3月31日(日)、浦和駒場スタジアムで2019プレナスなでしこリーグ第3節日テレ・ベレーザ戦が行われ、1対3で浦和レッズレディースが敗れた。
立ち上がりは、レッズレディースペースだった。スイッチをトップギアに入れスタート。開始2分には菅澤優衣香がシュートを狙うがわずかにクロスバーの上。15分にはフワッと浮かせたボールに吉良知夏が抜け出してシュート。チャンスを確実に作り、難敵を相手にレッズレディースは一歩も引くことなく立ち向かっていた。
レッズレディースは[4−4−2]の布陣を敷いた。対するベレーザは[4−1−4−1]の構成で、レッズレディースは相手のアンカー脇のスペースを突くことにも成功。21分、ペナルティーエリア前でGKからDFに出されたボールをインターセプトして、栗島朱里が流し込み先制点を挙げた。
「前からプレスをかけること、相手のボランチが下がりゲームを組み立てるのは分かっていたので、そこにプレッシャーをかけ、ボールを奪えて冷静に決めることができた」(栗島)。
その瞬間を狙っていたレッズレディースにとっては、まさにしてやったりのゴールだった。
右サイドバックに入った清家貴子も、対面する攻撃的な選手に仕事をさせず、ベレーザのストロングポイントに蓋をした。
清家は「走り負けない気持ちでプレーをした。1対1で負けなかったことは自信になる」と胸を張る。
そして56分には、コーナーキックのこぼれ球から長船加奈がスーパーシュートを放つも相手GKにファインセーブをされた。
追加点が取れず、前半から飛ばしていたツケが徐々に溜まってくると、運動量が落ち、ボールを握れなくなり、ベレーザの攻撃を受ける時間が増えていく。
すると森栄次監督は、60分、佐々木繭に代え、高橋はなを投入。5分後には、けがから復帰し、約2年半ぶりの出場となる乗松瑠華を吉良知夏に代えた。
この時、レッズレディースは2ラインを組み、1トップの菅澤の周りを乗松が衛星のように動く戦法を取るも、72分、途中出場の小林里歌子にミドルシュートを捻じ込まれて振り出しに。森監督は75分に水谷有希から大熊良奈にチェンジし、菅澤と2トップを組ませ、乗松を一列下げる。
ただ、リーグ5連覇を目指すベレーザは黙ってはいない。レッズレディース陣内でボールを奪うと86分、88分に連続得点。これで万事休すとなった。
森監督は試合を振り返り「あと残り20分のところで、ベレーザのようにボールを持つチームを相手にした時に、こちらがボールを保持できるかが大事。思った以上に握られてしまった」と話した。
この日のポイントは、前半を飛ばし過ぎたことだ。90分、フルタイムでイケイケではもたない。「行く、行かない。握る、握らない部分」。これを全員が共通認識し、ボールを持つ時間を長くする試合運びをしなければならない。
また、チャンスを確実に決めることも必要だ。
栗島は、こう言った。
「『(監督は)きょうの試合がすべてじゃない。試合は続くので自分たちのサッカーにチャレンジしないと、この先に続いていかない』と。このゲームで見えた課題を把握して次につなげたい」
成長過程にあるからこそ、この敗戦で学んだことを次に生かすことが重要となる。
日時/3月31日(日)14時キックオフ
会場/浦和駒場スタジアム
試合終了/1対3
観客数/1846人
主審/草処和江
副審/林なみか、荒川里実
第4の審判員/松橋加奈
浦和レッズレディース
監督/森栄次
先発
GK:池田咲紀子
DF:清家貴子、長船加奈、南萌華、佐々木繭(60分→高橋はな)
MF:栗島朱里、柴田華絵、安藤梢、水谷有希(75分→大熊良奈)、吉良知夏(65分→乗松瑠華)
FW:菅澤優衣香
サブ
GK:松本真未子
DF:乗松瑠華、高橋はな
MF:遠藤優、柴山史菜
FW:植村祥子、大熊良奈
得点
21分・栗島朱里(浦和)
72分・小林里歌子(ベレーザ)
86分・宮澤ひなた(ベレーザ)
88分・宮川麻都(ベレーザ)
≪森栄次監督≫
前半のうちに追加点が取れていればうまくゲームを運べたという課題が残る。あと残り20分のところでベレーザのようにボールを持つチームを相手にした時に、こちらがボールを保持できるかが大事。思った以上に握られてしまった。
(先制点の場面は?)前からのプレスもハマり良い時間帯に取ってくれた。
(後半については?)高い位置でボールを握って欲しかったが、それができなかったことが課題。
(選手交代について?)前半、ハードワークをしたことで疲れが出ていたので代えていった。乗松を使ってみたが、もう少しコンディションが上がってこなかった。でも彼女は彼女なりにやってくれていると思っている。
(次戦に向けて?)I神戸と対戦するが、どれだけできるか。トライしていることが通用するのか楽しみ。選手にも言ったが、次につながるよう、これを継続しハードワークをして行きたい。
≪乗松瑠華≫
約2年半ぶりのプレー。出来れば復帰戦に勝って喜びたかったが、このピッチに戻ってこられたことは新たな一歩だと思っている。1年前はプレーをすることが想像できたかったので本当に長かった。
(トップ下とサイドハーフでプレーを?)CB以外のところで、前でプレーをすることが練習の中で出来ていたのでトップ下で起用されたと思う。良い位置で受けられず、自分たちの時間も作れなかったので改善して行きたい。
≪菅澤優衣香≫
前半はやりたいサッカーが出来て得点も取れた。後半に崩れたということは自分たちに足りないものがある証拠。そこを修正していきたい。
(足りないところとは?)中でプレーをする選手らが自主性をもって、声を出すこと。そして相手の勢いにやられてしまった部分もあるので90分を通したゲーム運びが求められると感じる。
(代表の欧州遠征について?)ワールドカップのメンバーに入ることが一番で、そのためにもチームでの結果が大事。欧州遠征では日本の立ち位置と自分自身がどれだけ出来るかを体験したい。
≪池田咲紀子≫
前半はやりたいことが出来た。最後に力が尽きてしまった。後半、しんどくなると思った。トライすることはトライし、サッカーを変えずに挑んだが、同点でバタついたことがもったいなかった。自分たちで難しくしてしまった試合でもあった。
(代表の欧州遠征について?)きょうの試合を振り返るところは振り返って、3失点の結果を受け止めて悔しい気持ちはヨーロッパに置いてこようと思っている。
≪清家貴子≫
後半に失点して崩れてしまい、良いゲームができていただけに残念。
(前半はレッズレディースペースだったが?)前からプレスをかけ得点を取り、やりたいことは出来ていた。
(右サイドバックでのプレーについて?)相手のサイドに速い選手がいるので走り負けない気持ちでプレーした。1対1で負けなかったことは自信になる。
(次戦に向けて?)カップ戦となるが、I神戸は強敵、きょうの自信を生かして勝ちにいきたい。
≪栗島朱里≫
試合に入る前からしっかりと自分たちのサッカーをすることを意識した。「積極的にやりたいサッカーに取り組んで行こう」とチームで話をしていた。
(ゴールの場面を振り返ると?)狙いとしては前からプレスをかけること、相手のボランチが下がりゲームを組み立てるのは分かっていたので、プレッシャーをかけ、そこでボールを奪えて冷静に決めることができた。もちろん追加点が決まっていれば楽な試合運びが出来たと思っている。
(次戦に向けて?)自分たちは成長過程にいるチームで、自分たちのサッカーをすること、相手がどう出てくるかを見極め、ビビらずにやりたいサッカーを続けたい。
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