「スターターキット」の販売がバズっていた。3,000円でタオルマフラー、Tシャツ、トートバッグの3点セットが売り出された。この価格なら新規ファンだけでなく常連のサポーターでも安いということで買った人も多かったのではないだろうか。Twitterでは多くの他クラブのサポーターから「これはうちもやってほしい」との声が相次いだ。
子供ファンの来場、新規ファンの獲得と、フロントの狙いは今よりもさらに観客動員を伸ばしていこうという意図がしっかり取れる。この磐田戦でフロントが実施した施策は事業面で結果を出したと言えるだろう。ただ、サッカーの結果は水物とは言うが、この日は試合にも勝ってほしかったというのがサポーターの本音ではないだろうか。それは勝利を使命づけられた浦和レッズだから当然である。
勿論試合はどんな試合もすべて勝ってほしいという気持ちはあるだろうが、特にこの試合は勝たなければならなかった。なぜなら巨人浦和レッズの重い腰がようやくあがり、来場施策をきっちり行い、多くのお客さんがスタジアムに足を運んでくれたからだ。
オズワルド オリヴェイラ監督は選手たちに今回のフロントの取り組みをどれだけ伝えてくれたのだろうか。多くの子供達が来場するからこそ、勝たなければならないとどれだけの選手が考えてくれたのだろうか。フロントは監督や選手にどれだけ「今日だけは勝ってほしい」と伝えたのだろうか。
これからの時代は、サッカーはフロントと現場が一体になった総力戦が求められる。フロントがこのような大きな施策を行ったときには、それを選手、監督、コーチングスタッフもも強く意識して試合に臨み、必ず勝利をおさめるということが大事になってくる。フロントの施策など関係なくただ、勝てばいいという時代は終わった。それぞれの現場の努力を共有し勝利をおさめる事が大事なのだ。それがコンスタントにできるようになったとき浦和レッズは国内敵なしどころか、世界のトップクラブにもなり得ると私は信じている。
文・写真 MCタツ