圧倒しながらも後半にミドル一閃。0−1で浦和Lが伊賀に痛恨の敗戦でリーグ優勝遠のく
悔やまれる敗戦となった。
2019プレナスなでしこリーグ1部第17節、浦和レッズレディースはホームで伊賀フットボールくノ一と対戦。
浦和は前半から一方的に押した。9分、右サイドからのMF水谷のクロスを中央でFW菅澤が合わせるも、決まらず。30分には右サイドのDF清家が上げたクロスが相手DFに当たり、そのボールをFW菅澤が拾い、最後はMF栗島がミドルシュート。32分には左サイドから上げたMF安藤のクロスを中央FW菅澤が落とし、後ろに出したパスをMF吉良がミドルシュートを狙う。さらに40分には右サイドでボールを受けたDF清家からFW菅澤に渡り、クロスを入れる。これをゴール前でMF水谷がヘッドも枠外に外れた。
このように、浦和が多くのチャンスを作ったが、伊賀の守備に阻まれ、0−0で折り返した。
後半、なおも攻めた浦和。それなりのシーンを作るも得点ならず。攻め疲れからか、53分には伊賀FW森仁美に、57分にはカウンターからFW小川志保に渡るなど、ピンチを迎えた。
それでも浦和の猛攻は続いた。60分、クロスのこぼれ球を代わったばかりのFW植村がペナルティエリア内でシュート。62分にFW菅澤のポストから右サイドDF清家がクロス。これをゴール中央でMF安藤がヘッドで狙ったが枠外に外れた。
守備陣は、前半からパスミスからカウンターを食らう場面であっても執拗なプレスで回避していた。あとはゴールを待つばかりだったが、72分、伊賀MF乃一綾にミドルシュートをキレイに決められて先制点を献上してしまった。
残り20分あまり、浦和は攻撃の圧を一層、かけていく。79分、混戦からDF佐々木、81分にMF栗島がいずれもミドルシュート。85分には右サイドMF遠藤のクロスにFW菅澤。アディショナルタイム、カウンターからFW植村が迫ったが届かず。自陣で守る伊賀のブロックに跳ね返されるばかりだった。
そして、秋空に無情ともいえる終了のホイッスルが鳴り響いた。
浦和が0−1での敗戦を喫することとなった。これで勝ち点36のまま。現在、首位の日テレ・ベレーザがAC長野パルセイロに4−1で勝ったため、浦和が勝ち点3差の2位となった。
最終節、日テレが負け、浦和が勝った場合、勝ち点では並ぶが、現時点で得失点差は浦和の「19」に対して日テレが「38」と離されているため、浦和のリーグ優勝はほぼ消滅。残されたタイトルは皇后杯となった。
《先発メンバー》
GK池田咲紀子
DF清家貴子・長船加奈・南萌華・佐々木繭
MF栗島朱里・柴田華絵・安藤梢・水谷有希・吉良知夏
FW菅澤優衣香
《サブ》
GK松本真未子
DF長嶋玲奈
MF遠藤優・塩越柚歩・加藤千佳
FW植村祥子・大熊良奈
(交代)
56分 MF吉良→FW植村祥子
67分 MF水谷→DF長嶋玲奈
73分 MF安藤→MF遠藤優
《森栄次監督》
(ボールを奪われてから奪い返して、攻撃につなげる、この一連の動きがスムーズだったように見えましたが)前期はポゼッションを意識させた。後期になって、合宿を含めて、やってきた。距離感を縮めて、ボールを奪われたら、その瞬間、もう一度取りに行き、つないでいき、ショートカウンターを仕掛ける、そうしたことをやっていこうと。とにかく高い位置でボールを取る、これが大事。
ポゼッションしながら、ボールを取り返す、ショートカウンターを仕掛ける。あるいは、もう一度、ボールをまわす作業をした。
ひとりでボールを奪うのではなく、ふたりでボールを奪いにいく。きょうの伊賀相手ならある程度できたとしても、INACやベレーザとなるとなかなか取れない。個人的なフィジカルの問題にするのではなく、グループでやっていこうと選手に伝えている。ただ、選手の意識は高くなってきている。
