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試合レポート|2019プレナスなでしこリーグ1部第13節・日テレ・ベレーザ戦=試合展開、コメント|レッズプレス!!

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2019プレナスなでしこリーグ1部第13節・日テレ・ベレーザ戦=試合展開、コメント

首位攻防戦を制し、浦和レッズレディースが頂点へ突っ走る!

9月22日(日)、2019プレナスなでしこリーグ1部は第13節を迎えた。台風15号の影響で日テレ・ベレーザ対ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの試合が延期。暫定順位ではあるが1位・浦和レッズレディースと2位・日テレ・ベレーザの上位直接対決が開催された。

ベレーザが余裕を持って巧みにボールをつなぐ中で、浦和は守備で過去の試合との違いを見せた。

今節はエース・菅澤優衣香、キャプテン・柴田華絵をコンディション不良で欠いた。古巣対決となる森栄次監督はトップに高橋はなを起用。また、遠藤優を2列目の右に入れた。陣形をコンパクトに保ち、ベレーザの攻撃を封じる。それがよく分かるシチュエーションがGK池田咲紀子のプレーだ。池田は果敢に持ち場を離れ、ハイラインの裏にできたスペースを1人で守り切った。足技に長けている池田だからこその戦術だった。

だが、サイドを中心にベレーザはスピーディーな攻撃を仕掛けてくる。森監督は2列目の左右を交代することで対応。右に吉良知夏を、左に遠藤を置いた。この決断はすぐに結果を生んだ。38分、左でボールを持った遠藤がスピードと力強さで相手を抜きさり勝負あり。最後は高橋が左足でシュートを放ち、待望の先制点が生まれた。

素晴らしい出来で1−0とリードし、前半を終えた。

問題は後半だ。ベレーザは後半、いつも試合巧者ぶりがうかがえる。流れを引き戻した瞬間、一気にギアを上げて攻めてくる。予想どおり、ベレーザは攻撃のスピードが上がっていた。しかし、きょうの浦和は、ベレーザの猛攻を受けるのではなく、圧力を掛けた守備から攻撃を仕掛ける意識を持ち続けていた。そのことで危険な選手をゴールから遠ざける策を取った。

それでもベレーザはベレーザだ。なでしこジャパンにも選出された田中美南は、ボールを持つと浦和の守備陣を相手にせず、自信を持って右足を振り抜いた。1−1、後半の早い段階で同点にされた。だが、失点を喫しても下を向かない選手がピッチにはいた。途中交代の選手も「攻撃を仕掛けるぞ」「点を取るぞ」というベンチからのメッセージを持って入った。

60分の失点直後、長嶋玲奈が投入された。66分には水谷有希を下げて長身の大熊良奈が前線に入った。そして安藤梢をボランチに下げて、高橋に加えてターゲットが増えた前線が答えを出した。

71分、安藤からのパスに高橋、そして長嶋が抜け出してシュート。ゴールネットを揺らし、2−1と再びリード。77分には栗島朱里がボールを奪取。鋭い浮き球のボールを前線へ入れると、このボールに高橋が完璧に合わせ、ヘディングシュートで3−1。試合を決定づけた。

それでも90+1分、アディショナルタイムでベレーザが1点を返してくる点は、さすがの底力がある。最後まで集中力を切らさなかった浦和が3−2で首位攻防戦を制し、ベレーザとの勝点差を『6』とした。リーグ戦の残りは5試合。きょう、ベレーザが最後に示した意地の一発を目の当たりにすると、首位に立っても余裕はない。勝ち続けることが浦和の悲願につながる。

《森栄次監督》
最高の結果だと思う。前半を1−0でリードし、(選手には)「後半が勝負だよ」と伝えていた。残り20分ぐらいから、いつもやられている形があるので、どうかいくぐるかというところで、「とにかく守るのではなく、点を取りにいこう」と言ったので、その形が出たので非常に良かった。

(菅澤優衣香と柴田華絵がコンディション不良で欠場。ゲームプランについては)前節からそういうことをトレーナーから言われていたので、この1週間、どうやってメンバー的にも、戦術的にも繰りしていこうかなと思ったが、(中盤に位置した)遠藤が意外とハマってくれて、思った以上のプレーをしてくれたので、収穫がそこにあったかなと思う。

立ち上がりはそんなに悪くはなかった。マイボールを長い時間持とうよということを言ったので、できるだけ、自分たちの時間も長くできるようにと言っていたが、さすがベレーザということで、握られる時間の方が長かったかな。それなりのことはできたかなと思っている。

