多角的な視点で浦和レッズレディースに迫る「LADIESコラム」。今回は、ホーム最終節で痛い敗戦を喫して優勝が遠のいたチームについて、佐藤亮太記者が執筆しました。
だが、その言葉では片づけられないほどの痛すぎる敗戦。浦和レッズレディースの14年シーズン以来のリーグ優勝はほぼ水泡に帰した。
試合終了直後、引き上げた選手のなかには座り込む選手が見られ、丸まった背中からは悔しさがにじんでいた。
ただ、きょうの伊賀戦から、今季の成長を感じられた。それはボールを奪われてからの回収。そこからの展開がスムーズ且つ速くなったこと。
「これは1年間、続けてきたこと。できなければならないし、前よりできている」と今季公式戦すべての試合で先発出場のMF水谷有希が言えば、ボランチのMF栗島朱里は「特別、速くなったとは思わない。でも積み重ねてきたもの」と手ごたえを語った。
これは選手間の距離感が良くなった何よりの証拠。森栄次監督も触れたが、ボールを取られたときでも2人、3人とボールに奪いに行き、攻撃につなげられるようになる回数が明らかに増え、“積極的守備”が見られた。
だからこそ、だからこそ、もうひと工夫、ふた工夫凝らして伊賀の固い守備を崩して得点が欲しかった。そして優勝がかかった大事な試合で堂々と勝ちたかった。
「(こうした試合に勝つことが)ホントに壁。この壁をぶち破らないと」と森監督は力を込めた。
では、そのためには何が必要か。もっと言えば、日テレ・ベレーザやINAC神戸のようにタイトルを獲れるチームになるには何が足りないのか?
この問いにMF栗島は「試合を読む力」と説いた。これに呼応するようにMF柴田は「そうしたことに多くの選手が気付けば、きょうの失点は防ぐことができた。間延びをしていたなら、バランスを保つこともできた。もっと気を付けて、声をかけていかないと」と悔い、さらに「勝ち続けることは難しい」とポツリ、吐露した。
久しぶりの優勝争いのなか、チームが感じた、突き抜けるようで突き抜けない“ガラスの天井”。その向こうに“常勝”の二文字はハッキリと見えてくる。
(佐藤亮太)
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