(きょうはサイド攻撃が目立ちましたが)真ん中を相手に閉められた状態で、ボールを入れたかったが、入らずにサイドから攻めるなか、きょうは特にサイドバックの清家のオーバーラップが多くあった。
伊賀は縦に速いチーム。それを真似てしまうと前と後ろの勝負だけになってしまう。浦和レッズレディースは中盤を大事にして戦いたい。そこで、横をうまく幅を使いながら攻めようとは試合前、選手に伝えた。そうしたこともあって、サイドへサイドへと見えてしまったのかもしれない。
(引き分けも許されない試合。少し消極的なプレーがあったように見えましたが?)思い切り前に行って、ダイレクトでワンツーで崩したりしてもよかった。ボールを大事にするあまり、中盤が下がってきてしまった。前半、特にそうした動作が多かった。ボランチのところの隙間がポカンと空いてしまった。
(優勝争いにここまで絡めたのは久しぶりでしたが?)良い経験になることを望んでいる。(選手を見ていて)緊張しているのかな?と感じた。冷静にプレーはしているが、いつもと違った感じで……自分たちで勝手にプレッシャーをかけているのかなとも感じた。なので、プレッシャーを解こうと冗談めいたことを話したが……(こうした試合で勝つことが)ホントに壁。その壁をぶち破らないと。ただ、思ったほど、みんなついてきてくれている。そこはやり続けたい。
《柴田華絵》
勝たないといけない試合。急ぐわけではないが、もう少し、縦に、強引にゴールに行ってもよかったと思う。慎重になりすぎたのかもしれない。きょうは特に。裏のスペースを着ければよかった。
《栗島朱里》
失点してから長いボールが多くなってしまった。こういう相手に対しては前回の伊賀戦のような清家選手のゴール、つまり右から左に回して、相手を揺さぶって、最終的に左から右に出して、決まったシーン。このように縦に速いチームには横の揺さぶりがしっかりしてから得点できればよかった。先に決められてしまい、焦りもあった。
《清家貴子》
相手が中を絞って、コンパクトにしてきた。その分、外は空いていたが、中へのサポートや、人数が揃っていなかったり、クロスが合わなかった。(相手の守備を)コンビネーションやワンツーで崩していく点がまだまだだった。
(失点後、本来のポジションである前めのポジションに入りましたが?)相手は空中戦が強く、こちらが相手に合わせてしまった感じがあった。
(最終節手前まで優勝争いをしましたが?)優勝争いとは言っているものの、私たちは一戦一戦やってきた。自分たちがやろうとしてきたサッカーの結果。順位は意識しなかったが、優勝が見えてきたときに、こうした結果になって残念。ここぞというときに勝てないというか、やりきれない部分はある。
《水谷有希》
前半、チャンスがあったと言えばあった。作り出そうと思えば、作り出せた。そこが自分のポジションなので、反省すべき点が多かった。
(今季、公式戦全試合先発していますが?)1月、2月、どうなるか分からない頃と比べて、上出来というか、そのことを目指してやってきたが、実際、試合に出続けていることはありがたい。自分で勝ち取ったことは自信になる。でも、いつ代えられてもおかしくない選手が控えていることもわかっている。いい意味での競争があり、変なプレーをしたら、代えられてしまう覚悟は常にある。
《植村祥子》
(リーグ初出場でしたが?)名前が呼ばれた瞬間、鳥肌が立った。やらなきゃいけないという気持ちでピッチに入った。感触的には行けるなと感じた。ただ点が取れなかったのはまだまだだなと思った。(相手の守備は)身体を張った守備を肌で感じ、激しさも感じた。
(佐藤亮太)