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ツヅキック(都築龍太の試合分析)

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フリーでクロスを上げさせてしまった。 目の前で走っていた選手だったが…(J1百年構想第8節・町田戦)

浦和レッズで活躍された元日本代表GK都築龍太さんが試合を解説。聞き手は、サッカー専門新聞『エルゴラッソ』の沖永雄一郎記者です。


RP:3月18日(水)に埼玉スタジアム2002で行われた明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第8節・柏レイソル戦は1−2でレッズが敗れました。

都築:良い時間帯はあったと思いますが、残念な結果になりましたね。後半の75分くらいまではいいレッズもペースだったとのですが、そのあとの押し込まれ方は改善しないといけないのかなと思います。

前半はお互い様みたいなところがありましたが、町田がボールをキープしているというか、奪うタイミングや奪ったあとの質が高かった。オナイウ阿道選手と藤尾選手翔太選手は少しタイプが似ているのかなと思いますが、前線で体を張れる選手もいます。オナイウ選手もけっこう収まっていて、後半はそこからの攻撃ができていましたが、孤立していたような時間もありました。

シュートの意識は全体的に高かったと思います。マテウス・サヴィオ選手の最初のシュートもそうだし、打つという意識は試合をとおして感じられましたが質の問題もありましたかね。攻撃の厚みでいうと町田の方が勢いをもって仕掛けてきていて、前半はそこをしのぐのに力を使ったイメージです。

RP:最初の失点は26分、スローインからでした。

都築:残念なくらいに、肥田野蓮治選手がサボってフリーで上げさせてしまいました。肥田野選手の目の前に上がってきた中山雄太選手を、少なくともフリーにさせたくなかったですね。ファーサイドのサヴィオ選手が被ったような状況にもなりましたし、あそこでフリーでやらせてしまうのはすごくリスクになります。望月ヘンリー海輝選手のシュートはすごいなとしか言えないインパクトでしたが、なんであそこでサボったのかな。目の前で走っている選手についていかないというのは重いですよ。

そのあとは前で奪うシーンも何度かあったり、レッズは2対1でゴール前に迫る局面が多かったですが、もうちょっと人がかかっていればなと。この試合が良いペースになったわかりやすかった要因は、安居海渡選手が奪った後に攻撃に絡めていたことです。

柴戸選手ではなく渡邊凌磨選手とのコンビでしたが、基本的には渡邊選手が前に行いっていてバランスを取りながら、安居選手が前に行くシーンも見られました。レッズとしては、彼が攻撃に絡んでいる時が一番いい流れだったので、継続しないといけないと思います。

後半の頭からイサーク・キーセ・テリン選手が入りましたが、いいポストプレーができていました。サヴィオ選手の得点シーンもそうでしたが、彼がポストプレーのあと自分も上がっていって運動量もあった。起点になるだけじゃなかったですね。

得点シーンは人が多く絡んでいましたし、サヴィオ選手はシュートもパスも選択できる状況でした。ディフェンスとしてはやはり、人数を掛けられているほうが守りづらいですし、得点シーンは非常によかったと思います。

テリン選手はポストプレーではたいて動きなおして受けるといったプレーが見られましたし、後半はいい流れだったと思います。いい流れのうちにもう1点とって勝ち越したかったですが、攻め切れないのがレッズらしいのかもしれません。

町田は守備のイメージが強いですが、トータルで形をもっているなという印象でした。個人でも組織でも行けるし、ロングスローなどセットプレーもある。武器が多いなと思いましたし、守備でもしっかり体を張って守ってきます。

試合に勝ったということも含めて、町田はチームとして徹底されていたと思います。レッズの場合は、試合ごとにやりたいサッカーが見えたり見えなかったり、試合の中でも良い時間帯と悪い時間帯のギャップが激しい。完成度は町田が上だったのかな。

後半で気になったのは、アグレッシブに攻めていてシュートも打てていたいい流れの時に、なぜあそこで3枚替えたのかなというところです。ここはちょっと解せなくて、交代してから流れが変わってしまったように見えました。

積極的に前に前に行ける選手を入れたのだと思いますが行けなかった。オナイウ選手はまだ残すべきだったんじゃないかと思いましたし、結果的に相手に流れを渡してしまった交代になってしまった印象です。

ピッチの中だけじゃなく、選手交代を含めた戦術が定まらないなという感じですね。疲れはあっただろうし、守備的に行こうというメッセージではなかったはずですが、実際に流れが変わってしまった。

町田は速攻寄りになって、仕掛けられる選手を入れてきたことでPKにもつながりました。ペナルティボックス内のバイタルエリアに良いパスが入り始めた町田と、そこのスペースを埋めきれずにブロックが下がってしまったレッズだったと思います。

PKになったシーンも、ロングランで入ってきた相馬勇紀選手を見きれませんでした。倒さなくても良かったなと思いますが、あの流れだと体を張って守ろうとしてファウルになるのも仕方ないのかなと。

町田は交代選手が流れを変えて、ナ・サンホ選手が縦に行くことで相馬選手がまた生きることになりました。レッズも後半頭に入ったテリン選手は流れをつくりましたが、そのあとの3枚替えでは何もできなかった。

見ている人には面白い試合だったかもしれませんが、負けた事実は残ります。よくないサッカーでも勝てばいい、というのもある意味プロですから。ちょっとちぐはぐだったかなと思いますね。いい時間のときはいいですが、悪い時間にどうするか。

いまのサッカーは中盤でためてというプレーがあまり見えないですし、いかに奪って攻撃につなげられるか。そういう選手がいるかどうかが勝敗を分けます。町田の前寛之選手は効いていましたし、ゲームもつくれます。

安居選手と柴戸選手はどちらかといえば奪う、守るが目立ちますから、ゲームをコントロールできる選手がどこかのポジションに必要です。レッズだとサミュエル・グスタフソン選手になるのでしょうけど、復帰できていない状況ではないものねだりですし、こういう時はいない選手が評価されがちになります。

渡邊選手もできると思うんですが、いまは奪ったあとの縦の速さを求めていて、必用ないと思っているのかな。ただ、悪い流れになったときに試合を落ち着かせるのは大事ですし、クリアするときにテリン選手めがけて蹴って、キープしてもらうのも落ち着かせることにはなります。いまのレッズは「行けー!守れー!」というサッカーなので、もう少しゲームコントロールができればと個人的には思います。

結果は残念でしたが、サヴィオ選手のゴールは良かったですし彼がのってきてくれればと思います。ただ、そういう雰囲気じゃないんですかね。負けない雰囲気じゃないというか、1点取っても2点取っても不安というような。

RP:このあとは代表ウィークもあって2週間空きます。首位とも差がついてしまって、残りのシーズンをどうするかも考える必要があるかもしれません。

都築:まだ可能性が消えたわけではないので、グループ1位の目標を変えてはいけないと思います。今季は若手が結果を出した試合もありましたが、それが勝った時だけなんですよね。負けた時でもインパクトを残す仕事ができる選手が出てきて欲しいなと思います。

流れを変えられる、そういった選手を使おうとしているのはあると思いますし、二田理央選手なども頑張ろうとしているのは伝わるけど、インパクトを残せていない。チャンスをもらった選手が戦える選手じゃないと意味がないかなと思います。

RP:ありがとうございました。


(サッカー専門新聞『エルゴラッソ』沖永雄一郎記者)
 
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都築龍太 -profile-
1978年4月18日生まれ。
2003年にガンバ大阪から浦和レッズへ加入。2010年に湘南ベルマーレへ期限付き移籍後、現役を引退。日本代表としても6試合に出場した。

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