リーグカップ準優勝 巻き返しはリーグ戦で
8月12日(土)、2017プレナスなでしこリーグカップ1部の決勝が、味の素フィールド西が丘(東京都北区)で行われた。準決勝で日テレ・ベレーザにPK戦の末、勝利した浦和レッズレディースはリーグカップ初優勝を目指し、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースと対戦。互いに複数の選手が古巣対決となる、このカード。どちらが優勝しても、初のリーグカップタイトル。チームのプライドをかけた絶対に負けられない一戦となった。
4−4−2で臨んだ浦和。なでしこジャパンとして遠征に臨んだ選手のうち、石原孝尚監督はFW菅澤優衣香、MF猶本光の2人のみ起用。GK池田咲紀子はベンチ外。DF北川ひかるは控えにまわった。ポジション争いが激しい注目の左サイドバックはDF木崎あおいがピッチに立った。また、古巣千葉から得点を奪い、チームを初優勝に導きたいFW菅澤は、6月加入のFW安藤梢と2トップを組んだ。
拮抗した試合展開となった。前半、浦和はパスのつなぎと縦の長いボールの使い分けを意識しながらゴールに迫る試合展開を描き、ボールを動かした。リーグカップが始まってからより意識が高くなった球ぎわの厳しさを出しながら、千葉に主導権が渡った時間帯も我慢し、少しずつ自分たちの時間へと運んだ。
前半を0−0のハーフタイムで終えた。
交代枠を使わず、残り45分間が始まった。58分、安藤がドリブルでボールを運ぶと、右の主将・柴田華絵へ展開。柴田もボールを持ち運び、最後は2トップに近い位置でプレーする塩越柚歩が中央で相手を外し、ミドルシュート。これはわずか、ゴール右へ外れた。
その直後だった。千葉がカウンター攻撃から勢いを持って浦和陣内に攻め入った。GK平尾知佳がシュートを予測し、構える。ヒヤリとした展開に、GKの前に入って身体を張ったのは木崎だった。集中力高く、ピンチを救った木崎。振り返れば、開幕前に行われた千葉での強化合宿で、トレーニングマッチを通して、木崎は相手からボールを奪い切る力強いプレーを何度も見せ、石原監督にアピールしていた。継続して、高い意識で練習を続けた結果がこの場面に表れた。
こう着状態の中、浦和ベンチは72分、安藤を下げて、カウンター攻撃を得意とするスピードを持つ清家貴子を投入。さらに77分には、栗島を下げ、左の木崎を右へ、左サイドバックになでしこジャパンに選出されたDF北川ひかるが投入された。そして両ふくらはぎを痛めた塩越を下げ、FW白木星がピッチに立った。
0−0のまま、アディショナルタイム3分と表示された。45分、千葉に縦パスを入れられたところをセンターバックのDF長船加奈が断ち切った。47分にもセンターバックのDF高畑志帆が球ぎわ厳しく、ボールを奪い、そしてそのまま前方へ持ち運んだ。だが、ここに勝敗を分ける試合のポイントがある。ボールを奪い、前に出た高畑は、後ろからの上がりを待ったという。しかし、なかなか見られなかった。
そこで彼女は、サポートに入った柴田に預けて、もう一度マイボールにしようと動いたが、ボールを奪われ、浦和はカウンター攻撃を食らった。そして千葉MF瀬戸口梢の、ペナルティエリア外からパワーあふれるシュートがゴールネットを揺らした。シュート自体も素晴らしかったが、シュートに対して残る選手で対応できなかったことがあの場面につながった。ゴール前には、高畑の帰陣を待たずとも、しっかりと人数はいたのだ。
浦和は0−1で負け、準優勝となった。あと、この試合のポイントを挙げるならば、チームとして90分で終わらせるのか、延長に持ち込むのか。そうした意思統一をもっとハッキリとさせるべきだった。アディショナルタイムという、揺れ動く時間帯に、したたかに戦いを進められなかったことも悔いが残る。
とはいえ、リーグカップを通して、浦和は球ぎわの強さ、粘り強さを体現できるようになった。多くの選手が目を赤くし、涙を流していたが、このやり切れなさを晴らせるのは、リーグ戦だ。一人ひとりがリーダーとなり、リーグ戦の巻き返しに注目したい。
2017プレナスなでしこリーグカップ1部決勝 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦
日時/8月12日(土) 19:00キックオフ
会場/味の素フィールド西が丘(東京都)
試合終了/0対1 (前半0対0)準優勝
観客数/1,130人
主審/山下 良美
副審/千代木 直美、坊薗 真琴
第4の審判員/高橋 早織
浦和レッズ
監督/石原孝尚
≪先発メンバー≫
GK:平尾知佳
DF:栗島朱里(77分→北川ひかる)・長船加奈・高畑志帆・木崎あおい
MF:柴田華絵・筏井りさ・猶本光・塩越柚歩(80分→白木星)
FW:菅澤優衣香・安藤梢(72分→清家貴子)
≪SUB》
GK:松本真未子
DF:南萌華
MF:長野風花
FW:吉良知夏
□得点□
90+2分 瀬戸口梢(ジェフL)
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