自主性が育んだ浦和の強さ
それにしても堂々とした戦いぶりだった。昨季はたとえ浦和が先制しても時間の経過とともに不安が募り、結局、ベレーザに押し切られたが、きょうはそうした不安がほぼなく、自信をもって最後までプレーした。
その要因はなにか?森監督に聞いても「特に何も働き掛けはしていない」としている。
では何だろうか?思い当たるのは自主性という言葉だ。
森監督は「選手たちが話し合った結果であり、こちらがああだこうだ言うことはなく、自分たちでやってくれているので助かる」と話すように、戦術の指示などは当然、伝えるが、それ以外はあまり口に出さないタイプのようだ。つまり、選手の自主性を尊重している。
ただ自主性といっても、しっかり意識している選手もいれば、そうではない選手もいるだろう。また時にはき違え、不協和音を生むケースだってあるだろう。
そこを束ねなれたのは、チームとして共有する敗戦の記憶ではないか。
特にベレーザには昨季、あと一歩まで迫りながら、その一歩が足りず、結果が伴わなかった。なぜ負けたのか?どうすれば勝てるのか?どうすれば勝って、タイトルを手にできるのか?
そうした選手として欲求がチームを束ねることになったのでは。
「練習のなかで全体の意識がそろっていてチームとしてみんな自信がつき、思い切ってプレーができている。昨年に比べて、一体感が感じられる」。DF南萌華の言葉にその理由の一端が感じられる。
宿敵ベレーザに勝ち、自信を増した浦和だが、まだ3試合が終わっただけ。これから山あり谷あり15試合が待っている。喜ぶのはきょうまで。次の試合が待っている。
(佐藤亮太)