女王・ベレーザに0−1で惜敗も、攻撃的守備で収穫
8月19日に雷雨のため順延になった2017プレナスなでしこリーグ1部第11節の日テレ・ベレーザ戦が東京都北区 味の素フィールド西が丘で行われた。
試合は48分、日テレ・ベレーザコーナーキックの場面から、日テレMF隅田がシュート。これをブロック。しかし、このボールをMF中里優に拾われ、最後はFW田中美南に決められ、失点。これが決勝点になり、浦和レッズレディースが1−0で敗れた。
浦和の勝ち点は「22」で変わらず。2位 INAC神戸との勝ち点差は「5」となった。
前節・伊賀戦は相手の9倍にあたる18本のシュートを放ち、2−0で勝ち、“攻撃の浦和"を見せたが、今節は“守りの浦和"が見られた。
ベレーザに対し、浦和は終始、サイド、中盤と素早く人数をかけ、身体を寄せ、足を出し、跳ね返すなど粘り強い守りを見せた。
前回、0−3で敗れた反省を生かした浦和は、失点したあともその粘りは変わらず、激しい守備を続けた。手練手管で攻めることができるベレーザもやりづらかったろう。
一方、攻撃だが、前半、立ち上がり15分と前半35分以降の10分間。後半は時間の経過につれ、なかばカウンターの応酬となったが、五分と五分と言っていい。
ただ、守備に力がかかっている分、攻撃はどこか単発。しいて決定機を挙げれば、9分、コーナーキックからFW吉良千夏のボレー。47分、MF猶本光のロングボールに抜け出したFW安藤梢がシュートを打ったくらい。もうひと工夫、欲しかった。
ただ、これは浦和の攻撃陣が悪かったというより、ベレーザの守備陣も、きょうの浦和同様、ある意味、それ以上の守備を見せた。
「お互い、プレッシャーが速かった。攻撃のテンポが悪かったのではなく、お互い、切り替えが速く、つぶし合えた点で質の高い試合だった」と石原監督。
互いに手の内をすべて出し尽した一進一退のゲームだった。それだけに失点が悔やまれる。「声をかけつつ、徹底させたが甘かった。絶対に失点してはいけない時間帯で失点してしまった」とGK池田咲紀子。この言葉に込められている。
良い攻撃が良い守備を生むように、良い守備が良い攻撃を生むもの。次節はちふれASエルフィン埼玉とのダービーマッチ。中3日、9月10日(日)の試合で、きょうのような攻撃的守備が出せれば、おのずと結果はついてくる。
2017プレナスなでしこリーグ1部 第11節 日テレ・ベレーザ戦
日時/9月6日(水) 19:00キックオフ
会場/味の素フィールド西が丘(東京都)
試合終了/0対1 (前半0対1)敗戦
観客数/1,070人
主審/佐々木 里紗
副審/大塚 一輝、李 悠基
第4の審判員/平瀬 まさみ
浦和レッズ
監督/石原孝尚
≪先発メンバー≫
GK:池田 咲紀子
DF:栗島朱里・長船加奈・高畑志帆・木崎あおい
MF:柴田華絵・筏井りさ(87分→長野風花)・猶本光・塩越柚歩(81分→清家貴子)
FW:吉良知夏・安藤梢(87分→菅澤優衣香)
≪SUB》
GK:松本真未子
DF:北川ひかる・南萌華
MF:加藤千佳
□得点□
48分 田中美南(日テレ)
《石原孝尚監督》
2連覇中で現在、首位のベレーザに対して、選手たちはチャレンジしたゲーム。守備ができた中でのゲームだっただけに、負けたことはすごく残念。
(前半について)決めきれるところもあった。そうしたシーンで決めていたら、違うゲームになった。ただ守備のところなど、相手は力のあるチーム。なんとか1点取りたかった。後半の立ち上がりに良い形があったなかで、一進一退の攻防になった。そのことは選手も僕も分かっていた。決めきれずに負けてしまい悔しい。
(後半について)ゲーム全体を通して、集中力を切らさずやれていた。そのなか、バランスを崩さないようにした。
相手は2点目を取る力があるチーム。一気に攻撃に出るリスクを冒すより、粘りながら守ったが、ラスト5分、10分、ゴールに迫らなければならないので、あのような交代をした。ゴール前には迫ったが、決めきれなかったことを次につなげたい。
リーグ戦を通して、またカップ戦の決勝で負けたこともありながら、選手たちはゲームのなかで粘る時間での対応ができるようになった。きょうのような試合で勝ち切りたかった。ただ、成長は感じられる。リーグ戦1試合、1試合勝ちながら、進んでいきたい。