(試合中の吉良知夏と遠藤優の左右の交代は)向こうの両サイドの選手には脚力がある選手が多いので、ウチもバランスよく清家、遠藤の脚力でカバーできればなと考えた。(ポジションチェンジ後、遠藤が攻撃の起点となって先制点が生まれたが)そこは意外な展開で、非常に良かった。

(後半にむけては)自分たちのボールを長く持てるように、ということと、絶対に向こうの時間帯はあるから、そこを耐えるように、とにかく点を取りにいこうということは指示した。(1−1にされてからは)ベンチからのメッセージとしては、前めの大熊を入れたので、点を取りにいこうというメッセージを出したつもりだが、うまくいったところもあるが、もう少しできたかなというところもある。

(試合が)どちらに転がるかは分からなかったが、幸いこちらの方に分が出てきたので、もしかしたらこのままいけるかなと残り15分ぐらいから思った。でも、相手はベレーザさんだから、そこから絶対に来るなとも思ったが、追加点もあったし、(相手も)1点でおさまり、3−2でおさまってくれたので良かった。

(追加点を決めたのは交代選手の長嶋玲奈だったが、狙ったところか)そういうわけではないが、清家の方がわりとディフェンスに追われる時間が長かったので、長嶋を入れて、ワイドに張るのではなく、中に入れさせて、清家を縦に突破させろということを言った。あまり出ていなかったが(苦笑)。

(勝因は)自分以上に勝とうという気持ちが非常に出ていたし、ベレーザさんとやって3回目かな。3回負けるわけにはいかないという意気込みというか、そういうものはあったと思う。それが勝因かな。この一戦、きょうは喜んで下さいということを言ったが、あしたからは次の5試合をどうやっていくかというところだと思う。この5試合も、1つも落とさない気持ちでやって、一番良い席を取りにいきたい。

《清家貴子》
自分たちが狙っている形で試合を進められたので、それにプラス運とか、いろいろなものが加わって、こういう形になったと思う。相手が(自分のところを)狙ってきていると感じることもあったが、守備の部分で話し合ったりして、裏には行かせないようにと後半にむけて修正した。あとは、きょうは攻撃で、あまり駆け上がっていくことは少なかったが、そのぶん、守備で走れた。速い選手を相手も置いてきたので、そこは負けないぞという気持ちでプレーした。

ラインを高くすることでプレスバックもできて、オフサイドも取れて、自分たちのボールになるということがうまくハマった。

(3−1の状態で迎えたアディショナルタイムは)メチャメチャ長かったが、3−1の時点で、いや、2−1のところから、きょうは勝てるぞというのが内心あって、それでも気を緩めずにという部分が自分の中にあり、最後まで楽しめた。森さんに「きょうは喜んでいいぞ」と言われた。残り数時間だけれど(笑)、次の練習から切り替えて、次の試合以降を落としたら、きょうの勝利が意味のないものになってしまうので切り替えてやっていきたい。

《池田咲紀子》
(守備面で)コンパクトにして前から奪いにいくというときには必ずハイラインになるので、そこを相手も絶対に狙ってくるということは自分も思っていたし、監督からも言われていた部分なので、(最終ラインの)背後のケアは自分がしなければいけないという意識はあったし、シンプルに顔が上がって裏に入ってくるシチュエーションが前半は多かったので、分かりやすく、裏に入れてくれていたから、自分もいつもよりもチャレンジした位置でプレーすることができた。

でも、前半の最後はワンタッチで裏に入れられた。そういうアイディアがある選手たちなので、そこに対してはどうするかを気にしながらプレーした。

(ハーフタイムに入ってすぐに立石GKコーチとかわした言葉は)「何でそんなに良いの?」と言われて、良かったプレーは忘れてというか、そこで良いプレーが重なり、自分の中で慢心の気持ちが出てきたり、もっと良いプレーをしなくちゃと思ったり、(自分ならば)できると思っちゃうと判断が誤ることがあるから気をつけろと言われた。前半は前半で、すごく良い出来だったということは言ってもらえた上で、後半にむけてしっかりと気を引き締めていけと言ってくれた。自分でも分かっている部分ではあったが、そういう話をした。

(ループシュートへの警戒は)特に後半は早い時間で、1回狙われるかなと覚悟していた。そこまで出ていれば、一度ぐらいは相手も(ループシュートを)見せてくるかなと思ったが、そこで引き過ぎるといけないので、7割ぐらいは前に気持ちを持って、上を行かれたら行かれたで仕方がないと。そこでビビった姿を見せてしまうと結局、自分自身もチームも受け身になってしまう。そこは駆け引きだし、簡単には打ってこない選手が多いと分かっていた。ベレーザはやっぱり、崩して崩して最後のところで仕留めてくるというイメージ。

