(石田達也)
29日(水)、三菱重工浦和レッズレディースはさいたま市内で、10月2日(土)の大宮アルディージャVENTUS戦に向けてのトレーニングを80分間実施した。
チームは開幕2連勝を飾り、好スタートを切った。その中、迎えるのが大宮Vとの“さいたまダービー”となる。女子チームでのダービーはこれが初となり、否が応でも注目が集まる。
楠瀬直木監督は「いよいよダービーマッチ。お客さんも多く入ると聞いている。そのモチベーションでチームは良い状況になっている。大宮Vは去年からいた選手も頑張っているし、プレシーズンよりも強固なディフェンスになっている。まとまりがあり堅守速攻のチーム。ベテラン、若手と謙虚にサッカーをしているので、足元を救われないようにしたい」と語った。
メディア向けに公開されたトレーニングでは3組に分かれてのボール回し、パス&コントロール、そしてフルコートでのゲーム形式(7分間×3本)を行った。
1本目のファーストシュートを決めたのはFW島田芽依だった。ここまで途中出場で2試合。自身の中でも「通用する部分がある」と決して小さくはない手応えを得ている。開幕戦はゴール前で思い切り足を振り、こぼれ球をMF塩越柚歩が突き刺した。底知れないポテンシャルを持つ島田だが、足りないのは経験と結果だけだ。
島田は「裏に抜け、1対1に競り勝ちゴールを決めるのは持ち味。まずは背後を狙って得点したい。(日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦の)2点目につながった部分は、いつもは前を向いてプレーできなかったがリラックスして入れた。そうすればゴール前で冷静になれる」意気込む。
そして、ゲーム形式を2本終えたところで楠瀬監督が動いた。メンバーを呼び寄せて大きな円陣を作ると、「落ち着いてボールを保持し、3、4人目が反応できるように」と指示を与えた。
大宮Vは[4-4-2]の布陣をベースに強固な守備から鋭いカウンター繰り出すチームと分析。行け行けどんどんで攻めるのではなく、意図的にポジショニングし、連動性を持つことを指示していた。
「堅い石をがんがん叩くだけでなく、探って、探って」と指揮官は例え、仕掛けてはシュートやクロスで終わること、結果を出すことが自ずとリスク管理になり「攻撃が最大の防御」になることを強調した。
またこの日、ボランチでプレーしたMF水谷有希は中盤でセカンドボール、ルーズボールを回収し、リズムを安定させ、横幅、縦の深さを表現することで、チームを活性化させることを心掛けていた。そして初のさいたまダービーに「ダービーをプレーしたことがないので凄く楽しみ(笑)。お客さんが多いので盛り上がりはテンションにも影響するので楽しみな1つ」と言う。
ただ、個人としては出場時間が少ないこと、シュートを打てていない部分があることで悔しさを抱えているようだ。
だからこそ、注目の次戦では「色々な選手が取っているので、そこに自分も加わりたい」とメラメラと心の炎を燃やす。
I神戸と頂上争いを繰り広げる中、11人の力だけでは勝てない。島田や水谷が見せ場を作ることで、勝利はぐっと近づくだろう。