(前半0−0で折り返したが?)ベレーザは完全に押し込める相手ではない。しっかり守りながら、チャンスをうかがうようにした。選手たちに成長が感じられ、自分たちにも手ごたえもあった。勝たせたかった試合。選手のパフォーマンス自身も、中3日のわりに、質の高い試合がお互いにできた。
(小雨が降るなかの試合だったが)ベレーザはボールをコントロールできるチーム。ただ前半、レッズもボールを動かすテンポが良かった。お互い、プレッシャーが速かった。攻撃のテンポが悪かったのではなく、お互い切り替えが速く、つぶし合えた点で質の高い試合だった。
(菅澤・清家選手の交代はもう少し早くてもよかったのでは?)きょうの相手がベレーザでなければ、もっと早い時間帯で投入したが、安藤、吉良、塩越も含め、守備の貢献度が大きかった。逆に、早く投入することで相手が点を取るための時間が多くなる。交代のカードを切ってしまったことで失点する恐れがある。時間があればあるほど(その可能性は高くなる)。慎重にいきながら、なんとか90分で1点、2点と入れ、勝ちたかった。(菅澤)優衣香、(長野)風花もあともう10分早ければ、違ったのかなというもある。15分、20分では相手に押し返される場合もある。たら・ればですが。そういった狙いもあった。僕自身ももう少し早ければとも思っている。
《木崎あおい》
自分としては結果が惜しかったというよりも、相手にボールを回されたことも多かったので、惜しくは感じていない。
ベレーザとの前回の対戦(0−3)ではどこでボールを取りに行くのか、ハッキリしなかったので、仙台戦、伊賀戦で改善した部分が出て、相手にプレッシャーをかけることができた。(前回の対戦では)守備で先に1失点してしまうと、ズタズタっと3点、決められてしまう。その点は改善できた。
しかし、きょうの場合は失点のあとの得点する力が足りなかった。
サイドチェンジしてフリーにできたときがチャンス。そこを攻撃では意識した。
《塩越柚歩》
試合前、前線の守備だけでなく、気持ちを出そう、守備で相手に勝とうと話しをした。前半はその点はうまくいった。自分たちのペースは握れたが、フィニッシュの部分が足りない。後半も前半のような戦いを続けようとしたものの、全体が間延びしたり、運動量の部分で相手が上になり、試合の主導権を握られてしまった。
後半すぐに失点したこともあり、相手の流れになり、自分たちのサッカーができなくなった。前半のサッカーを後半も続けたかった。続けていけば、決定機はもっとできた。
良い位置でボールを奪うことが出来た分、数的優位を作れた。後半もその回数を出したかった。前半、多くあった分、決めきることがいまの課題。
《池田咲紀子》
何とかゼロで抑えたかったが、ちょっとしたミスで失点してしまったのがGKとしては悔しい。首位のベレーザとの対戦は意識しなかった。意識することは優勝という目標に向かって、ひとつひとつ向かっていくこと。そのなかで、勝てば良い流れになる試合だっただけに悔しい。
相手のプレッシャーが速かったので、自分のところからボールを動かして、攻撃でも守備でも動かしたかった。失点以外は大きなピンチはなかった。少しずつだが、守備は安定している。その点は積み重ねができている。
《筏井りさ》
自分がボールを持ったときは、スピードがあり、ドリブルもできる、技術がある光(猶本)に行ってもらって、安藤さんもスピードがあるので、いい形が作れる。リスク管理はするから、前に行ってという感じで。
失点して、相手が落ち着き始め、こちらもミスが多くなって、空いたスペースを使われて、数的優位を作られ、ズルズルいかれたシーンが多くなった。耐えて、最後の最後、単発ながら攻撃できたのは良かったが、相手に支配された。守備陣が粘り強くできている点は成長している。きょうも植木選手に1対1のシーンを作られたものの、粘り強い守備はできた。しかし、ベレーザのようなチームに勝たないと優勝争いには絡むことができない。まだまだだなと。
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