きょうの試合で勝っても、残りの試合で1試合でも落としたら、意味がなくなってしまう。最後に結果がついてくればいいと思う。

《高橋はな》
やらなくちゃという思いと、菅澤選手が軸としているので、そこに対する不安というか、正直なところ、自分が代わりになれるのかなという思いがあったので、そこを意識し過ぎて、今週の練習は正直、あまりうまくいかない部分が多かった。

でも、チームメートが「タカはタカで良いんだ」と言ってくれたし、自分の兄も「自分らしさを忘れちゃいけない」と伝えてくれたので、ふっ切れたというか、菅澤選手にないところで勝負しなくちゃと思った。

毎回対戦する中で、ベレーザの選手には強さもうまさもスピードもあるので、本当に難しい相手だが、練習のときに南選手や長船選手と対戦しているので、その部分が生きたかな。

《長嶋玲奈》
右サイドが少し崩されている時間が続いていたので、そこで守備で頑張るということと、ボールを取ったあとに保持ができていなかったので、ポゼッションしていこうという指示を受けてピッチに入った。追加点が欲しかったので、あの時間帯に得点することができて良かった。

途中、外に開きすぎていて、中に入れという指示があったので、その指示通り、少し中めに入って、あの得点が生まれたので、本当に良かった。いつも結果を残している選手がきょうの試合にはいなかったので、やってやろうという気持ちが強かった。そこで点を取ることができたことは大きな自信につながった。

《南萌華》
森さんになってからチームが生き返ったというか、一人ひとりの選手の良さを分かってくれて、そこをゲームに合わせて選手を投入したり、選手個人個人に合ったポジションにしてくれて、一人ひとりを理解して良さを引き出してくれている。練習も毎週、相手に合わせて違う練習をするなど、意図のある練習があり、チーム全員で成長できていると感じる。森さんになってからチームは変わったなという感じがある。

(ベレーザ相手の、ディフェンスラインからの速いパス回しは)カップ戦の準決勝のときもそうだったが、自分たちも(ベレーザと)同じように、ビルドアップからしっかりとボールをつないでいくサッカーを今年目指しているが、ベレーザ相手になると、それができなくなることがあった。きょうの試合は落ち着いてプレーしていこうと、プレッシャーを感じながらも、いろいろな選手が顔を出してサポートの早さでは、カップ戦と比べると、一段二段上がったプレーができたと思う。

(ハイラインについては)後ろはマンツーマンで守るような形だったが、後ろのスペースはサッコさん(池田咲紀子)が守ってくれて、どんどんとマンマークでつかみにいっていいという声がかかっていたので、そこは安心して、(田中)美南さんをしっかりとつぶしにいけたというか、サッコさんがいてのプレースタイルだと思う。本当にサッコさんに感謝する。

(日本代表に選出されたが)W杯で海外の選手との差を感じたし、これからもっとレベルアップしていかないと日本は置いていかれる。しっかりと代表でもチームを支えられるような選手になれるように、まずはチームで結果を残す。そのために練習に取り組んでいくことだと思う。その中で、しっかりと(代表でも)レギュラーの座をとって、(熊谷)紗希さんとプレーすることが自分の成長につながると思うので、そこを目指してやっていきたい。

(高橋はなの初選出は)うれしい。Uー20日本女子代表でも一緒にプレーしたが、きょうも点を決めたように、力強いプレーなどがはなの特長だし、そこが評価されてのことだと思うので、代表でも良いプレーができるように、自分も頑張りたい。

(高橋は、きょうの試合を迎える上で不安を抱えていたようだが)けっこう、直前までは緊張していたこともあったようだが、きょうはゲーム前に「絶対にきょう点を決める」と力強い声があったので、頼れる。若いが、チームを引っ張っていける力もあると思うから、これからはなの良さを引き出していけるように、自分たちも頑張りたい。きょうは後ろから見ていても、ボランチの選手、前の選手、守備で優っていた。

今年のチームは、選手がいろいろなポジションができるというのが強みだと思う。チームの強さの秘訣はそこにあると思う。臨機応変に、いろいろな選手がいろいろなポジションを対応することで良い形の攻撃の形も生まれるし、観ている人も楽しいのではないかと思う。

(有賀久子)

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