縦にしか動けない猛進型の香車では力不足。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の戦術は、とりわけウイングバックの活動量が半端でない。いざ攻撃となると、わき目も振らずに縦へと突っ走り、守備陣に加勢する段ともなれば、体勢を180度変えて自陣へとひた走る。戦況次第で上にも下にも急行できる飛車型でないと務まらないわけだ。
第8節を終えた今季のリーグ戦で左ウイングバックとして、全試合に先発出場している宇賀神友弥は、飛車としての十分条件を満たす上、ドリブルとフリーランニングで斜めにも鋭い動きをするのだから、1人で飛車と角の2役をこなしている。脇役のようだが、実は攻守の大黒柱と言ってよい。これなら指揮官がちょう愛しないはずがない。