back

コラム

top
ガラスの天井

多角的な視点で浦和レッズレディースに迫る「LADIESコラム」。今回は、ホーム最終節で痛い敗戦を喫して優勝が遠のいたチームについて、佐藤亮太記者が執筆しました。


放たれた10本のシュートの多くはゴールとなってもおかしくないものだった。にもかかわらず、決まらない。内容であれだけ押してもどうして勝てないのか。得てしてサッカーはこういうものだろう。

だが、その言葉では片づけられないほどの痛すぎる敗戦。浦和レッズレディースの14年シーズン以来のリーグ優勝はほぼ水泡に帰した。

試合終了直後、引き上げた選手のなかには座り込む選手が見られ、丸まった背中からは悔しさがにじんでいた。

ただ、きょうの伊賀戦から、今季の成長を感じられた。それはボールを奪われてからの回収。そこからの展開がスムーズ且つ速くなったこと。

「これは1年間、続けてきたこと。できなければならないし、前よりできている」と今季公式戦すべての試合で先発出場のMF水谷有希が言えば、ボランチのMF栗島朱里は「特別、速くなったとは思わない。でも積み重ねてきたもの」と手ごたえを語った。

これは選手間の距離感が良くなった何よりの証拠。森栄次監督も触れたが、ボールを取られたときでも2人、3人とボールに奪いに行き、攻撃につなげられるようになる回数が明らかに増え、“積極的守備”が見られた。

だからこそ、だからこそ、もうひと工夫、ふた工夫凝らして伊賀の固い守備を崩して得点が欲しかった。そして優勝がかかった大事な試合で堂々と勝ちたかった。

「(こうした試合に勝つことが)ホントに壁。この壁をぶち破らないと」と森監督は力を込めた。

では、そのためには何が必要か。もっと言えば、日テレ・ベレーザやINAC神戸のようにタイトルを獲れるチームになるには何が足りないのか?

この問いにMF栗島は「試合を読む力」と説いた。これに呼応するようにMF柴田は「そうしたことに多くの選手が気付けば、きょうの失点は防ぐことができた。間延びをしていたなら、バランスを保つこともできた。もっと気を付けて、声をかけていかないと」と悔い、さらに「勝ち続けることは難しい」とポツリ、吐露した。

久しぶりの優勝争いのなか、チームが感じた、突き抜けるようで突き抜けない“ガラスの天井”。その向こうに“常勝”の二文字はハッキリと見えてくる。

(佐藤亮太)

 ・・・・・・


ログイン・会員登録はコチラから
すべての記事をご覧いただくには、会員登録が必要です。
※既に会員登録済みの場合、ログインを行うことで閲覧可能となります。


レッズレディースTOPへ


(c)REDS PRESS